KEY TAKEAWAYS

この記事でわかること

  • 自治体には首長のほかに、法律で置く行政委員会・委員という執行機関がある(執行機関多元主義)。
  • すべての自治体に置くのは教育委員会・選挙管理委員会・人事委員会または公平委員会・監査委員(地方自治法180条の5)。
  • 都道府県だけに置くのは公安委員会・労働委員会・収用委員会など、市町村だけに置くのは農業委員会・固定資産評価審査委員会。
  • 人事委員会は都道府県と指定都市に置き、職員の競争試験・選考を行う。人口15万以上の市と特別区は人事委員会か公平委員会を選ぶ。
この記事の目次
  1. 01行政委員会とは?なぜ首長から独立している?
  2. 02行政委員会の種類一覧
  3. 03教育委員会はどんなしくみ?首長との関係は?
  4. 04選挙管理委員会の委員はどう選ばれる?
  5. 05人事委員会と公平委員会はどう違う?
  6. 06委員の選ばれ方と任期は?
  7. 07練習問題:行政委員会を4択で確かめる
  8. 08練習問題2:委員会の権限と選ばれ方
  9. 09よくある質問
  10. 10出典・参考

行政委員会とは?なぜ首長から独立している?

自治体の執行機関は首長だけではありません。地方自治法138条の4は、首長のほかに法律の定めるところにより委員会または委員を置くとしています。これを行政委員会(委員)といい、執行機関を1つにまとめず複数に分けるしくみを執行機関多元主義と呼びます。

委員会を首長から独立させるのは、選挙・教育・警察のように政治的な中立性が特に求められる分野や、職員の人事や土地収用のように公正な判断や専門性が必要な分野で、首長1人に権限を集中させないためと説明されます。

一方で、委員会には予算を調製・執行する権限や、議会に議案を出す権限、地方税を課す権限などはありません(180条の6)。お金と議案は首長に一本化されている、という点も押さえておきましょう。

行政委員会の種類一覧

置く自治体×委員会・委員×主な役割(地方自治法180条の5・180条の8・180条の9・202条の2ほか、2026年9月27日確認)
置く自治体委員会・委員主な役割
すべての自治体教育委員会学校などの教育機関の管理、教育課程・教科書の取扱い、教職員の身分取扱い、社会教育・文化
すべての自治体選挙管理委員会選挙の管理、直接請求の解散・解職の投票の実施
すべての自治体人事委員会または公平委員会人事委員会は職員の競争試験・選考、給与などの勧告、不利益処分の審査。公平委員会は勤務条件の措置要求と不利益処分の審査
すべての自治体監査委員財務に関する事務の執行や事業の管理の監査
都道府県だけ公安委員会都道府県警察の管理
都道府県だけ労働委員会不当労働行為の審査、労働争議のあっせん・調停・仲裁
都道府県だけ収用委員会公共事業のための土地の収用に関する裁決
都道府県だけ海区漁業調整委員会・内水面漁場管理委員会漁業に関する調整
市町村だけ農業委員会農地の売買・貸借の許可など農地に関する事務
市町村だけ固定資産評価審査委員会固定資産税の評価に対する不服の審査

監査委員は「委員会」ではなく独任制の「委員」ですが、首長から独立した執行機関である点は同じです。監査のしくみは監査委員と住民監査請求で詳しく扱っています。

教育委員会はどんなしくみ?首長との関係は?

教育委員会は、原則として教育長と4人の委員で組織されます(地方教育行政の組織及び運営に関する法律3条)。条例で、都道府県・市は5人以上、町村は2人以上の委員にすることもできます。

教育長と委員は、首長が議会の同意を得て任命します(同法4条)。任期は教育長が3年、委員が4年です(同法5条)。首長は教育行政の大綱を定め、首長と教育委員会が協議する総合教育会議を設けます(同法1条の4)。

かつては委員の中から教育委員長と教育長を別々に選ぶしくみでしたが、2015年度から教育長が教育委員会の代表となる現在の形に改められました。「教育委員は住民の選挙で選ばれる」という選択肢は誤りです。

選挙管理委員会の委員はどう選ばれる?

選挙管理委員会は4人の選挙管理委員で組織され(181条)、委員は議会の選挙で選ばれます(182条)。首長が任命する監査委員や教育委員とは選ばれ方が違う点が、よく問われるポイントです。

選挙管理委員会は、首長や議員の選挙の管理のほか、直接請求による議会の解散や首長・議員の解職の投票も実施します。直接請求の請求先としての役割は直接請求権の一覧表で整理しています。

人事委員会と公平委員会はどう違う?

