KEY TAKEAWAYS

この記事でわかること

  • 地方交付税は、自治体の間の財源の差をならし、どこでも一定の行政サービスができるよう国が配るお金。総務省は「国が地方に代わって徴収する地方税」(固有財源)と説明している。
  • 財源は所得税・法人税の33.1%、酒税の50%、消費税の19.5%、地方法人税の全額(地方交付税法6条)。
  • 普通交付税が94%、特別交付税が6%。普通交付税は「基準財政需要額−基準財政収入額」の不足分を基本に配られる。
  • 国は条件をつけたり使い道を制限したりできない一般財源。都道府県で普通交付税を受けていないのは東京都だけ。
この記事の目次
  1. 01地方交付税とは?何のためのお金?
  2. 02地方交付税のしくみを1枚で見る
  3. 03普通交付税の額はどう決まる?
  4. 04なぜ交付税は「依存財源なのに一般財源」?
  5. 05不交付団体とは?どこが該当する?
  6. 06地方交付税の問題点は?
  7. 07練習問題:地方交付税を4択で確かめる
  8. 08練習問題2:普通交付税の計算
  9. 09よくある質問
  10. 10出典・参考

地方交付税とは?何のためのお金?

地方交付税は、国が集めた税金の一部を、財源が足りない自治体に配るお金です。大都市には企業や人が集まって税収が多い一方、人口の少ない地域では税収が少なく、同じ水準の行政サービスを続けることが難しくなります。この差をならし、どの地域でも一定の行政水準を保てるよう財源を保障するのが地方交付税の役割です。

総務省は地方交付税を、本来は地方の税収入とすべきものを国が代わって徴収し、一定の合理的な基準で再配分する、いわば「国が地方に代わって徴収する地方税」であり「固有財源」だと説明しています。国からの「お恵み」ではなく、もともと地方の取り分だという考え方です。

働きは2つに分けて説明されます。自治体の間の財源の偏りをならす財源調整機能と、どの自治体も標準的な行政ができる額を確保する財源保障機能です。

地方交付税のしくみを1枚で見る

地方交付税の基本(地方交付税法3条・6条・6条の2・10条、2026年9月27日確認)
項目内容条文
財源所得税・法人税の33.1%、酒税の50%、消費税の19.5%、地方法人税の全額6条
種類と割合普通交付税94%、特別交付税6%6条の2
普通交付税の配り方基準財政需要額が基準財政収入額を超える自治体に、その差額を基本に交付10条
特別交付税の配り方災害など、普通交付税の算定では捕捉できない特別な事情に応じて交付15条
使い道国は条件をつけたり使途を制限したりしてはならない(一般財源)3条2項
決定の時期普通交付税は総務大臣が遅くとも毎年8月31日までに決定10条3項

財源の割合は、総務省によると所得税・法人税の33.1%と酒税の50%が平成27年度から、消費税の19.5%が令和2年度から、地方法人税の全額が平成26年度からのものです。「所得税・法人税は3割強、酒税は半分、消費税は約2割、地方法人税は全部」とつかんでから、正確な数字を覚えると混ざりにくくなります。

普通交付税の額はどう決まる?

普通交付税は、自治体ごとに2つの額を計算して比べます。

  1. 基準財政需要額を計算する:その自治体が標準的な行政をするのに必要な額。「単位費用×測定単位(人口・面積など)×補正係数」を行政の項目ごとに積み上げる。
  2. 基準財政収入額を計算する:標準的に見込まれる税収入に原則75%を掛け、地方譲与税などを加えた額。
  3. 差額を出す:需要額が収入額を上回れば、その不足分(財源不足額)を基本に普通交付税が交付される。上回らなければ交付されない(不交付団体)。
当サイトの計算例(架空の市。調整などを省いた単純化したモデル)
項目A市B市
基準財政需要額100億円100億円
標準的な税収入80億円140億円
基準財政収入額(税収入×75%+譲与税等5億円)65億円110億円
需要額−収入額35億円の不足10億円の超過
普通交付税35億円を基本に交付交付されない(不交付団体)

税収入に75%を掛けるのは、税収のすべてを収入額に数えると、自治体が税収を増やしても交付税が同じだけ減り、税収を増やす意欲がなくなるためと説明されます。残りの25%分は、自治体が独自の施策に使える余地になります。

実際には、全国の財源不足額の合計が普通交付税の総額を上回る場合に調整が入るなど、算定はもっと複雑です。試験では「需要額が収入額を上回る分を基本に交付」という骨格を押さえれば十分です。

なぜ交付税は「依存財源なのに一般財源」?

