KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 「公務員経験者」「行政実務経験者」などの名前で、公務の経験者だけを対象にした区分を設ける自治体がある
- 例:大阪府の令和8年度公務員経験者採用選考は、第1次が書類審査(エントリーシート)、第2次が個別面接で、主査級などで採用
- 一般の社会人経験者枠でも、官公庁での勤務は職務経験として数えられることが多い
- 面接では「なぜ今の職場を辞めて、ここなのか」の説明が最も重要。今の職場への不満を中心にしない
- 退職手当の期間の通算などは、採用先の条例と取り扱いで内定後に確認する
この記事の目次
公務員から別の自治体へ移るには、どの区分を受ける?
国や他の自治体での勤務経験がある人を対象に、即戦力として採用する区分があります。名前は「公務員経験者」「行政実務経験者」「自治体職員経験者」など自治体によってさまざまです。行政の仕事の進め方や法令・予算の手続きをすでに理解している人を求めています。
たとえば大阪府の令和8年度の公務員経験者採用選考は、国または他の地方公共団体での職務経験を条件にし(主査級は主査級相当職で3年以上、技師級は4年以上)、第1次選考が書類審査(エントリーシート)、第2次選考が個別面接でした。行政職は主査級での採用とされています(大阪府のページで2026年9月27日確認)。
| 区分 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 公務員経験者・行政実務経験者 | 国・地方公共団体での勤務経験が一定年数以上ある人 | 経験に応じた職位で採用される場合がある。募集する自治体は限られる |
| 社会人経験者(一般) | 民間・公務を問わず職務経験が一定年数以上ある人 | 募集が多い。筆記はBEST・SPI・教養試験など |
| 大卒程度(一般枠) | 年齢の条件を満たす人 | 20代なら選択肢。筆記の負担は大きめ |
| 技術職・資格職の経験者 | 分野の経験や資格がある人 | 土木・保健師などの経験をそのまま生かせる |
筆記はどうなる?公務員経験者にも準備は必要?
公務員経験者向けの区分では、大阪府の例のように筆記を行わず書類と面接で選ぶ形もあります。一般の社会人経験者枠では、職務基礎力試験BEST(BEST-Aは60問・60分)やSPIのような基礎的な試験を課し、論文や面接を重視する例があります。
行政の仕事の経験がある人なら、BESTの社会情勢分野で出る地方自治の仕組み(議会・条例・首長など)は身近な内容のはずです。ただし、論理や資料分析を1問約1分で解くペースには慣れが必要です。久しぶりに筆記を受ける人は、登録不要の無料お試し10問で時間の感覚を確かめておくと、準備の量を見積もりやすくなります。
論文では、受験先の自治体の課題について、実務経験を踏まえた解決策を書くよう求められることがあります。今の職場での経験を、受験先の状況に合わせて具体的に書けるかがポイントです。
面接で「なぜ移るのか」は、どう答える?
現役の公務員が受ける場合、面接官がまず気にするのは「なぜ今の職場を辞めるのか」です。同じ公務員の仕事なのに移る理由を、納得できる形で説明できるかどうかが合否を大きく左右します。次は当サイトで作った答え方の比較です。
- 今の職場で担当した業務と、その経験を受験先でどう生かすか
- 受験先の施策について、今の自治体と比べてどう考えるか
- 同じ理由で、また別の自治体に移ることはないか
- 今の職場の上司には、いつ・どう伝えるつもりか
| 選択肢 | 転職理由の答え方(練習用) | 判定と理由 |
|---|---|---|
| 1 | 「今の市は職場の人間関係が悪く、上司とも考え方が合わないので、思い切って環境を変えたいと考えました」 | ×:不満が中心で、受験先でも同じことが起きるのではと受け取られる |
| 2 | 「こちらのほうが給料が高く、休みも取りやすいと聞いたので、ここなら長く働けると考えました」 | ×:条件だけで、受験先で何をしたいかが見えない |
| 3 | 「今の町で担当した移住相談の経験を、移住と就業支援を一体で進める貴市の施策で生かしたい」 | ○:今の経験と、受験先で取り組みたい施策が一続きになっている |
| 4 | 「特に大きな理由はありませんが、新しい環境で自分の力をもう一度試してみたいと考えました」 | ×:なぜこの自治体なのかが分からず、また移るのではと心配される |
正解は3です。今の職場での経験と受験先でなければできないことがつながっています。実際の面接では、「家族の住む地域でもあり、長く働きたい」のように長く働く理由を一言添えると、さらに説得力が出ます。逆に、今の職場の批判や待遇の比較だけを理由にすると、評価は下がりやすくなります。面接では次のような質問も想定しておきましょう。
退職から採用まで、どんな手続きがある?