採用試験を受ける人にとって身近なのが人事委員会です。地方公務員法7条は、設置を次のように定めています。

人事委員会・公平委員会の設置(地方公務員法7条、2026年9月27日確認)
自治体置く委員会
都道府県・指定都市人事委員会(条例で置く)
指定都市以外で人口15万以上の市、特別区人事委員会または公平委員会(条例で選ぶ)
人口15万未満の市、町村、地方公共団体の組合公平委員会(条例で置く)

人事委員会・公平委員会は、どちらも3人の委員で組織されます(地方公務員法9条の2)。委員は、地方自治の本旨と民主的で能率的な事務処理に理解があり、人事行政に識見を持つ人から選ばれます。

人事委員会は、職員の競争試験・選考の実施、給与などの勤務条件についての勧告、勤務条件の措置要求や不利益処分の審査を行います(地方自治法202条の2)。公平委員会は、措置要求と不利益処分の審査が中心です(条例で定めれば、競争試験・選考を行う公平委員会もあります、地方公務員法9条)。

受験先の採用試験を誰が実施しているかは、募集要項の「実施機関」「問い合わせ先」で確認できます。人事委員会のある自治体では人事委員会事務局、ない自治体では人事課などが窓口になっていることが多いので、試験日程や試験区分は必ず公式の募集要項で確かめてください。

委員の選ばれ方と任期は?

委員会ごとに、誰が委員を選ぶか、任期が何年かが違います。選択肢では「選び方」を入れ替えた誤りがよく作られるので、表で横に並べておきましょう。

主な委員の選ばれ方と任期(地方自治法182条・183条・196条・197条、地方公務員法9条の2、地方教育行政法4条・5条、警察法39条・40条、2026年9月27日確認)
委員選ばれ方任期
教育長首長が議会の同意を得て任命3年
教育委員首長が議会の同意を得て任命4年
選挙管理委員議会が選挙で選ぶ4年
監査委員(識見委員)首長が議会の同意を得て選任4年(議員から選ばれた委員は議員の任期)
人事委員・公平委員首長が議会の同意を得て選任4年
都道府県公安委員会の委員知事が議会の同意を得て任命3年(再任は2回まで)

表を見ると、選挙管理委員だけが議会の選挙で、ほかは「首長が選び議会が同意する」型です。任期は多くが4年で、教育長と公安委員が3年という例外を覚えておけば十分です。

練習問題:行政委員会を4択で確かめる

当サイトのオリジナル問題です。1問1分を目安にしてください。

問1 次のうち、都道府県にだけ置かれ、市町村には置かれない委員会はどれか。

  1. 教育委員会
  2. 農業委員会
  3. 固定資産評価審査委員会
  4. 公安委員会
問1の解説|正解は4(地方自治法180条の5第2項)
選択肢正誤理由
1誤り教育委員会はすべての自治体に置く
2誤り農業委員会は市町村に置く
3誤り固定資産評価審査委員会も市町村に置く
4正しい公安委員会は都道府県警察を管理するため、都道府県に置く

練習問題2:委員会の権限と選ばれ方

問2 行政委員会に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 人事委員会は、すべての市町村に置かなければならない。
  2. 都道府県と指定都市は、条例で人事委員会を置くものとされている。
  3. 行政委員会は、首長から独立しているため、独自に予算を調製して執行することができる。
  4. 選挙管理委員は、首長が議会の同意を得て任命する。
問2の解説|正解は2(地方公務員法7条1項)
選択肢正誤理由
1誤り人口15万未満の市や町村は公平委員会を置く
2正しい都道府県と指定都市は人事委員会を置く
3誤り委員会には予算の調製・執行の権限がない(地方自治法180条の6)
4誤り選挙管理委員は議会の選挙で選ばれる(182条)

Q & A

よくある質問

Q.行政委員会の委員は公務員ですか?

特別職の地方公務員にあたります。常勤か非常勤かは委員会ごとの法律や条例で異なります。

Q.教育長は誰が任命しますか?

首長が議会の同意を得て任命します。任期は3年で、教育委員(任期4年)より短く定められています。

Q.人事委員会のない自治体では、誰が採用試験を行いますか?

首長などの任命権者の側で実施するのが一般的で、人事課などが窓口になります。受験先の募集要項で実施機関を確認してください。試験の形式に慣れたい人は、登録不要の無料お試し10問で4分野を1問1分のペースで試せます。

出典・参考

読了、おつかれさまでした。ほかの対策ガイドを読む