KEY TAKEAWAYS

この記事でわかること

  • 服務の根本基準は「全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、職務に専念する」こと(地方公務員法30条)。
  • 職務上の義務は、法令等と上司の命令に従う義務・職務に専念する義務など。勤務時間中の義務と考える。
  • 身分上の義務は、信用失墜行為の禁止・守秘義務(退職後も)・政治的行為の制限・争議行為の禁止・営利企業への従事制限。勤務時間外にも及ぶ。
  • 懲戒は免職・停職・減給・戒告の4種類(29条)。降任・休職・降給は分限で、処分の性格が違う。
この記事の目次
  1. 01服務とは?根本の基準は何?
  2. 02服務の8つの義務の一覧表
  3. 03職務上の義務:上司の命令にはどこまで従う?
  4. 04身分上の義務:勤務時間外にも守るルールとは?
  5. 05懲戒と分限はどう違う?
  6. 06国家公務員とはどこが違う?
  7. 07面接の準備にどう生かす?
  8. 08練習問題:服務の義務を4択で確かめる
  9. 09練習問題2:職務上の義務と身分上の義務
  10. 10よくある質問
  11. 11出典・参考

服務とは?根本の基準は何?

服務とは、公務員が職務に就くうえで守るべき義務や規律のことです。地方公務員法30条は、服務の根本基準として「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」と定めています。これは憲法15条2項の「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」を具体化したものです。

職員は、採用されると条例の定めるところにより服務の宣誓を行います(31条)。社会人採用で自治体に入る人にとっては、試験の知識であると同時に、働き始めてから守るルールそのものです。

服務の8つの義務の一覧表

地方公務員の服務(地方公務員法30条〜38条、2026年9月27日確認)
区分義務条文ポイント
職務上の義務服務の宣誓31条条例の定めるところにより宣誓する
職務上の義務法令等及び上司の職務上の命令に従う義務32条法令・条例・規則・規程に従い、上司の職務上の命令に忠実に従う
職務上の義務職務に専念する義務35条勤務時間と職務上の注意力のすべてを職責遂行に用いる(法律・条例の例外あり)
身分上の義務信用失墜行為の禁止33条職の信用を傷つけたり、職員の職全体の不名誉となる行為をしない(勤務時間外も)
身分上の義務秘密を守る義務34条職務上知り得た秘密を漏らさない。退職後も同様
身分上の義務政治的行為の制限36条政党の結成への関与・役員就任や、特定の政治目的での一定の行為を制限
身分上の義務争議行為等の禁止37条同盟罷業(ストライキ)・怠業などをしてはならない
身分上の義務営利企業への従事等の制限38条任命権者の許可なく営利企業の役員を兼ねたり、報酬を得て事業に従事したりしない

服務の宣誓を職務上の義務に入れるか、別に扱うかは解説書によって違いがあります。試験では「どの義務が勤務時間外にも及ぶか(身分上の義務)」の区別が重要です。

職務上の義務:上司の命令にはどこまで従う?

32条は、法令・条例・規則・規程に従うことと、上司の職務上の命令に忠実に従うことを求めています。ここでいう命令は「職務上の」命令で、職務と関係のない私的な指示までは含まれません。

35条の職務に専念する義務には、「法律又は条例に特別の定がある場合を除く外」という例外があります。休職や研修、条例で定める職務専念義務の免除などがその例です。「職務専念義務には例外がない」という選択肢は誤りです。

また、上司の命令に重大かつ明白な違法がある場合まで従う義務はないと説明されるのが一般的です。試験では「職務上の命令」という限定がついている点を押さえておけば十分です。

身分上の義務:勤務時間外にも守るルールとは?

  • 信用失墜行為の禁止(33条):飲酒運転など、勤務時間外の私生活での行為でも、職の信用を傷つければ対象になる。
  • 守秘義務(34条):職務上知り得た秘密は、在職中だけでなく退職後も漏らしてはならない。違反には1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の罰則がある(60条)。
  • 政治的行為の制限(36条):政党などの結成に関与したり役員になったりすることや、特定の政治目的をもって一定の政治的行為をすることが制限される。ただし、勤務する自治体の区域の外では、投票の勧誘運動など一部の行為は制限されない(36条2項ただし書)。
  • 争議行為等の禁止(37条):住民に対してストライキや怠業をしてはならず、それを企てたり、そそのかしたりすることも禁止される。
  • 営利企業への従事等の制限(38条):任命権者の許可を受けなければ、営利企業の役員を兼ねたり、自ら営利企業を営んだり、報酬を得て事業や事務に従事したりできない。短時間勤務の非常勤職員などは対象外とされている。

懲戒と分限はどう違う?