地方交付税法3条2項は、国は交付にあたり地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならないと定めています。つまり交付税は、自治体が自分の判断で何にでも使える一般財源です。

一方、国から配られるお金なので分類上は依存財源です。この「依存財源なのに一般財源」という組合せが、財源の分類でもっとも問われやすいポイントです。分類の全体像は自主財源と依存財源で整理しています。

地方交付税と国庫支出金の比較
地方交付税国庫支出金
目的自治体の間の財源の差をならし、財源を保障する国が決めた特定の事業を進める
使い道自由(一般財源)決まっている(特定財源)
配り方法律で決まった算式で計算事業ごとに負担・補助の割合を決める
財源の分類依存財源依存財源

国庫支出金と地方債については国庫支出金と地方債で詳しく説明しています。

不交付団体とは?どこが該当する?

税収が豊かで、基準財政収入額が基準財政需要額を上回る自治体には普通交付税が交付されません。これを不交付団体といいます。

総務省の「令和8年版 地方財政白書」によると、令和6年度の不交付団体は、都道府県では東京都の1団体、市町村では75団体でした。東京都によると、都は昭和29年度に交付税制度が発足して以来、引き続き不交付団体です。令和8年度の当初算定でも、都内39市町村のうち10団体(9市1町)が不交付団体となっています。

注意したいのは、不交付団体でも国庫支出金や特別交付税などは受け取ることがある点です。「国からのお金をまったく受けない団体」という意味ではありません。令和6年度の特別交付税は、都道府県では東京都を除く全団体に、市町村では全1,718団体に交付されています(同白書)。

不交付団体の数は税収の増減で毎年変わります。令和8年度の普通交付税は2026年7月24日に決定され、総額は18兆9,737億円でした。最新の団体数は総務省の算定結果で確認してください。

地方交付税の問題点は?

制度の課題としてよく挙げられるのは、次のような点です。いずれも評価が分かれる論点なので、試験では「どんな議論があるか」を知っておく程度で足ります。

  • 財源不足が続いている:法定の国税の割合だけでは必要な総額に足りず、不足分の一部を自治体が臨時財政対策債(地方財政法5条の特例の地方債)を発行して補ってきた。
  • 自立を促しにくいという指摘:不足分が補われるため、自治体が歳出を抑えたり税収を増やしたりする動機が弱まる、という議論がある。収入額に75%を掛けるしくみは、この問題への対応の1つとされる。
  • 算定が複雑で分かりにくい:補正係数などが多く、住民から見て配分の理由が分かりにくいという指摘がある。

練習問題:地方交付税を4択で確かめる

当サイトのオリジナル問題です。1問1分を目安にしてください。

問1 地方交付税の財源として、国税の収入額に掛ける割合の組合せが正しいものはどれか。(ア 所得税・法人税 イ 酒税 ウ 消費税)

  1. ア 50% イ 33.1% ウ 19.5%
  2. ア 33.1% イ 50% ウ 19.5%
  3. ア 33.1% イ 19.5% ウ 50%
  4. ア 19.5% イ 50% ウ 33.1%
問1の解説|正解は2(地方交付税法6条1項)
選択肢正誤理由
1誤りアとイが入れ替わっている。酒税が50%
2正しい所得税・法人税33.1%、酒税50%、消費税19.5%。これに地方法人税の全額が加わる
3誤りイとウが入れ替わっている。消費税は19.5%
4誤りアとウが入れ替わっている。所得税・法人税が33.1%

練習問題2:普通交付税の計算

問2 ある市の基準財政需要額は120億円、標準的な税収入は100億円、地方譲与税等は10億円である。基準財政収入額を「標準的な税収入×75%+地方譲与税等」とし、調整は考えないとき、この市の普通交付税の額(財源不足額)はいくらか。

  1. 10億円
  2. 20億円
  3. 35億円
  4. 45億円
問2の解説|正解は3(収入額=100×0.75+10=85億円、120−85=35億円)
選択肢正誤その数が出てくる考え方
1誤り120−100−10。税収入に75%を掛けていない
2誤り120−100。75%を掛けず、譲与税等も加えていない
3正しい基準財政収入額は85億円。需要額120億円との差35億円
4誤り120−75。75%は掛けたが、譲与税等10億円を加えていない

Q & A

よくある質問

Q.交付税の割合はずっと同じですか?

法改正で変わることがあります。総務省によると、所得税・法人税の33.1%と酒税の50%は平成27年度から、消費税の19.5%は令和2年度から、地方法人税の全額は平成26年度からの割合です。

Q.不交付団体は国からお金を一切もらっていないのですか?

普通交付税を受けていないという意味です。国庫支出金などほかの国からのお金は受け取ることがあります。特別交付税も別枠で、令和6年度は東京都以外の全道府県と全市町村に交付されました。

Q.BESTではどこまで覚えればよいですか?

当サイトでは、財源の税目と割合、普通94%・特別6%、一般財源であること、東京都が不交付団体であること、国庫支出金との違いの5点を優先しています。覚えたら、登録不要の無料お試し10問で4択のペースに慣れておくと安心です。

出典・参考

読了、おつかれさまでした。ほかの対策ガイドを読む