KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 給料は条例の「給料表」の級と号給で決まる。社会人採用でも最初は係員級からの区分が多い
- 前職の期間は、規則で定める換算率を掛けて「経験年数」にし、号給に上乗せする(前歴換算)
- 国の経験年数換算表では、職務に直接役立つ常勤の職歴は100分の100。自治体の率は各自の規則で決まる
- 金額の見込みは、受験案内の給与欄と各自治体の「給与・定員管理等の状況」で確認する
- 年収で比べるときは、1年目の期末・勤勉手当が少ないことと、手当の条件の違いを含める
この記事の目次
市役所の社会人採用の給料は何で決まる?
地方公務員の給与は、地方公務員法第24条で「職務と責任に応ずるもの」とされ、生計費や国・他の自治体の職員、民間の給与などを考えて定めることになっています。具体的な金額は各自治体の給与条例で決まり、条例に付いている給料表から月額が1つに決まります(e-Gov法令検索で2026年9月27日確認)。
給料表は、横に「級」、縦に「号給」が並んだ表です。級は仕事の段階(係員・主任・係長など)に対応し、号給は同じ級の中での位置です。社会人採用で最初に気にするのは、どの級で採用されるかと、何号給からスタートするかの2点です。
| 要素 | 決まり方 | 社会人採用で確認すること |
|---|---|---|
| 級 | 採用される職の段階で決まる | 係員級での採用か、主任級・係長級を募集する区分か |
| 号給 | 学歴の基準に、採用前の経験年数を加えて決まる | 前職の期間がどの率で換算されるか |
| 諸手当 | 条例の条件に当てはまると支給(地域・扶養・住居・通勤など) | 前職の手当と条件が違わないか |
| 期末・勤勉手当 | 年2回。基準日前の在職期間などで額が決まる | 採用1年目は在職期間が短く、少なくなる |
「社会人採用だから給料が高い区分」があるわけではありません。同じ給料表を使い、前職の経験を号給に反映させる形がふつうです。だからこそ、次の前歴換算の考え方を知っておくと、公表されているモデル給与を自分に当てはめやすくなります。
前職の経験は初任給にどう反映される?
新しく採用された職員の号給は、まず学歴に応じた基準の号給が決まり、そこに採用前の経験年数に応じた号給が加算されます。前職の期間をそのまま全部数えるのではなく、経歴の種類ごとに換算率を掛けて経験年数を出します。これが一般に「前歴換算」と呼ばれるしくみです。
国家公務員では、人事院規則9-8(初任給、昇格、昇給等の基準)の別表「経験年数換算表」が換算率を定めています。2026年9月27日にe-Gov法令検索で確認した内容では、国・地方公共団体・民間企業などの職員としての在職期間のうち、職員としての職務に直接役立つと認められる常勤の期間は100分の100、その他の在職期間は100分の100以下です。職員以外の期間には、さらに低い率が定められています。
自治体の職員の換算率や細かい区分は、それぞれの自治体の規則(初任給基準に関する規則など)で決まります。国と同じ考え方をとる自治体でも、「直接役立つ」の判断や端数の扱いまで同じとは限りません。
- 最終学歴を卒業した時点から採用日までの期間を、職歴ごとに区切る(正社員・契約社員・無職の期間など)
- それぞれの期間に、自治体の規則で定められた換算率を掛ける
- 合計を経験年数とし、端数を規則に従って処理する
- 経験年数に応じた号給を、学歴の基準号給に加える。上限や区分ごとの特例があれば当てはめる
仮の例で、経験年数の出し方を確かめる
しくみを具体的にするため、説明用の仮の換算率で3人の経験年数を計算します。率は「直接役立つ常勤の職歴=100%」「その他の常勤の職歴=80%」「職歴のない期間=25%」と置きました。実在する自治体の率ではありません。
| 人 | 大学卒業後の経歴 | 計算(仮の率) | 経験年数 |
|---|---|---|---|
| Aさん | 民間の経理で正社員8年 | 8年×100% | 8年 |
| Bさん | 営業で正社員5年、経理で正社員3年 | 5年×80%+3年×100% | 7年 |
| Cさん | 経理で正社員6年、その後2年間は職に就いていない | 6年×100%+2年×25% | 6.5年 |
3人とも卒業から8年たっていますが、経験年数は8年・7年・6.5年と差が出ます。どの仕事が「直接役立つ」と判断されるかで結果が変わる、という点がいちばん大事です。
ここで取り違えやすいのは、年齢や社会人歴の長さがそのまま号給になるわけではないことです。モデル給与に「職務経験10年の場合」とあっても、自分の10年がすべて同じ率で換算されるとは限りません。
自分の給料の見込みはどこで確認する?