義務に違反したときの「罰」が懲戒、本人の能力や心身の状態などを理由に身分を変更するのが分限です。名前が似た処分が並ぶので、表で区別しましょう。

懲戒と分限の比較(地方公務員法27条〜29条)
比べる点懲戒(29条)分限(28条)
目的義務違反への制裁公務の能率を保つための身分の変更
主な理由法令違反、職務上の義務違反・職務を怠ること、全体の奉仕者にふさわしくない非行勤務実績がよくない、心身の故障、適格性の欠如、職制・定数の改廃など
処分の種類免職・停職・減給・戒告(4種類)免職・降任・休職・降給
覚え方「免・停・減・戒」「免・降任・休・降給」

「免職」はどちらにもあります。「停職」「減給」「戒告」が出たら懲戒、「降任」「休職」「降給」が出たら分限、と見分けると速くなります。

国家公務員とはどこが違う?

服務の骨格は国家公務員法とほぼ同じですが、違いもあります。代表的なのが政治的行為の制限です。国家公務員法は、政治的行為の制限(102条1項)に違反した人に刑事罰を定めています(110条)。これに対し、地方公務員法の罰則(60条〜63条)には36条違反が含まれておらず、違反は懲戒処分の対象になります。

また、地方公務員が在職中に公職の選挙に立候補することは、公職選挙法89条で原則として制限され、立候補の届出をすると職を辞したものとみなされます(同法90条)。選挙の要件は被選挙権の年齢と任期で整理しています。

面接の準備にどう生かす?

服務のルールは、社会人採用の面接で「公務員として働くうえで大切にしたいこと」を聞かれたときの手がかりにもなります。ただし、条文を暗唱するより、「全体の奉仕者」「守秘義務」「兼業の制限」が前職の経験とどうつながるかを自分の言葉で説明できるほうが伝わりやすいでしょう。面接での評価のしかたは自治体ごとに異なるため、知識を話すことが有利になると断定はできません。

筆記では、義務の区分と処分の種類の組合せで問われる形が考えられます。自治体の組織全体の知識は地方自治のまとめから確認できます。

練習問題:服務の義務を4択で確かめる

当サイトのオリジナル問題です。1問1分を目安にしてください。

問1 地方公務員法に定める服務に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 職員は、職務上知り得た秘密を、その職を退いた後も漏らしてはならない。
  2. 懲戒処分の種類は、免職・降任・休職・降給の4つである。
  3. 職員は、任命権者の許可がなくても、営利企業の役員を兼ねることができる。
  4. 職員の争議行為は、住民の同意があれば認められる。
問1の解説|正解は1(地方公務員法34条1項)
選択肢正誤理由
1正しい守秘義務は退職後も続く
2誤りこれは分限処分の種類。懲戒は免職・停職・減給・戒告(29条)
3誤り営利企業の役員を兼ねるには任命権者の許可が必要(38条)
4誤り争議行為は禁止されており、住民の同意による例外はない(37条)

練習問題2:職務上の義務と身分上の義務

問2 次のうち、一般に「職務上の義務」に分類されるものはどれか。

  1. 秘密を守る義務
  2. 信用失墜行為の禁止
  3. 職務に専念する義務
  4. 政治的行為の制限
問2の解説|正解は3(地方公務員法35条)
選択肢正誤理由
1誤り守秘義務は勤務時間外や退職後にも及ぶ身分上の義務
2誤り私生活の行為も対象になる身分上の義務
3正しい勤務時間中の注意力を職務に向ける義務で、職務上の義務
4誤り職員の身分に伴う制限で、身分上の義務

Q & A

よくある質問

Q.副業は一切できないのですか?

一切禁止ではなく、任命権者の許可制です(地方公務員法38条)。許可の基準は人事委員会規則などで定められ、自治体によって運用が異なるので、採用後は所属先のルールを確認してください。

Q.守秘義務に違反すると刑罰がありますか?

あります。秘密を漏らした場合は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処せられます(地方公務員法60条2号)。懲戒処分の対象にもなります。

Q.覚えたら、どう練習すればよいですか?

義務の区分と処分の種類を入れ替えた4択で確かめるのが効果的です。登録不要の無料お試し10問では、社会情勢を含む4分野を1問1分のペースで解けます。

出典・参考

読了、おつかれさまでした。ほかの対策ガイドを読む