KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 自主財源は自治体が自ら集めるお金(地方税・使用料・手数料など)、依存財源は国などから交付・配分されるお金や借入れ(地方交付税・国庫支出金・地方債・地方譲与税など)。
- もう1つの軸が使い道。一般財源は使い道が自由(地方税・地方交付税・地方譲与税など)、特定財源は使い道が決まっている(国庫支出金・地方債など)。
- いちばん問われやすいのは地方交付税。「依存財源だが一般財源」と覚える。
- 令和6年度決算の地方の歳入は120兆2,491億円。地方税46兆2,691億円、国庫支出金20兆1,862億円、地方交付税19兆9,346億円(総務省「令和8年版 地方財政白書」)。
この記事の目次
地方の歳入はどんなお金でできている?
都道府県や市町村の仕事は、住民から集める税金だけでまかなわれているわけではありません。国から配られるお金や、借入れ(地方債)も大きな割合を占めています。総務省の「令和8年版 地方財政白書」によると、令和6年度の地方全体の歳入(普通会計の純計決算額)は120兆2,491億円でした。
| 項目 | 決算額 | 歳入全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 地方税 | 46兆2,691億円 | 約38.5%(当サイトで計算) |
| 国庫支出金 | 20兆1,862億円 | 約16.8%(同) |
| 地方交付税 | 19兆9,346億円 | 約16.6%(同) |
| 地方債 | 8兆8,506億円 | 7.4%(白書の地方債依存度) |
| 地方譲与税 | 3兆962億円 | 約2.6%(当サイトで計算) |
白書によると、租税全体のうち国税は63.7%、地方税は36.3%ですが、地方交付税や地方譲与税などを国から地方へ配ったあとの実質的な配分は、国44.7%、地方55.3%に逆転します。地方は仕事の量に比べて自前の税収が少なく、その差を国からのお金で埋めている、というのが地方財政の基本の姿です。
自主財源と依存財源・一般財源と特定財源の分類表
歳入を分類する軸は2つあります。誰が集めるか(自主財源か依存財源か)と、使い道が自由か(一般財源か特定財源か)です。2つの軸を組み合わせると、次の表になります。これが歳入の分類の「図」です。
| 一般財源(使い道が自由) | 特定財源(使い道が決まっている) | |
|---|---|---|
| 自主財源(自ら集める) | 地方税 | 使用料・手数料、分担金など |
| 依存財源(国などから/借入れ) | 地方交付税、地方譲与税、地方特例交付金 | 国庫支出金、地方債、都道府県支出金 |
総務省の白書は「一般財源」を「地方税、地方譲与税、地方特例交付金等及び地方交付税の合計額」と説明しています。表の左の列に入るものが、この4つだと確かめておきましょう。
自主財源とは?どんな収入が入る?
自主財源は、自治体が自らの権限で集めるお金です。代表は地方税(住民税・固定資産税・事業税・地方消費税など)で、ほかに公共施設の使用料、証明書の発行などの手数料、分担金、財産収入、寄附金、繰入金などがあります。
自主財源の割合が高いほど、国の方針に左右されずに予算を組みやすくなります。白書では、人口1人あたりの地方税収は最も大きい東京都と最も小さい長崎県で約2.4倍の差があるとされています。都市部の自治体は税収が多く自主財源の割合が高くなりやすく、税収の少ない自治体は依存財源の割合が高くなりがちです。
依存財源とは?それぞれ何のためのお金?
- 地方交付税:自治体の間の財源の差を調整し、どこでも一定の行政サービスができるよう、国税の一定割合を国が配るお金。使い道は自由。→地方交付税をわかりやすく
- 国庫支出金:国が使い道を決めて出す負担金・補助金・委託金。→国庫支出金と地方債
- 地方債:自治体の借入れ。原則として建設事業などの財源にあてる。
- 地方譲与税:本来は地方税にすべき税源を、いったん国税として集めて自治体に譲与するもの(特別法人事業譲与税、森林環境譲与税など)。
- 都道府県支出金:都道府県が市町村に出すお金。
地方交付税は国から配られるので依存財源ですが、地方交付税法3条2項は、国が交付にあたって条件をつけたり使途を制限したりしてはならないと定めています。そのため一般財源です。白書は交付税を「地方の固有財源」とも説明しており、「国が恩恵として配るお金」ではない点も押さえておきましょう。
混同しやすい「〜と〜の違い」
| 取り違え | 正しい整理 |
|---|---|
| 地方交付税は特定財源 | 依存財源だが一般財源(使途の制限なし) |
| 地方税は依存財源 | 自主財源で一般財源 |
| 国庫支出金は一般財源 | 使い道が決まった特定財源 |
| 地方譲与税は国税なので自主財源 | 国が集めて譲与するので依存財源。使途の制限がないので一般財源 |
| 自主財源=一般財源 | 別の軸。使用料・手数料は自主財源だが特定財源に分類される |
財政の健全さはどの指標で見る?
