KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 「直近9年のうち通算5年以上」は、決められた9年の枠の中で働いた期間を合計して5年以上あればよい、という意味。枠より前の期間は数えない。
- 「通算」は複数の職場の期間を足せる、「継続」は同じ職場で途切れずに働いた期間。両方を組み合わせた条件もある。
- 雇用形態・週の勤務時間・育休の扱いは試験ごとに違う。特別区の経験者採用では、雇用形態を問わず「1つの事業に週20時間以上」従事した期間を数えるとQ&Aで示している。
- 職歴を「勤務先・雇用形態・週の時間・開始日・終了日」の表にしてから枠に当てはめると、数え間違いを防げる。
- 迷う期間は自己判断せず、申込前に人事委員会・人事課へ問い合わせる。合格後に在職証明書などで確認されることがある。
この記事の目次
職務経験の要件は、募集要項でどう書かれているか
経験者採用の受験資格には、年齢に加えて職務経験の条件がつくのがふつうです。書き方にはいくつかの型があり、型によって数え方が変わります。令和8年度の募集要項から実例を見てみましょう。
| 試験 | 要件の書き方 | 型 |
|---|---|---|
| 宮城県白石市 社会人経験者(行政職) | 直近9年(平成29年10月1日から令和8年9月30日まで)のうち通算5年以上 | 期間を区切った通算型 |
| 茨城県 社会人経験者採用 | 令和8年3月末現在で、民間企業・団体・国・地方公共団体等における職務経験を5年以上 | 基準日までの通算型 |
| 大阪府 公務員経験者採用 | 国や他の地方公共団体での一定の職務経験 | 経験先を限定する型 |
| 特別区(東京23区)経験者採用 | 1つの事業に週20時間以上従事した期間を、1年以上の期間について通算(Q&Aより) | 時間・期間の条件つき通算型 |
「直近○年のうち通算○年」は、どう数えるのか
「直近9年のうち通算5年以上」は、決められた9年間という枠の中で、働いた期間を合計して5年以上あればよいという意味です。枠より前に働いていた期間は、何年あっても数えません。空白期間があっても、合計が条件を満たせば問題ありません。
白石市の例のように、枠が「平成29年10月1日から令和8年9月30日まで」と日付で示されていれば、その日付で職歴を切り取ります。次は架空の職歴で計算した例です。
| 職歴 | 期間 | 枠に入る部分 | 数える期間 |
|---|---|---|---|
| A社 正社員 | 平成26年4月〜令和元年9月 | 平成29年10月〜令和元年9月 | 2年 |
| 転職活動(無職) | 令和元年10月〜令和2年3月 | — | 0年 |
| B社 正社員 | 令和2年4月〜令和8年9月 | 全期間 | 6年6か月 |
| 合計(通算) | 8年6か月(5年以上なので満たす) |
ポイントは、A社で働いた5年6か月のうち、枠の外にある平成29年9月以前の期間は数えないことです。「長く働いてきたから大丈夫」と思っていても、枠を当てはめると足りないことがあります。
正社員以外・短時間勤務の期間は含まれるか
契約社員・派遣社員・パート・アルバイト・自営業などの期間を職務経験に含めるかどうかは、試験ごとに扱いが違います。たとえば特別区人事・厚生事務組合の経験者採用Q&Aでは、派遣社員・契約社員・非常勤職員など雇用形態を問わず、1つの事業に週20時間以上従事した経験を業務従事歴に数えると説明しています。
一方で、団体によっては勤務時間の下限が違ったり、正規の雇用に限ったりする場合もあります。こうした条件は受験案内の本文ではなく、注意書きや「職務経験の定義」、よくある質問の欄に書かれていることが多いので、細かい字まで読みましょう。
| 項目 | 特別区のQ&Aでの扱い |
|---|---|
| 雇用形態 | 問わない(派遣・契約・非常勤なども含む) |
| 勤務時間 | 1つの事業に週20時間以上従事した経験 |
| 複数の勤務先 | 1年以上の期間について通算できる |
| 端数 | 30日を1月とし、1月未満は切り捨て |
| 育児休業 | 休業後に引き続き同じ企業等に復職した場合に限り数える |
| 数え始め | 満22歳に達した日の属する年度の翌年度の4月1日以降の期間 |
これは特別区の扱いです。ほかの自治体に同じルールが当てはまるとは限らないので、「数え方の観点の例」として使い、実際の判断は志望先の受験案内で行ってください。
短時間勤務や育休がある職歴は、どう数えるか
