KEY TAKEAWAYS

この記事でわかること

  • ふるさと納税は、自分で選んだ自治体への寄附について、原則として自己負担2,000円を除いた額が所得税・住民税から控除される制度。2008年度に創設された。
  • 2019年6月から指定制度。返礼品は寄附額の3割以下の調達費で、地場産品であることが法律上の基準になった。
  • 募集に要する費用は、付随費用も含めて寄附額の5割以下(2023年10月から明確化)。2025年10月からはポイント等を付与する者を通じた募集が禁止された。
  • 受入額は総務省が毎年度の現況調査で公表している(令和7年度分は2026年7月31日公表)。寄附者が住む自治体の住民税が減る「流出」が大きな論点。
この記事の目次
  1. 01ふるさと納税とは?どんなしくみ?
  2. 02ふるさと納税のルールの年表
  3. 03指定制度とは?返礼品の3割・地場産品とは?
  4. 04住民税の「流出」とは?誰が負担している?
  5. 05国と自治体の争いになったことは?
  6. 06企業版ふるさと納税とはどう違う?
  7. 07練習問題:ふるさと納税を4択で確かめる
  8. 08練習問題2:住民税の流出
  9. 09よくある質問
  10. 10出典・参考

ふるさと納税とは?どんなしくみ?

ふるさと納税は、「納税」という名前ですが、実際には自治体への寄附です。生まれ故郷に限らず、応援したい自治体を自分で選んで寄附できます。

寄附をすると、原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税と住民税から控除されます(控除される額には、所得などに応じた上限があります)。控除を受けるには原則として確定申告が必要ですが、確定申告が不要な給与所得者などは、寄附先が5団体以内なら「ワンストップ特例制度」(2015年4月から)で申告を省略できます(総務省)。

総務省は制度の意義として、納税者が寄附先を選ぶことで税の使われ方を考えるきっかけになることなどを挙げています。一方で、返礼品を目当てにした寄附の集中が問題になり、国のルールが段階的に厳しくなってきました。

ふるさと納税のルールの年表

ふるさと納税の主な制度改正(総務省の報道資料・地方税法、2026年9月27日確認)
時期内容
2008年度税制改正でふるさと納税を創設
2015年4月ワンストップ特例制度の開始(寄附先5団体以内)
2019年6月指定制度の創設。返礼品は返礼割合3割以下・地場産品に(地方税法の改正)
2023年10月〜募集費用に、ワンストップ特例事務や受領証の発行などの付随費用も含めて寄附額の5割以下とすることを明確化
2024年10月〜地場産品基準の見直し(企画立案だけを区域内で行う製品や、区域内で提供される宿泊などの役務について、その自治体で生じた付加価値や地域との関連性をより重視)
2025年10月寄附に伴いポイント等を付与する者を通じた募集を禁止(2024年6月の告示改正による)
2026年10月〜2025年6月に改正された告示(募集費用の透明化、地場産品基準の明確化)が、この月から始まる指定対象期間に適用。2026年の告示改正(令和8年総務省告示第145号)も同日から適用

指定対象期間は毎年10月から翌年9月までで、総務省は毎年9月ごろに翌期間の指定を発表しています。基準はほぼ毎年見直されているので、受験の年にも総務省の「ふるさと納税ポータル」で最新の報道資料を確認してください。

指定制度とは?返礼品の3割・地場産品とは?

2019年6月1日から、ふるさと納税の特例控除を受けられるのは、総務大臣の指定を受けた自治体への寄附に限られるようになりました。地方税法37条の2第2項は、返礼品を出す自治体の指定の基準として、次の3つを挙げています。

  1. 募集の適正な実施:総務大臣が定める基準(募集適正基準)に適合すること。募集費用を寄附額の5割以下にすることなどは、この告示で定められている。
  2. 返礼割合3割以下:返礼品等の調達に要する費用が、いずれも受け取った寄附金の額の100分の30以下であること。
  3. 地場産品:返礼品等がその自治体の区域内で生産された物品や提供される役務などで、総務大臣が定める基準に適合すること。

「3割」と「5割」は取り違えやすい数字です。3割は返礼品1つずつの調達費、5割は返礼品の費用を含む募集費用全体の基準、と対象の違いで覚えましょう。基準に合わなくなった自治体は、指定を取り消されることがあります。

住民税の「流出」とは?誰が負担している?

