KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- FTAは関税の撤廃などモノの貿易が中心、EPAはそれに加えて投資・人の移動・知的財産などを含む幅広い協定。
- CPTPP(TPP11)は2018年12月30日発効。2024年12月15日に英国が加わり12か国。コスタリカは2026年5月に加入交渉が実質妥結した段階(2026年9月27日確認)。
- RCEPは2020年11月15日署名、2022年1月1日に日本などで発効。署名時のASEAN10か国と日本・中国・韓国・オーストラリア・ニュージーランドの15か国で、日本にとって中国・韓国との初めてのEPA。
- 見分けの決め手は、中国・韓国が入るのがRCEP、南北アメリカの国と英国が入るのがCPTPP。
この記事の目次
FTAとEPAはどう違う?
経済連携の協定は、名前の略語が似ていて混同しやすい分野です。まず、協定の種類を表す2つの言葉を区別します。
| FTA(自由貿易協定) | EPA(経済連携協定) | |
|---|---|---|
| 中心となる内容 | 関税の撤廃・削減など、モノやサービスの貿易の自由化 | FTAの内容に加え、投資・人の移動・知的財産・競争政策など幅広い分野のルール |
| 範囲 | 比較的せまい | 広い(FTAを含む) |
| 日本の協定の呼び方 | ― | 日本が結ぶ協定の多くはEPAと呼ばれる |
RCEPやCPTPPも、関税だけでなく投資や電子商取引などのルールを含む幅広い協定です。試験で「EPAは関税の撤廃だけを目的とする」という選択肢があれば、範囲をせまく言い過ぎた誤りです。
RCEPとCPTPPを比較表で見ると?
日本が参加する大きな経済連携協定を、参加国と発効年で比べます。
| 協定 | 署名・発効 | 参加国 | 見分けのポイント |
|---|---|---|---|
| CPTPP(TPP11) | 2018年3月8日署名、2018年12月30日発効 | 日本・オーストラリア・ブルネイ・カナダ・チリ・マレーシア・メキシコ・ニュージーランド・ペルー・シンガポール・ベトナムの11か国+英国(2024年12月15日発効) | アメリカは離脱して不参加。中国・韓国も入っていない |
| RCEP | 2020年11月15日署名、2022年1月1日に日本など10か国で発効 | 署名時のASEAN10か国+日本・中国・韓国・オーストラリア・ニュージーランドの15か国 | 日本と中国・韓国が初めて結んだEPA。世界のGDP・貿易総額・人口の約3割を占める |
| 日EU・EPA | 2019年2月1日発効 | 日本とEU | EUの加盟国全体と結んだ協定 |
| 日英EPA | 2021年1月1日発効 | 日本と英国 | 英国のEU離脱後に、日EU・EPAに代わる枠組みとして発効 |
RCEPは国ごとに発効日が異なり、韓国は2022年2月1日、マレーシアは同年3月18日、インドネシアは2023年1月2日、フィリピンは同年6月2日に発効しました(ジェトロ)。これで署名した15か国すべてで発効しています。
RCEPの参加国に数えるASEANの国は、協定に署名した10か国です。2025年10月にASEANへ加盟した東ティモールは、ASEANに加盟したことでRCEPの参加国になるわけではありません。ASEANの加盟国はASEAN加盟国一覧で確認できます。
TPPからCPTPPへの経緯は?
- TPP(環太平洋パートナーシップ協定):アメリカを含む12か国で2016年に署名された。
- アメリカの離脱:2017年にアメリカが離脱を表明し、TPPは発効できなくなった。
- CPTPP(TPP11):残る11か国で、2018年3月8日にチリのサンティアゴで署名し、同年12月30日に発効した(内閣官房)。
- 英国の加入:2023年7月に加入議定書に署名し、2024年12月15日に英国について発効。締約国は12か国になった。
- コスタリカ:2026年5月6日に加入交渉が実質妥結したと発表された。正式な加入には加入議定書の署名と各国の手続きが必要で、2026年9月27日時点では締約国に数えない。
「TPP」と「CPTPP」は、ニュースでは同じ意味で使われることもあります。試験で「TPPにはアメリカが参加している」という選択肢があれば、現在の協定(CPTPP)には参加していない点で誤りと判断します。加入の動きは続いているため、最新の状況は内閣官房のページで確認してください。
協定の違いを短時間で覚えるには?
