KEY TAKEAWAYS

この記事でわかること

  • 地方公共団体は、普通地方公共団体(都道府県・市町村)と特別地方公共団体(特別区・地方公共団体の組合・財産区)に分かれる(地方自治法1条の3)。
  • 組合には一部事務組合と広域連合の2種類がある。どちらも複数の自治体が事務を共同で処理するためのしくみ。
  • 一部事務組合は特定の事務を共同処理する。広域連合は広域計画を作り、住民の直接請求の制度があり、国や都道府県の事務を処理することもできる。
  • 代表例は、都道府県ごとに全市町村が加入する後期高齢者医療広域連合。
この記事の目次
  1. 01地方公共団体にはどんな種類がある?
  2. 02一部事務組合と広域連合の比較表
  3. 03一部事務組合は何をしている?
  4. 04広域連合は一部事務組合と何が違う?
  5. 05後期高齢者医療広域連合とは?
  6. 06組合以外の協力のしくみは?
  7. 07混同しやすい「〜と〜の違い」
  8. 08練習問題:地方公共団体の種類を4択で確かめる
  9. 09練習問題2:一部事務組合と広域連合
  10. 10よくある質問
  11. 11出典・参考

地方公共団体にはどんな種類がある?

地方自治法1条の3は、地方公共団体を次のように分けています。「特別区は市と同じ普通地方公共団体」という選択肢は誤りなので、分類から押さえましょう。

地方公共団体の種類(地方自治法1条の3、2026年9月27日確認)
区分種類ひとこと
普通地方公共団体都道府県市町村を包括する広域の自治体
普通地方公共団体市町村住民に最も身近な基礎的な自治体
特別地方公共団体特別区東京都の23区
特別地方公共団体地方公共団体の組合一部事務組合と広域連合
特別地方公共団体財産区市町村などの一部が財産や公の施設を持つ場合の団体

特別区の詳しい性格は政令指定都市と中核市の違いで扱っています。

一部事務組合と広域連合の比較表

一部事務組合と広域連合の比較(地方自治法284条・291条の2〜291条の7、2026年9月27日確認)
比べる点一部事務組合広域連合
目的構成団体の事務の一部を共同処理する広域的に処理することが適当な事務について、広域計画を作って総合的・計画的に処理する
設置規約を定め、都道府県が加入するものは総務大臣、その他は知事の許可同様に規約を定め、総務大臣または知事の許可
国・都道府県の事務処理しない法律・政令や条例の定めにより、国や都道府県の事務を処理することがある
広域計画なし設置後速やかに、議会の議決を経て作成する
議員・長の選び方規約で定める(構成団体の議会での選挙など)規約で定め、住民の直接選挙または構成団体の議会での選挙
住民の直接請求なし条例の制定改廃・監査・解散・解職などの請求ができる

総務省の「令和8年版 地方財政白書」は、令和6年度の普通会計決算の対象として、一部事務組合1,129団体、広域連合113団体を挙げています。一部事務組合のほうが数はずっと多く、広域連合は住民の参加や計画性を強めた、より新しい形の組合です。

一部事務組合は何をしている?

一部事務組合は、複数の市町村などが、ある特定の事務だけを共同で処理するために作る組合です(284条2項)。たとえば、ごみ処理施設や消防、火葬場、し尿処理など、1つの市町村だけで施設を持つと効率が悪い事務でよく使われます。

構成団体の間で規約を定め、都道府県が加入するものは総務大臣、それ以外は都道府県知事の許可を得て設けます。組合に事務を移すと、その事務について構成団体の執行機関の権限はなくなります。

市町村と特別区の場合は、互いに関連する複数の事務をまとめて共同処理する一部事務組合(複合的一部事務組合)も設けられます(285条)。構成団体ごとに参加する事務が違っていてもよい点が特徴です。

広域連合は一部事務組合と何が違う?

広域連合は、広域的な対応が必要な事務について、広域計画を作って総合的・計画的に処理するための組合です。一部事務組合との違いは、主に3つあります。

  1. 国や都道府県の事務も処理できる:国は法律・政令で、都道府県は条例で、それぞれの事務のうち広域連合の事務に関連するものを広域連合に処理させることができる(291条の2)。
  2. 広域計画を作る:設けられたあと速やかに、議会の議決を経て広域計画を作成しなければならない(291条の7)。
  3. 住民の参加のしくみが強い:議員や長を住民の直接選挙で選ぶことも規約で定められ(291条の5)、条例の制定改廃や監査、解散・解職などの直接請求も認められている(291条の6)。

直接請求の署名数や請求先の考え方は、ふつうの自治体と同じ体系です。全体像は直接請求権の一覧表で確認できます。

後期高齢者医療広域連合とは?