ふるさと納税をした人が住む自治体では、その分だけ住民税が控除されるため、税収が減ります。これが「流出」と呼ばれる問題です。都市部の自治体ほど、住民が他の自治体に寄附する額が大きくなりやすい構造があります。

普通交付税の交付団体では、住民税の減収は基準財政収入額の減少を通じて、その一部(原則75%分)が交付税の算定で補われます。これに対し、不交付団体では交付税による補てんがありません。しくみは地方交付税をわかりやすくで説明しています。受益と負担の関係をどう考えるかは、制度をめぐる議論の中心の1つです。

全国の受入額や住民税の控除額は、総務省が毎年度の「ふるさと納税に関する現況調査」で公表しています(令和7年度分は2026年7月31日公表)。数字を覚える場合は、必ず最新の調査結果の年度を確かめてください。寄附金は自治体にとって自主財源にあたります。財源の分類は自主財源と依存財源で整理しています。

国と自治体の争いになったことは?

指定制度が始まった2019年、総務省は大阪府泉佐野市など4市町を指定の対象外としました。泉佐野市は国地方係争処理委員会に審査を申し出たのち訴訟を起こし、2020年6月30日、最高裁判所は市を指定の対象外とした総務大臣の判断を違法として取り消しました。

この事件は、国と自治体の争いを第三者機関と裁判所で解決するしくみが実際に使われた例としても知られています。係争処理のしくみは地方分権一括法とはで扱っています。

企業版ふるさと納税とはどう違う?

個人のふるさと納税と企業版ふるさと納税の比較(総務省・内閣府地方創生推進事務局、2026年9月27日確認)
比べる点ふるさと納税(個人)企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)
寄附する人個人法人
税の優遇自己負担2,000円を除き所得税・住民税から控除(上限あり)法人関係税の税額控除など
見返り基準内の返礼品を受け取れる寄附の代償として経済的な利益を受けることは禁止
寄附先の制限総務大臣の指定を受けた自治体地域再生計画の認定を受けた事業。本社のある自治体への寄附は対象外
創設2008年度2016年度の税制改正

練習問題:ふるさと納税を4択で確かめる

当サイトのオリジナル問題です。1問1分を目安にしてください。

問1 ふるさと納税に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. ふるさと納税では、寄附額の全額が所得税・住民税から控除され、自己負担は生じない。
  2. 返礼品の調達に要する費用は、寄附額の5割以下であればよいとされている。
  3. 2025年10月から、寄附に伴いポイント等を付与する者を通じた募集が禁止された。
  4. ふるさと納税の制度は、2019年の指定制度の導入とともに創設された。
問1の解説|正解は3(総務省 令和6年6月28日報道資料)
選択肢正誤理由
1誤り原則として自己負担2,000円を除いた額が控除される。控除額には上限もある
2誤り返礼品の調達費は3割以下。5割は返礼品を含む募集費用全体の基準
3正しい募集適正基準の改正で、2025年10月1日から適用された
4誤り制度の創設は2008年度。2019年に始まったのは指定制度

練習問題2:住民税の流出

問2 ふるさと納税による住民税の減収に関する記述として、もっとも妥当なものはどれか。

  1. 普通交付税の不交付団体では、住民税の減収分が地方交付税で補われない。
  2. ふるさと納税で住民税が減っても、すべての自治体で減収分の全額が国から補われる。
  3. ふるさと納税は、寄附者が住んでいる自治体に対してしか行うことができない。
  4. 返礼品の内容は寄附を受ける自治体が自由に決めることができ、国の基準はない。
問2の解説|正解は1
選択肢正誤理由
1正しい交付税による補てんは交付団体の算定を通じたもの。不交付団体には及ばない
2誤り交付団体でも補われるのは原則75%分で、不交付団体には補てんがない
3誤り寄附先は、生まれ故郷や住んでいる自治体に限らず自由に選べる
4誤り返礼割合3割以下・地場産品などの基準が地方税法と告示で定められている

Q & A

よくある質問

Q.ふるさと納税はどの自治体にでもできますか?

生まれ故郷に限らず、どの自治体にでも寄附できます。ただし特例控除の対象になるのは、総務大臣の指定を受けた自治体への寄附です。

Q.ワンストップ特例は何団体まで使えますか?

寄附先が5団体以内の場合に限られます。確定申告が不要な給与所得者などが対象です。

Q.ルールはどこで確認できますか?

総務省の「ふるさと納税ポータル」に、指定基準の告示や運用のQ&A、報道資料がまとめられています。基準はほぼ毎年見直されるため、受験の直前にも最新の報道資料を確認してください。

Q.時事的な知識は、どう練習すればよいですか?

年と数字の組合せを4択で判定できるかを確かめます。登録不要の無料お試し10問では、社会情勢を含む4分野を1問1分のペースで解けます。

出典・参考

読了、おつかれさまでした。ほかの対策ガイドを読む