経済連携の協定は、覚える国名が多く見えますが、判定に必要な情報は限られています。次の順に覚えると、選択肢の多くを短時間で判定できます。
- RCEP=ASEAN+日中韓豪NZ:「アジアの15か国」と覚え、アメリカ・インドが入らないことを押さえる。
- CPTPP=太平洋を囲む11か国+英国:カナダ・メキシコ・チリ・ペルーなど南北アメリカの国が入り、アメリカ本国は入らない。
- 発効年は3つだけ:CPTPP 2018年、日EU・EPA 2019年、RCEP 2022年。英国のCPTPP加入は2024年。
- FTAとEPAは範囲の違い:EPAの方が広く、投資や人の移動などのルールを含む。
4つの項目を覚えたら、確認問題で「入っていない国」「年号」の2点を使って判定できるか試してください。年号は「2018→2019→2022→2024」と古い順に並べ、それぞれの年に何が起きたかを一言で言えるようにしておくと、年号を入れ替えた選択肢に気づきやすくなります。
混同しやすいポイントは?
| 混同しやすいこと | 正しい整理 |
|---|---|
| RCEPにアメリカ・インドが入っている | どちらも入っていない。インドは交渉には参加したが署名していない |
| CPTPPに中国・韓国が入っている | 入っていない(2026年9月27日時点) |
| 英国が加わったのはRCEP | 英国が加入したのはCPTPP(2024年12月15日発効) |
| RCEPの参加国=ASEANの加盟国全部+5か国 | RCEPの15か国は署名時のASEAN10か国+5か国。ASEANの加盟国数とは別に数える |
| APECは経済連携協定 | APECはアジア太平洋の21の国・地域の協力の枠組みで、関税を定める協定ではない |
協定の参加国の問題は、どの国が入っていないかで判定すると速く解けます。「中国・韓国の有無」と「アメリカの有無」の2点を確かめるだけで、多くの選択肢を切れます。主要国の首脳会議の枠組みはG7とG20の違いで整理しています。
確認問題2問
【問1】日本が参加する経済連携協定の説明として、正しいものはどれか。
- RCEPには、アメリカとインドがともに参加している。
- CPTPPは、アメリカ離脱後の11か国で2018年に発効した。
- 日EU・EPAは、英国のEU離脱後の2022年に発効した。
- 英国は、2024年にRCEPへ加入し、参加国は16か国になった。
| 問題 | 正解 | 解説 |
|---|---|---|
| 問1 | 2 | 1:RCEPにはアメリカもインドも参加していない。3:日EU・EPAは2019年2月1日発効で、英国のEU離脱(2020年)より前。4:英国が加入したのはCPTPP |
| 問2 | 3 | アは誤り(中国・韓国が参加しているのはRCEP)。イは正しい(2021年1月1日発効) |
経済連携の問題は、参加国の有無と発効年の2点で判定できるものが多い分野です。4択の形で確かめたい方は、登録不要の無料お試し10問で社会情勢を含む4分野の問題を解けます。国際機関の略語もあわせて確認するなら国際機関の略語一覧へ。
Q & A
よくある質問
Q.RCEPとTPPのどちらが大きい協定ですか。+
RCEPは、参加国のGDP・貿易総額・人口が世界の約3割を占める大型の協定とされています(外務省・経済産業省など)。どちらが大きいかは比べる指標によって変わるため、試験では参加国の違いで区別するのが確実です。
Q.インドはRCEPに参加していますか。+
参加していません。インドは交渉に参加していましたが、2020年11月の署名には加わりませんでした。
Q.CPTPPに新しく加わる国はありますか。+
英国が2024年12月15日に加わり12か国になりました。コスタリカは2026年5月6日に加入交渉が実質妥結したと発表されていますが、正式な加入には加入議定書の署名と各国の手続きが必要です(2026年9月27日確認)。最新の状況は内閣官房のページで確認してください。
Q.EPAがあれば、どの商品でも関税がかからなくなりますか。+
いいえ。関税をなくす品目や時期は協定ごとに決められており、段階的に下げていく品目や対象外の品目もあります。また、協定の税率を使うには、その商品が協定の参加国で作られたこと(原産地)を示す手続きが必要です。
Q.EPAとFTAはどちらを覚えればよいですか。+
両方の違いを一言で言えるようにしておけば十分です。FTAは関税など貿易の自由化が中心、EPAはそれに投資・人の移動・知的財産などのルールを加えた幅広い協定、と整理してください。
出典・参考
- 内閣官房「CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)」(2026年9月27日確認)
- 内閣官房「TPPの動き(2026年)」(2026年9月27日確認)
- ジェトロ ビジネス短信「コスタリカのCPTPP加入交渉が実質妥結」(2026年9月27日確認)
- 経済産業省「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」(2026年9月27日確認)
- ジェトロ「RCEP協定について」(2026年9月27日確認)
- ジェトロ「日EU経済連携協定(EPA)/日英包括的経済連携協定(EPA)について」(2026年9月27日確認)
- 税関「日英EPAに関する資料(2021年1月1日発効)」(2026年9月27日確認)