KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 選挙の基本原則は、普通選挙・平等選挙・秘密選挙・直接選挙の4つです。
- 衆議院は小選挙区289人と比例代表176人(全国11ブロック)の計465人を、小選挙区比例代表並立制で選びます。任期4年で解散があります。
- 参議院は選挙区148人と全国単位の比例代表100人の計248人で、任期6年・3年ごとに半数を改選します。比例は非拘束名簿式です。
- 比例代表の議席はドント方式で配分します。衆議院の定数削減法案は2026年9月27日時点で未成立のため、受験前に総務省で最新を確認しましょう。
この記事の目次
衆議院と参議院の選挙制度を比較する
まず全体を1枚の表でつかみ、細かいしくみはその後で確認します。
| 項目 | 衆議院 | 参議院 |
|---|---|---|
| 定数 | 465人 | 248人 |
| 内訳 | 小選挙区289+比例代表176 | 選挙区148+比例代表100 |
| 比例の単位 | 全国11ブロック | 全国1単位 |
| 比例の名簿 | 拘束名簿式(重複立候補あり) | 非拘束名簿式(特定枠あり) |
| 任期 | 4年(解散あり) | 6年(3年ごとに半数改選、解散なし) |
| 被選挙権 | 25歳以上 | 30歳以上 |
選挙の4原則とは
| 原則 | 意味 | 反対の制度 |
|---|---|---|
| 普通選挙 | 一定の年齢に達したすべての国民に選挙権を認める | 制限選挙(納税額や性別で制限) |
| 平等選挙 | 1人1票で、票の価値を等しくする | 等級選挙・複数投票 |
| 秘密選挙 | 誰に投票したかを秘密にする(無記名投票) | 公開投票 |
| 直接選挙 | 有権者が代表者を直接選ぶ | 間接選挙(選挙人を選ぶ) |
日本国憲法は15条3項で成年者による普通選挙、15条4項で投票の秘密を保障しています。男女の普通選挙が実現したのは1945年の法改正によるもので、翌1946年の総選挙で初めて女性が投票しました。選挙権年齢の変遷は選挙権年齢18歳で扱います。
衆議院の小選挙区比例代表並立制
衆議院議員465人のうち、289人が小選挙区選出、176人が比例代表選出です(公職選挙法4条)。この2つを同じ日に別々に投票して選ぶしくみを小選挙区比例代表並立制といい、1994年の法改正で導入され、1996年の総選挙から実施されています。
- 小選挙区:全国289の選挙区から1人ずつ、最も多く票を得た候補者が当選します。大きな政党に有利で政権交代が起こりやすい一方、落選者に投じられた死票が多くなります。
- 比例代表:全国を11ブロックに分け、有権者は政党名を書いて投票します。政党があらかじめ順位をつけた名簿(拘束名簿式)の順に当選者が決まります。
- 重複立候補:同じ候補者が小選挙区と比例代表の両方に立候補できます。小選挙区で落選しても、比例代表で復活当選することがあります。同じ順位に並んだ候補者の間では、惜敗率(当選者の得票に対する自分の得票の割合)の高い順に当選します。
参議院の選挙区と全国比例
参議院議員248人は、選挙区148人、比例代表100人です。任期は6年で解散はなく、3年ごとに半数(124人)を改選します。
- 選挙区:原則として都道府県単位の45選挙区です。鳥取県と島根県、徳島県と高知県は、それぞれ1つにした合区になっています。
- 比例代表:全国を1つの単位とします。有権者は政党名か候補者名のどちらかを書いて投票でき、政党内では個人名の票が多い順に当選します(非拘束名簿式)。例外として、政党が優先して当選させる特定枠の候補者を名簿に載せることができます。
比例代表の議席配分:ドント方式の手順
比例代表の議席は、次の手順で配分します(ドント方式)。
- 各政党の得票数を1、2、3…と整数で順に割る。
- 出てきた商を、政党を問わず大きい順に並べる。
- 定数に達するまで、大きい順に議席を割り当てる。
- 同じ商が並んで定数をはみ出す場合は、法律の定め(くじなど)で決める。
| A党(12,000票) | B党(8,000票) | C党(3,000票) | |
|---|---|---|---|
| ÷1 | 12,000 ① | 8,000 ② | 3,000 |
| ÷2 | 6,000 ③ | 4,000 ④ | 1,500 |
| ÷3 | 4,000 ⑤ | 2,667 | 1,000 |