金額の見込みは、ネットの体験談よりも自治体が出している資料で確かめるのが確実です。次の順で探すと、短い時間で目安がつかめます。
- 受験する区分の受験案内(募集要項)の「給与」欄を見る。経験者区分では、経験年数ごとの初任給の例を載せる自治体がある
- 自治体のホームページで「給与・定員管理等の状況」や「人事行政の運営等の状況」を探す。初任給、経験年数や職位ごとのモデル給料月額などが公表されている
- 見つからないときは、総務省の「地方公共団体の給与・定員管理等の状況」のページから、各団体の公表ページへたどる
- 手当(地域手当・住居手当など)の条件は、給与条例や職員向けの案内で確認する
公表されているのは標準的な例です。自分の経歴に当てはめるときは、前の節の考え方で「どの期間が直接役立つと判断されそうか」を分けておくと、見込みの幅がつかめます。
民間の年収と比べるとき、何に注意する?
月給だけで比べると判断を誤りやすくなります。特に採用1年目は、期末・勤勉手当が基準日前の在職期間に応じて決まるため、4月採用なら最初の支給は少なくなります。1年目の年収だけでなく、2年目以降と数年後の見込みで比べてください。
| 比べる項目 | 見落としやすい点 | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 月給 | 前職の手当込みの額と、公務員の給料月額だけを比べてしまう | 受験案内の給与欄、モデル給料月額 |
| 賞与 | 採用1年目の期末・勤勉手当は在職期間が短く少ない | 給与条例、給与・定員管理等の状況 |
| 残業代 | 部署によって時間外勤務の多さが大きく違う | 公表資料や説明会の案内を先に見る |
| 住居・通勤 | 持ち家か賃貸か、距離で支給条件が変わる | 給与条例、職員向けの案内 |
| 退職金 | 前職の退職金はそこで精算され、通算されないのがふつう | 退職手当条例 |
前職が年俸制や成果給中心だった場合、初年度に下がることは珍しくありません。一方、昇給は号給が上がる形で続くので、長い期間で見ると差の出方が変わります。どちらが得かは人によるため、同じ条件(総額・年数)で並べて判断してください。
迷ったときは、何を確かめればいい?
| 迷う点 | 確認する操作 |
|---|---|
| モデル給与が自分に当てはまるか分からない | 卒業後の期間を職歴ごとに区切り、直接役立つ期間とそれ以外を分けて書き出す |
| 非正規の期間がどう扱われるか分からない | 常勤に準ずる勤務だったか(勤務時間・日数)を雇用契約書で確認しておく |
| 係長級で採用されるのか分からない | 受験案内の「職務内容」「採用予定の職」の欄を読む。書いていなければ人事担当課に問い合わせる |
| 年収が下がるかどうか判断できない | 1年目・2年目・5年後の3時点で、手当と賞与を含めた総額を並べる |
給料の見込みを確かめて受験を決めたら、次は筆記の準備です。社会人採用の筆記に職務基礎力試験BEST(60問・60分)を使う自治体では、論理的思考・資料分析・文章理解・社会情勢の4分野が出ます。まずは登録不要の無料お試し10問で、どの分野に時間がかかるかを確かめておくと、限られた時間を配分しやすくなります。
転職全体の流れは経験者採用の流れ、収入や働き方の比べ方は民間から公務員へ転職するときの考え方、年代別の準備は30代で公務員に転職すると40代で公務員に転職するで整理しています。
Q & A
よくある質問
Q.前職が契約社員やアルバイトでも経験年数に入りますか?+
勤務の形や仕事の内容によって換算率が変わります。国の換算表では、常勤として職務に従事した期間またはこれに準ずる期間かどうかが区分の一つになっています。自治体の扱いは規則で決まるので、内定後の職歴確認で確かめます。
Q.給料の見込みは面接で聞いてもよいですか?+
面接の場で細かく聞くより、受験案内や公表資料で先に確認するのが基本です。内定後に人事担当課から初任給の決定について説明があるのが一般的です。
Q.転職すると年収は下がりますか?+
前職の業種・年齢・経歴によって違うため、一概には言えません。モデル給与、手当、1年目の期末・勤勉手当の少なさを含めて、数年後の見込みでも比べてください。
Q.前職の退職金は公務員の退職手当に通算されますか?+
民間企業の在職期間は、公務員の退職手当の計算には通算されないのがふつうです。取り扱いは採用先の退職手当条例で確認してください。