KEY TAKEAWAYS

この記事でわかること

  • 国庫支出金は、国が使い道を決めて自治体に出すお金(依存財源・特定財源)。負担金・委託金・補助金に分けて説明される。
  • 地方債は自治体の借入れ。地方財政法5条により、原則として公共施設の建設事業や災害復旧などの財源にしか使えない。
  • 地方債は、かつての許可制から2006年度に協議制へ移った。一定の要件を満たす団体は届出で足り、財政が悪化した団体は今も許可が必要。
  • 交付税は「使い道自由・返済不要」、国庫支出金は「使い道指定・返済不要」、地方債は「使い道原則限定・返済必要」と3つ並べて覚える。
この記事の目次
  1. 01国庫支出金とは?どんなお金?
  2. 02交付税・国庫支出金・地方債の比較表
  3. 03国庫支出金の負担金・委託金・補助金はどう違う?
  4. 04地方債は何のためになら発行できる?
  5. 05許可制・協議制・届出制はどう違う?
  6. 06練習問題:地方債を4択で確かめる
  7. 07練習問題2:3つの財源を見分ける
  8. 08よくある質問
  9. 09出典・参考

国庫支出金とは?どんなお金?

国庫支出金は、国が特定の事業のために使い道を決めて自治体に支出するお金です。総務省の地方財政白書は「国と地方公共団体の経費負担区分に基づき、国が地方公共団体に対して支出する負担金、委託費、特定の施策の奨励又は財政援助のための補助金等」と説明しています。

使い道が決まっているので特定財源、国から入ってくるので依存財源です。令和6年度決算では、地方全体で20兆1,862億円の国庫支出金が交付されました(令和8年版 地方財政白書)。同じ年度の地方交付税19兆9,346億円とほぼ同じ規模です。

交付税・国庫支出金・地方債の比較表

地方の主な依存財源の比較(地方交付税法・地方財政法、2026年9月27日確認)
地方交付税国庫支出金地方債
性格国が代わって集めた地方の固有財源国が特定の事業のために出すお金自治体の借入れ
使い道自由(一般財源)決まっている(特定財源)原則として建設事業など(特定財源)
返済不要不要必要(元金と利子を償還)
国の関与条件をつけたり使途を制限したりしてはならない事業ごとに基準や負担・補助の割合を定める原則として総務大臣・知事と協議(届出・許可の場合あり)
令和6年度決算額19兆9,346億円20兆1,862億円8兆8,506億円

3つとも国などから入る(または借りる)お金なので依存財源ですが、使い道と返済の有無がそれぞれ違います。自主財源・一般財源との関係は自主財源と依存財源、交付税の計算方法は地方交付税をわかりやすくで扱っています。

国庫支出金の負担金・委託金・補助金はどう違う?

国庫支出金は、地方財政法の条文に対応させて、性格ごとに3つに分けて説明されます。

国庫支出金の3つの種類(地方財政法10条〜10条の4・16条)
種類どんなお金か例のイメージ
国庫負担金国と自治体の双方に利害がある事務などについて、国が法令に基づいて経費の全部または一部を負担するお金(10条〜10条の3)義務教育や生活保護など、国も責任を持つ分野の経費
国庫委託金もっぱら国の利害に関係する事務を自治体が行うときに、その経費として国が出すお金(10条の4)国会議員の選挙の事務の経費など
国庫補助金国が施策を進めるため特別の必要があるときなどに、奨励や財政援助として出すお金(16条)国が推進したい事業を自治体に後押しする補助

国庫支出金は、国の政策を全国で同じ水準で進めるのに役立つ一方、「補助を受けるために国の基準に合わせる必要があり、地域の実情に合った使い方がしにくい」という問題点が指摘されてきました。2000年代半ば(2004〜2006年度)には、国庫補助負担金の削減・税源移譲・地方交付税の見直しを一体で進める「三位一体の改革」が行われています。

地方債は何のためになら発行できる?