- 最終合格・採用内定の通知を受けてから、今の職場の上司に退職の意思を伝える
- 今の職場の退職の手続き(退職願の提出時期)を確認する
- 採用先から、採用日と提出書類(職歴証明など)の案内を受ける
- 退職日と採用日の間を空けるかどうかを、採用先と相談する
- 共済組合・年金などの手続きを、今の職場と採用先の担当に確認する
新しい自治体で採用されると、地方公務員法第22条により、改めて6か月の条件付採用期間があります(e-Gov法令検索で2026年9月27日確認)。給料の号給は、前の職場での期間を経験年数として換算して決まるのが一般的です。内定後の流れは合格から採用までの手続きで説明しています。
受験から入庁まで、どんなスケジュールになる?
4月1日採用の区分を、年度の途中に受ける場合の仮の流れです。公務員どうしの転職では、年度末の人事異動の時期と重なるため、今の職場への申し出の時期に特に気を配ります。
| 時期(仮) | 受験・採用先 | 今の職場 |
|---|---|---|
| 6〜7月 | 受験案内を確認し、申込(エントリーシートなど) | 受験は私的な予定として扱い、職場では話題にしない |
| 8〜10月 | 筆記・書類選考、面接 | 面接日の休暇を早めに申請する |
| 10〜11月 | 最終合格、意向確認、採用内定 | 内定の通知を受けてから上司に意思を伝える |
| 12〜2月 | 職歴証明・健康診断などの書類を提出 | 人事異動の調整に影響するため、早めに退職の手続きを進める |
| 3月 | 入庁の案内 | 引き継ぎ、退職 |
今の職場の人事異動は、年度末に向けて早い時期から調整が始まることがあります。内定後は、職場への迷惑をできるだけ小さくするためにも、退職の意思を伝える時期を先延ばしにしないようにしましょう。
準備で差がつくポイントは?
| つまずき | 確認する操作 |
|---|---|
| 今の職場と受験先の違いを説明できない | 人口・財政・重点施策を2つの自治体で並べた表を作る |
| 業務の説明が庁内の言葉だらけになる | 略語や部署名を使わず、他の自治体の人に伝わる言葉に直す |
| 受験先の最近の論点が分からない | 議会の会議録や報道発表で、この1年の話題を3つ拾う |
| 今の職場に知られないか心配 | 連絡先を私用のものにし、休暇の理由は「私用」で申請する |
面接の最後の逆質問は面接の逆質問、面接の服装は経験者採用の面接の服装、選考全体の流れは経験者採用の流れを参考にしてください。
Q & A
よくある質問
Q.今の職場に受験を知られると不利になりますか?+
受験について職場に届け出る必要があるかは、今の職場の規程で確認してください。内定前に職場で話題にするのは避けるのが無難です。
Q.国家公務員から地方公務員に移ることもできますか?+
できます。大阪府の例のように国での職務経験を対象に含める区分や、社会人経験者枠で国での勤務期間を職務経験として数える区分があります。受験資格欄の職務経験の定義を確認してください。
Q.採用後の職位は前の職場と同じになりますか?+
区分によります。係員級から採用する区分が多い一方、公務員経験者の区分では主査級など経験に応じた職位で採用する例もあります。受験案内で採用される職の段階を確認してください。
Q.今の職場の経験が短くても受けられますか?+
公務員経験者の区分は、職務経験の年数や職階を条件にしていることが多く、経験が短いと受けられない場合があります。その場合は、一般の社会人経験者枠や、年齢の条件を満たせば大卒程度の区分も候補になります。受験資格欄の年数と基準日を確認してください。
Q.同じ県内の別の市を受けても問題ありませんか?+
問題ありません。ただし近い自治体どうしだと、面接で「なぜ隣の市なのか」を詳しく聞かれることがあります。両者の違いを具体的に説明できるようにしておきましょう。