KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 常会(通常国会)は毎年1月中に召集され、会期は150日間、延長は1回までです。主な仕事は次年度の予算の審議です。
- 臨時会は内閣が召集を決め、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば召集の決定が義務になります。要求から召集までの期限は憲法に書かれていない点も、記述問題の論点になりえます。
- 特別会は衆議院の解散による総選挙の日から30日以内に召集され、内閣総理大臣の指名を行います(解散から総選挙までは40日以内)。
- 参議院の緊急集会は、衆議院の解散中に内閣が求めるもので、措置は次の国会開会後10日以内に衆議院の同意がなければ効力を失います。
この記事の目次
国会の種類を1枚の表で比較する
憲法41条は、国会を「国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関」と定めています。国会は一年中開かれているわけではなく、会期という期間を区切って活動します。国会を召集するのは天皇の国事行為(7条2号)で、実際の決定は内閣の助言と承認によります。
| 種類 | 召集されるとき | 会期 | 延長 |
|---|---|---|---|
| 常会(通常国会) | 毎年1回、1月中に召集するのが常例 | 150日間 | 1回まで |
| 臨時会(臨時国会) | 内閣が必要と認めたとき/いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があったとき/任期満了による総選挙や参院通常選挙の後 | 両議院一致の議決で決める | 2回まで |
| 特別会(特別国会) | 衆議院の解散による総選挙の日から30日以内 | 両議院一致の議決で決める | 2回まで |
| 参議院の緊急集会 | 衆議院の解散中に、国に緊急の必要があり内閣が求めたとき | 定めなし | ― |
会期や延長について両議院の議決が一致しないときは、衆議院の議決が優先します(国会法13条)。これも衆議院の優越の一つです。
常会と臨時会:召集を決めるのは誰か
常会は憲法52条の「国会の常会は、毎年一回これを召集する」にもとづく国会で、国会法で毎年1月中に召集するのが常例とされ、会期は150日間です。4月からの新年度に間に合うように予算案を審議し、その後、法律案などを審議します。
臨時会は憲法53条にもとづき、内閣が召集を決定します。内閣が必要と判断したときのほか、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は召集を決定しなければなりません。国会法では、衆議院議員の任期満了による総選挙の後や、参議院議員の通常選挙の後にも臨時会を召集するとしています(任期が始まる日から30日以内が原則)。補正予算の審議や秋の法案審議で開かれることが多い国会です。
特別会と緊急集会:解散から新内閣までの流れ
解散後の流れは、日数を時系列に並べると混同しにくくなります。
- 衆議院が解散される。参議院も同時に閉会となる(54条2項)。
- 解散の日から40日以内に衆議院議員の総選挙を行う(54条1項)。
- この間に国に緊急の必要があれば、内閣が参議院の緊急集会を求める(54条2項ただし書)。
- 総選挙の日から30日以内に国会(特別会)を召集する(54条1項)。
- 特別会の召集とともに内閣は総辞職し(70条)、国会は他のすべての案件に先立って内閣総理大臣を指名する(67条)。
- 緊急集会でとった措置は臨時のもので、次の国会開会後10日以内に衆議院の同意がなければ効力を失う(54条3項)。
緊急集会を求められるのは内閣だけで、参議院議員が自ら求めることはできません。解散の理由(69条と7条)や総辞職の場面は内閣不信任と解散で整理しています。
会期不継続の原則と継続審議
会期中に議決されなかった案件は、原則として次の国会に引き継がれません(会期不継続の原則、国会法68条)。ただし、各議院の議決で閉会中も委員会で審査を続ける(閉会中審査)とされた案件は、後の国会に継続します。ニュースで「継続審議」と呼ばれるのはこの扱いです。
たとえば与党が2026年6月に提出した衆議院議員の定数削減法案は、同年の特別会(第221回国会、2月18日召集・7月25日閉会)で成立せず、継続審議となりました(2026年9月27日時点で未成立)。2026年は常会(1月23日召集)の冒頭で衆議院が解散されたため、新年度予算の審議もこの特別会で行われました。「予算は必ず常会で審議される」とは言い切れない例です。また、衆議院が解散されると、審議中の法案は原則として廃案になります。
国会の主な権限と、各議院の権限
会期の種類とあわせて、国会が何を決めるのかも整理しておくと、記述の主語の入れ替えに強くなります。