地方債は、自治体が資金を借り入れ、1年度を超えて返済していく借入れです。地方財政法5条は「地方公共団体の歳出は、地方債以外の歳入をもつて、その財源としなければならない」と定め、借入れに頼らないことを原則にしています。そのうえで、例外として地方債を財源にできる場合を挙げています。

  • 水道・交通・ガスなどの公営企業の経費
  • 出資金・貸付金
  • 地方債の借換え
  • 災害応急事業・災害復旧事業・災害救助事業
  • 学校・保育所・消防施設・道路・河川・港湾など公共施設の建設事業や、そのための土地の購入

学校や道路は何十年も使うので、今の住民だけでなく将来の住民にも費用を分担してもらうのが公平だ、という考え方が背景にあります(世代間の負担の公平)。ただし、地方の財源不足を補う臨時財政対策債のように、5条の特例として投資的経費以外にも充てられる地方債もあります。

借入れ先は、国の財政融資資金などの公的資金のほか、市場公募債や銀行等引受債といった民間等資金に分かれます。2002年には、地域の住民が購入しやすい「住民参加型市場公募債」の発行も始まりました(平成18年版 地方財政白書)。

令和6年度末の地方債現在高は137兆991億円で、前年度末より1.8%減りました。交付税特別会計の借入金などを加えた「普通会計が負担すべき借入金残高」は179兆5,246億円です(令和8年版 地方財政白書)。

許可制・協議制・届出制はどう違う?

かつて地方債を発行するには国などの許可が必要でした。この許可制は1999年の地方分権一括法による改正で見直しが決まり、2006年度(平成18年度)から協議制に移りました。

地方債の発行手続きの3つの型(地方財政法5条の3・5条の4、総務省資料、2026年9月27日確認)
手続き内容対象
協議都道府県・指定都市は総務大臣、その他の市町村は都道府県知事に協議する。同意が得られなくても、あらかじめ議会に報告すれば発行できる原則
届出協議を省き、事前の届出で発行できる(2012年度に導入、2016年度に拡大)財政指標が一定の基準を満たす団体が民間等資金で起こす地方債など
許可総務大臣や知事の許可を受けなければ発行できない実質赤字額や実質公債費比率が一定以上の団体、元利償還の支払いを遅延している団体など

協議で同意を得た地方債は公的資金を借り入れることができ、元利償還金が地方財政計画に算入されます。同意のない地方債では、こうした扱いを受けられません(平成18年版 地方財政白書)。「すべての地方債に総務大臣の許可が必要」という選択肢は、現在の制度では誤りです。

練習問題:地方債を4択で確かめる

当サイトのオリジナル問題です。1問1分を目安にしてください。

問1 地方債に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 地方債は、原則として公共施設の建設事業や災害復旧事業などの財源とする場合に発行できる。
  2. 現在の制度では、自治体が地方債を発行するには、すべて総務大臣の許可が必要である。
  3. 地方債は返済の必要があるが、使い道が自由な一般財源に分類される。
  4. 総務大臣などとの協議で同意が得られなかった地方債は、議会に報告しても発行できない。
問1の解説|正解は1(地方財政法5条)
選択肢正誤理由
1正しい地方債以外の歳入で賄うのが原則で、建設事業・災害復旧・公営企業などが例外として認められている
2誤り2006年度から協議制。許可が必要なのは財政が悪化した団体などに限られ、届出で足りる場合もある
3誤り地方債は原則として使い道が限られる特定財源。臨時財政対策債などの特例は例外
4誤り財政状況が健全な団体は、同意がなくても、あらかじめ議会に報告すれば発行できる

練習問題2:3つの財源を見分ける

問2 自治体の歳入のうち、「返済が必要」で、かつ「使い道が原則として限られている」ものとして、もっとも適当なものはどれか。

  1. 地方交付税
  2. 国庫補助金
  3. 地方譲与税
  4. 地方債
問2の解説|正解は4
選択肢正誤理由
1誤り返済は不要で、使い道も自由な一般財源
2誤り使い道は限られる特定財源だが、返済は不要
3誤り返済は不要で、使途の制限もない一般財源
4正しい借入れなので返済が必要。原則として建設事業などの財源に限られる

Q & A

よくある質問

Q.国庫支出金と地方交付税はどちらが多いですか?

年度によって変わります。令和6年度決算では、国庫支出金が20兆1,862億円、地方交付税が19兆9,346億円で、ほぼ同じ規模でした。

Q.臨時財政対策債とは何ですか?

地方の一般財源の不足に対処するため、地方財政法5条の特例として発行される地方債で、投資的経費以外にも充てられます。総務省はこれを一般財源と同様に使える「一般財源等」に含めて扱っています。

Q.地方財政の知識は、どう練習すればよいですか?

比較表の縦の列(使い道・返済・国の関与)を1つずつ隠して言えるかを確かめ、4択で使えるかを試します。登録不要の無料お試し10問では、社会情勢を含む4分野を1問1分のペースで解けます。

出典・参考

読了、おつかれさまでした。ほかの対策ガイドを読む