自治体の財政は、いくつかの指標で比べられます。名前と「高いと良いのか悪いのか」をセットで覚えましょう。
- 財政力指数:基準財政収入額を基準財政需要額で割った値の過去3年の平均。高いほど財源に余裕がある。単年度の値が1以上の団体は普通交付税の不交付団体になる。
- 経常収支比率:毎年決まって入る一般財源のうち、人件費・扶助費・公債費など毎年決まって出ていく経費にあてた割合。高いほど自由に使えるお金が少なく、財政が硬直化している。
- 健全化判断比率:実質赤字比率・連結実質赤字比率・実質公債費比率・将来負担比率の4つ。基準以上になると財政健全化計画などを作る必要がある。
- 地方債依存度:歳入総額に占める地方債の割合。令和6年度は7.4%。
受験する自治体の財政の数字を面接や論文の前に見ておきたい人は、総務省が公表している各団体の「決算カード」や「主要財政指標一覧」で、財政力指数や経常収支比率を確認できます。数字は毎年度の決算で変わるので、見るときは何年度の値かも一緒に確かめてください。
練習問題:財源の分類を4択で確かめる
当サイトのオリジナル問題です。1問1分を目安にしてください。
問1 次のア〜エのうち、依存財源であり、かつ一般財源であるものの組合せとして妥当なものはどれか。
ア:地方税 イ:地方交付税 ウ:国庫支出金 エ:地方譲与税
- イとエ
- アとイ
- ウとエ
- アとウ
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 正しい | 地方交付税と地方譲与税は国から配られる依存財源で、使途の制限がない一般財源 |
| 2 | 誤り | アの地方税は自主財源。一般財源ではあるが依存財源ではない |
| 3 | 誤り | ウの国庫支出金は依存財源だが、使い道が決まった特定財源 |
| 4 | 誤り | アは自主財源、ウは特定財源で、どちらも条件に合わない |
練習問題2:財政の用語
問2 地方財政に関する記述として、正しいものはどれか。
- 地方税は、国が集めて自治体に配分するため、依存財源に分類される。
- 経常収支比率が高いほど、自治体が自由に使える財源に余裕がある。
- 財政力指数が1を下回る団体には、普通交付税は交付されない。
- 国庫支出金は、国が使い道を指定して交付する特定財源である。
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 誤り | 地方税は自治体が自ら課税・徴収する自主財源。国が集めて配るのは地方交付税や地方譲与税 |
| 2 | 誤り | 経常収支比率が高いほど、決まった支出に一般財源が使われ、自由に使える余地が小さい |
| 3 | 誤り | 逆。需要額が収入額を上回る(指数が1未満の)団体に普通交付税が交付される |
| 4 | 正しい | 国庫支出金は負担金・補助金・委託金などで、使い道が決まっている |
Q & A
よくある質問
Q.ふるさと納税の寄附金は自主財源ですか?+
寄附金は自治体が自ら受け入れる収入なので、分類上は自主財源に含まれます。制度のしくみはふるさと納税のルールで説明しています。
Q.地方譲与税は国税なのに一般財源なのですか?+
はい。形式上は国税として集められますが、本来は地方の税源とされるもので、使い道の制限がないため一般財源に分類されます。集める主体が国なので、依存財源です。
Q.地方債はすべて特定財源ですか?+
地方債は原則として建設事業などの財源にあてるため特定財源とされます。ただし臨時財政対策債のように一般財源の不足を補う特例の地方債もあり、総務省はこれを「一般財源等」に含めて扱っています。
Q.覚えたら、どう練習すればよいですか?+
分類は2つの軸を1つずつ当てる練習が効果的です。4分野を1問1分で解く形式に慣れたい人は、登録不要の無料お試し10問も使えます。