広域連合の代表例が後期高齢者医療広域連合です。高齢者の医療の確保に関する法律48条は、市町村が後期高齢者医療の事務(保険料の徴収などを除く)を処理するため、都道府県の区域ごとに、その区域内のすべての市町村が加入する広域連合を設けると定めています。

そのため、後期高齢者医療の保険者は、市町村ではなく各都道府県の広域連合です。保険料の徴収や窓口の受付は市町村が担い、保険料の決定や給付は広域連合が担う、という役割分担になっています。「後期高齢者医療は市町村ごとに単独で運営される」という選択肢は誤りです。

このほか、ごみ処理や消防、観光振興などを目的とした広域連合もあります。都道府県が加入する広域連合もあり、関西の府県などで作る関西広域連合がよく知られています。

組合以外の協力のしくみは?

自治体どうしが協力する方法は、組合(別の団体を作る方法)だけではありません。地方自治法は、団体を作らずに協力する方法として、連携協約、協議会、機関等の共同設置、事務の委託、事務の代替執行、職員の派遣なども定めています(第12章第3節)。

組合との違いは、新しい法人格を持つ団体を作るかどうかです。一部事務組合と広域連合は特別地方公共団体として独立した団体ですが、事務の委託などは既存の自治体どうしの約束で行います。

混同しやすい「〜と〜の違い」

組合と似た言葉の取り違え
取り違え正しい整理
広域連合は普通地方公共団体組合は特別地方公共団体。普通は都道府県と市町村だけ
一部事務組合にも広域計画がある広域計画の作成義務は広域連合だけ
組合の設置は構成団体の協議だけでよい規約を定めたうえで、総務大臣または都道府県知事の許可が必要
事務の委託でも新しい団体ができる委託は既存の自治体どうしの約束。新しい団体はできない
後期高齢者医療の保険者は市町村都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合が保険者

地方公共団体の種類と、住民が地域のことを自ら決める考え方との関係は地方自治の本旨とはで整理しています。

練習問題:地方公共団体の種類を4択で確かめる

当サイトのオリジナル問題です。1問1分を目安にしてください。

問1 地方自治法上、普通地方公共団体に当たるものはどれか。

  1. 特別区
  2. 市町村
  3. 財産区
  4. 一部事務組合
問1の解説|正解は2(地方自治法1条の3第2項)
選択肢正誤理由
1誤り特別区は特別地方公共団体。市と同じような事務を担っても分類は別
2正しい普通地方公共団体は都道府県と市町村の2つだけ
3誤り財産区は特別地方公共団体
4誤り一部事務組合は地方公共団体の組合で、特別地方公共団体

練習問題2:一部事務組合と広域連合

問2 一部事務組合と広域連合に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 広域連合には、住民による直接請求の制度は設けられていない。
  2. 一部事務組合は、構成する市町村の協議だけで、許可を得ずに設けることができる。
  3. 後期高齢者医療の事務は、市町村ごとに単独の保険者として運営されている。
  4. 広域連合は、法律や条例の定めにより、国や都道府県の事務を処理することがある。
問2の解説|正解は4(地方自治法291条の2)
選択肢正誤理由
1誤り広域連合には条例の制定改廃や解散・解職などの直接請求の制度がある(291条の6)
2誤り規約を定め、総務大臣または都道府県知事の許可を得る必要がある(284条2項)
3誤り都道府県ごとに全市町村が加入する後期高齢者医療広域連合が運営する
4正しい国は法律・政令で、都道府県は条例で、関連する事務を広域連合に処理させることができる

Q & A

よくある質問

Q.一部事務組合と広域連合は、どちらも地方公共団体ですか?

はい。どちらも「地方公共団体の組合」として特別地方公共団体に分類されます(地方自治法1条の3第3項)。

Q.財産区とは何ですか?

市町村などの一部が財産や公の施設を持っている場合に、その管理や処分を行うための特別地方公共団体です(地方自治法294条)。山林や温泉などを管理している例があります。

Q.覚えたら、どう練習すればよいですか?

分類の問題は「普通は2つだけ」を軸に4択で確かめるのが効果的です。登録不要の無料お試し10問では、社会情勢を含む4分野を1問1分のペースで解けます。

出典・参考

読了、おつかれさまでした。ほかの対策ガイドを読む