次は、特別区のQ&Aと同じルール(週20時間以上、1年以上の期間を通算、30日を1月として端数切り捨て、育休は同じ企業に復職した場合のみ)が定められていると仮定した架空の計算例です。
| 職歴 | 週の時間 | 期間 | 数えるか | 数える期間 |
|---|---|---|---|---|
| C社 アルバイト | 15時間 | 2年 | 数えない(週20時間未満) | 0 |
| D社 派遣社員 | 32時間 | 1年6か月 | 数える(1年以上・週20時間以上) | 1年6か月 |
| E社 契約社員 | 30時間 | 10か月 | 数えない(1年未満) | 0 |
| F社 正社員(うち育休8か月、復職せず退職) | 40時間 | 3年2か月 | 育休の8か月は数えない | 2年6か月 |
| 合計 | 4年0か月 |
働いた期間を単純に足すと7年6か月になりますが、条件を当てはめると4年しか数えられず、「通算5年以上」の条件は満たしません。F社に復職していれば育休8か月も数えられ、4年8か月になります。条件ごとに1行ずつ判定することが、数え間違いを防ぐいちばんの方法です。
「通算」と「継続」は何が違うか
| 言葉 | 意味 | 複数の職場 |
|---|---|---|
| 通算 | 働いた期間を合計する。途中に空白があってもよい | 足してよいことが多い |
| 継続 | 同じ職場などで途切れずに働いた期間 | ふつうは足せない |
「通算5年以上(うち同一の企業等で継続して1年以上)」のように、両方を組み合わせた条件もありえます。この場合は、合計5年に加えて、どこか1か所で1年以上続けて働いた期間が必要です。
迷ったときは、どの順番で確認すればよいか
- 受験案内の「受験資格」「職務経験の定義」「よくある質問」をすべて読む。
- 職歴を「勤務先・雇用形態・週の勤務時間・開始日・終了日・休業の有無」の表にまとめる。
- 枠(直近○年、基準日)の中に入る期間だけを取り出す。
- 時間・期間・雇用形態などの条件を1行ずつ当てはめ、数える期間を合計する。
- 判断に迷う期間があれば、申込前に試験を実施する人事委員会や人事課に問い合わせる。
職務経験は、申込時の申告だけでなく、合格後に在職証明書などで確認されることがあります。数え方を誤ると、合格が取り消されるおそれもあるので注意しましょう。
この職歴の表は、申込書類・職務経歴書や職務経験論文の材料にもそのまま使えます。年齢の条件は社会人採用の年齢制限で確認してください。
受験資格を確認したら、次に何をするか
受験資格を満たすと分かったら、次は第1次試験の種目を確認します。SPI3や教養試験のほか、職務基礎力試験(BEST)を課す自治体もあり、BESTは4択・60問・60分の形式です。仕事をしながら準備する人は、早めに形式を体験して、残りの期間で何を練習するかを決めておくと効率的です。
BESTの形式は、登録不要の無料お試し10問で確かめられます。経験者採用全体の流れは申込から採用までの流れにまとめています。
Q & A
よくある質問
Q.複数の会社での経験は合計できますか?+
「通算」と書かれていれば、複数の勤務先の期間を合計できることが多いです。ただし「1年以上の期間に限る」「同一の企業等で継続して○年以上」などの条件がつく場合もあるので、受験案内を確認してください。
Q.派遣社員やパートの期間は職務経験になりますか?+
試験によって扱いが違います。特別区の経験者採用のように雇用形態を問わず週の勤務時間で判断する例もあれば、別の条件を設ける例もあります。受験案内の定義欄を確認し、不明なら問い合わせましょう。
Q.育児休業の期間は職務経験に含まれますか?+
試験ごとに違います。特別区のQ&Aでは、休業後に引き続き同じ企業等に復職した場合に限り数えるとしています。志望先の受験案内に書かれていなければ、申込前に問い合わせてください。
Q.自営業やフリーランスの期間は職務経験になりますか?+
含めるかどうか、含める場合にどんな書類で確認するかは試験ごとに違います。開業届や確定申告書などで事業の実態を示せるかも含めて、受験案内を確認し、書かれていなければ申込前に問い合わせてください。
Q.見込みの期間(これから働く期間)も数えられますか?+
基準日が申込日より後に設定されている試験では、基準日までの見込み期間を含められる場合があります。白石市の募集案内でも見込年数で構わないとされています。基準日と「見込み」の扱いを受験案内で確認してください。
Q.月の途中で入社・退社した場合はどう数えますか?+
端数の扱いも試験しだいです。特別区では30日を1月とし、1月未満は切り捨てるとしています。数え方が書かれていなければ、人事委員会・人事課に確認するのが確実です。