| 権限 | 主体 | 根拠 |
|---|---|---|
| 法律の制定 | 国会 | 41条・59条 |
| 予算の議決 | 国会(衆議院に先議権) | 60条・86条 |
| 条約の承認 | 国会(締結するのは内閣) | 61条・73条 |
| 内閣総理大臣の指名 | 国会 | 67条 |
| 弾劾裁判所の設置 | 国会 | 64条 |
| 憲法改正の発議 | 国会(各議院の総議員の3分の2以上) | 96条 |
| 国政調査権 | 各議院 | 62条 |
| 内閣不信任決議 | 衆議院のみ | 69条 |
よくある取り違え
| 誤った記述の例 | 正しくは |
|---|---|
| 特別会は、衆議院の解散の日から30日以内に召集される | 総選挙の日から30日以内。解散から総選挙までが40日以内 |
| 任期満了による総選挙の後に召集されるのは特別会 | 臨時会。特別会は解散による総選挙の後 |
| 緊急集会は参議院議員の4分の1以上の要求で開かれる | 内閣が求めたときに開かれる |
| 常会の会期は120日で、延長は2回まで | 150日で、延長は1回まで |
| 臨時会の召集は国会が決定する | 内閣が決定する |
独自の練習問題:国会の種類と日数
当サイトが書き下ろした4択問題です。選択肢は「ア正・イ正/ア正・イ誤/ア誤・イ正/ア誤・イ誤」の順です。
- 問1 次のア・イの正誤の組合せとして正しいものはどれか。ア:常会は毎年1月中に召集され、会期は150日間である。イ:特別会は、衆議院の解散の日から30日以内に召集される。(1)ア正・イ正(2)ア正・イ誤(3)ア誤・イ正(4)ア誤・イ誤
- 問2 次のア・イの正誤の組合せとして正しいものはどれか。ア:参議院の緊急集会は、衆議院の解散中に国に緊急の必要があるとき、内閣が求めることができる。イ:臨時会は、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣が召集を決定しなければならない。(1)ア正・イ正(2)ア正・イ誤(3)ア誤・イ正(4)ア誤・イ誤
| 問 | 正解 | 各選択肢が誤りになる理由 |
|---|---|---|
| 問1 | (2)ア正・イ誤 | アは国会法2条・10条どおり。イは「解散の日から」ではなく「総選挙の日から」30日以内なので誤り。(1)はイを正、(3)(4)はアを誤とした点で誤り |
| 問2 | (1)ア正・イ正 | アは54条2項、イは53条のとおりで、どちらも正しい。(2)(3)(4)はいずれかを誤とした点で誤り |
【時短のコツ】日数が出てきたら「何の日から数えるか」を先に確認します。解散→40日→総選挙→30日→特別会、の矢印を余白に書くと、起点のすり替えにすぐ気づけます。
つまずき別:次に確認すること
| つまずき | 確認する操作 | 進む記事 |
|---|---|---|
| 30日と40日を逆に覚えている | 解散からの流れを番号付きで書き直す | 内閣不信任と解散 |
| 国会の議決の数字も混ざる | 会期の数字と、優越の数字(30日・10日・60日)を別の表にする | 衆議院の優越 |
| 国会が関わる安全保障の手続きがあいまい | 防衛出動の国会承認の流れを確認する | 文民統制 |
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Q & A
よくある質問
Q.通常国会・臨時国会・特別国会は正式名称ですか?+
憲法や国会法の正式な用語は常会・臨時会・特別会です。ニュースではそれぞれ通常国会・臨時国会・特別国会と呼ばれます。試験ではどちらも使われます。
Q.任期満了による総選挙の後に開かれるのは特別会ですか?+
いいえ。特別会は解散による総選挙の後に開かれる国会です。任期満了による総選挙の後は臨時会が召集されます。
Q.緊急集会は実際に開かれたことがありますか?+
これまでに開かれたのは1952年と1953年の2回とされています。試験では回数よりも、誰が求めるか(内閣)と、措置の効力(次の国会開会後10日以内に衆議院の同意が必要)が問われやすいと考えられます。
Q.会期の延長はどうやって決めますか?+
両議院一致の議決で延長します。常会は1回、臨時会と特別会は2回まで延長できます(国会法12条)。両議院の議決が一致しないときや参議院が議決しないときは、衆議院の議決によります(国会法13条)。
Q.国会が閉会している間は審議できませんか?+
各議院の議決で閉会中審査とされた案件は、閉会中も委員会で審査できます。この案件は次の国会に引き継がれ、ニュースでは継続審議と呼ばれます(国会法47条・68条)。
Q.臨時会はどれくらいの頻度で開かれますか?+
決まった頻度はありません。秋に補正予算や法案を審議するために開かれることが多いほか、参議院の通常選挙や衆議院の任期満了による総選挙の後にも召集されます。