得票の比率でそのまま割り振る方法(12,000÷23,000×5=約2.6議席など)とは結果が一致しない場合があるので、必ず割り算の商を並べて確かめます。ドント方式は、得票の多い政党がやや有利になりやすい配分方法だと説明されます。
一票の格差はなぜ問題になるか
選挙区ごとの有権者数に差があると、1票の価値に差が生まれます。これを一票の格差といい、平等選挙の原則や14条(法の下の平等)との関係で裁判になってきました。
最高裁は1976年と1985年に衆議院の定数配分を違憲と判断しましたが、選挙自体は有効としました。その後は「違憲状態」や「合憲」とする判断が続いており、たとえば2023年には衆議院(1月)と参議院(10月)の選挙について、いずれも大法廷が請求を退けています。違憲判決の全体は違憲判決一覧で確認できます。
独自の練習問題:制度の違いとドント方式
当サイトが書き下ろした4択問題です。問1は選択肢を「ア正・イ正/ア正・イ誤/ア誤・イ正/ア誤・イ誤」の順にしています。
- 問1 次のア・イの正誤の組合せとして正しいものはどれか。ア:衆議院の比例代表選挙は全国を11のブロックに分けて行われ、同じ候補者が小選挙区にも立候補できる。イ:参議院の比例代表選挙は拘束名簿式で、有権者は政党名しか書くことができない。(1)ア正・イ正(2)ア正・イ誤(3)ア誤・イ正(4)ア誤・イ誤
- 問2 定数5の比例代表選挙で、A党10,000票、B党6,000票、C党3,500票を得た。ドント方式で議席を配分したときの結果として正しいものはどれか(数値は架空)。(1)A党3・B党1・C党1(2)A党3・B党2・C党0(3)A党2・B党2・C党1(4)A党4・B党1・C党0
| 問 | 正解 | 各選択肢が誤りになる理由 |
|---|---|---|
| 問1 | (2)ア正・イ誤 | アは公職選挙法どおり(重複立候補あり)。参議院の比例代表は非拘束名簿式で、候補者名も書けるのでイは誤り。(1)はイを正、(3)(4)はアを誤とした点で誤り |
| 問2 | (1) | 商を大きい順に並べると A10,000 → B6,000 → A5,000 → C3,500 → A3,333 で5議席。(2)は5番目をB党の3,000(6,000÷2)としているが、C3,500とA3,333より小さい。(3)はA党を2議席としているが、A党の3番目の商3,333はB党の2番目の商3,000より大きい。(4)はA党の÷4(2,500)まで数えており、C3,500を見落としている |
【時短のコツ】ドント方式は、表を全部作らず「今いちばん大きい商」だけを追います。議席を1つ割り当てた政党だけ次の割り算に進めれば、定数5なら5回の比較で終わります。
つまずき別:次に確認すること
| つまずき | 確認する操作 | 進む記事 |
|---|---|---|
| 拘束名簿式と非拘束名簿式が逆になる | 「衆議院=政党が順位を決める」「参議院=個人票で決まる」と書く | — |
| 任期・解散の有無を取り違える | 衆4年・解散あり、参6年・半数改選を対にする | 内閣不信任と解散 |
| ネットでできる選挙運動を知りたい | 有権者と候補者でできることを分けて確認する | ネット選挙運動 |
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Q & A
よくある質問
Q.小選挙区で落選した人が当選しているのはなぜですか?+
衆議院では小選挙区と比例代表の重複立候補が認められているためです。比例代表の名簿で順位が上にあったり、惜敗率が高かったりすると、比例代表で当選(復活当選)することがあります。
Q.参議院の比例代表で個人名を書くとどうなりますか?+
その候補者の所属する政党の得票として数えられ、同時にその候補者個人の得票にもなります。政党内の当選順位は、特定枠を除き個人名の得票の多い順に決まります。
Q.選挙権と被選挙権の年齢は?+
選挙権はすべて18歳以上です。被選挙権は衆議院議員・市区町村長・地方議員が25歳以上、参議院議員・都道府県知事が30歳以上です。
Q.期日前投票はいつからできますか?+
公示日・告示日の翌日から投票日の前日まで、市区町村が設ける期日前投票所で投票できます(公職選挙法48条の2)。投票日に仕事や旅行などの予定がある人が対象です。
Q.比例代表で当選した議員が政党を移ることはできますか?+
比例代表で当選した議員が、同じ選挙で名簿を届け出ていた他の政党に移ると、議員の身分を失います(国会法109条の2、公職選挙法99条の2)。無所属になることや、その選挙に参加していなかった新党に移ることは制限されていません。