KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 社会人採用でも、教養試験を課す自治体はある(例:仙台市の令和8年度社会人経験者は、第一次の筆記が教養試験と論述試験)
- BESTと教養試験の共通部分は、論理(判断推理)・資料の読み取り・文章理解・時事や地方自治
- 教養試験だけに要るのは、自然科学・人文科学などの科目別の知識と、数的推理の典型問題
- 併願するなら共通部分を先に固め、知識分野は出題数の多い科目から手を付ける。直前期はそれぞれの形式で時間を計る
この記事の目次
社会人採用で教養試験が課されるのは、どんな区分?
社会人採用の筆記をBESTやSPIのような基礎的な試験にする自治体がある一方で、教養試験を課す自治体もあります。たとえば仙台市の令和8年度の社会人経験者の試験では、第一次試験の筆記が教養試験と論述試験でした(仙台市の受験申込ページで2026年9月27日確認)。
国の2026年度の中途採用者選考試験(就職氷河期世代)の基礎能力試験(40題・1時間30分)も教養試験に近い構成で、知能分野20題(文章理解7、課題処理7、数的処理4、資料解釈2)と知識分野20題(自然科学5、人文科学8、社会科学6、情報1)から出題されます(人事院のページで2026年9月27日確認)。受けたい自治体の筆記がどちらの型かは、受験案内の「試験内容」で確かめてください。
BESTと教養試験は、範囲がどう違う?
| 分野 | BEST-A(60問・60分) | 教養試験(例) |
|---|---|---|
| 論理・推理 | 論理的思考(順序・位置・対応・命題など) | 判断推理・課題処理 |
| 計算 | 資料分析の中の割合・増加率などの計算が中心 | 数的推理(速さ・割合・図形など) |
| 資料 | 表・グラフの読み取り | 資料解釈 |
| 文章 | 文章理解(国語の知識、現代文、英語を含む) | 現代文・英文(長めの文章が多い) |
| 社会 | 社会情勢(地方自治・政治・経済・時事など) | 社会科学(法律・政治・経済)・時事 |
| 自然科学・人文科学 | 科目としての区分はない。社会情勢で気象・環境などの話題に触れることはある | 数学・物理・化学・生物・地学、日本史・世界史・地理・思想など |
試験ごとの違いはBESTと教養試験の違いでも詳しく比べています。
共通して使える勉強は、どこから始める?
- 論理・判断推理:順序・位置・対応表・命題はどちらでも使う。表を書いて整理する型を身に付ける
- 資料の読み取り:増加率・構成比・指数の計算は共通。概算で速く判断する練習が役立つ
- 文章理解:要旨をつかむ読み方は共通。教養試験のほうが文章が長いので、BESTの練習だけだと時間の感覚がずれることに注意
- 時事・社会:地方自治の仕組みや最近の政策は両方で役立つ。ニュースを分野別に整理しておく
共通部分の実力を最初に確かめるなら、登録不要の無料お試し10問で4分野を時間を計って解いてみてください。どこで手が止まるかが分かれば、併願の勉強をどこから始めるかが決まります。
例題1:資料の読み取り(増加率と増加数)
BESTでも教養試験でも使える、資料の読み取りの独自例題です。ある市の図書館の利用者数(架空)は、2024年度が20,000人、2025年度が23,000人だった。2026年度に前年度と同じ増加率で増えたとすると、利用者数はいくらか。(1)25,600人(2)26,000人(3)26,450人(4)27,000人
| 手順 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 2025年度の増加率 | (23,000−20,000)÷20,000 | 15% |
| 2026年度の利用者数 | 23,000×1.15 | 26,450人 |
正解は(3)です。(2)は「増加数が同じ(+3,000人)」と取り違えた値、(1)と(4)はどちらの考え方でも出てこない値です。増加率と増加数を区別するのは、どちらの試験でも問われる基本です。【時短のコツ】23,000×1.15は、23,000+23,000×0.1+23,000×0.05=23,000+2,300+1,150と分けると暗算しやすくなります。
例題2:命題(「すべて」の言い換え)
論理の分野の独自例題です。「窓口を担当する職員は、すべて研修Aを受けている」が正しいとき、確実に言えるものはどれか。(1)研修Aを受けた職員は、すべて窓口を担当している(2)研修Aを受けていない職員は、窓口を担当していない(3)窓口を担当していない職員は、研修Aを受けていない(4)研修Aを受けた職員の中に、窓口を担当している人はいない
| 選択肢 | 元の命題との関係 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 逆(研修A→窓口)。元が正しくても正しいとは限らない | × |
| (2) | 対偶(研修Aでない→窓口でない)。元と真偽が一致する | ○ |
| (3) | 裏(窓口でない→研修Aでない)。正しいとは限らない | × |
| (4) | 窓口担当は全員研修Aを受けているので、窓口担当がいれば矛盾する | × |
正解は(2)です。「AならばB」が正しいとき、確実に言えるのは対偶「BでないならAでない」だけです。命題の考え方はBESTの論理的思考でも、教養試験の判断推理でも使います。
教養試験だけに要る勉強は、どこまでやる?
自然科学・人文科学は範囲が広く、すべてを学ぶのは現実的ではありません。社会人の併願では、出題数の多い科目と、短い時間で点になりやすい科目に絞るのが基本です。
- 数的推理:速さ・割合・仕事算など、典型問題の解き方を覚える
- 人文科学:地理や日本史など、自分が得意な科目・テーマに絞る
- 自然科学:生物・地学など、暗記で対応しやすい分野から
- 受験先の出題構成(公表されていれば)を見て、出題数の少ない科目は深追いしない
併願で迷ったときは、何を確かめる?
| つまずき | 確認する操作 |
|---|---|
| 教養試験の範囲が広すぎて手が付かない | 受験先の出題構成(公表されていれば)を見て、題数の多い分野から順に並べる |
| BESTの練習だけだと、教養試験の文章が長く感じる | 週に1回、長めの現代文を時間を計って読み、要旨を一行で書く |
| 数的推理の典型問題が解けない | 速さ・割合・仕事算の基本の式を1枚にまとめ、同じ型を3問ずつ解く |
| 2つの試験日が近く、どちらを優先するか迷う | 先に来る試験の形式で直前の演習をし、終わったら次の形式に切り替える |
迷ったときは、「両方で点になる勉強か」「片方だけで点になる勉強か」を基準に、前者を優先するのが基本です。
BESTと教養試験を併願するときの3か月プランは?
| 時期 | 中心にする勉強 | ねらい |
|---|---|---|
| 1か月目 | 論理・資料・文章の共通部分 | 両方の試験で点になる土台を作る |
| 2か月目 | 数的推理・知識分野の出題数の多い科目 | 教養試験だけの部分を最低限そろえる |
| 3か月目 | 本番形式の演習(BESTは60問・60分、教養試験は受験先の形式で) | それぞれの時間配分に慣れる |
BEST-Aは60問を60分で解くので1問約1分のペースです。教養試験は1問に使える時間がそれより長いものの、文章や計算の量が多くなります。同じ内容でも解くテンポが違うので、直前期にはそれぞれの形式で時間を計って練習しましょう。
申込書類の準備は経験者採用の申込書類・職務経歴書の書き方、面接の締めくくりは面接の逆質問、合格後の流れは合格から採用までの手続きを参考にしてください。
Q & A
よくある質問
Q.教養試験の勉強をすればBESTにも対応できますか?+
論理・資料・文章の多くは共通していますが、BESTは1問あたりの時間が短く、国語の知識や英語、地方自治の知識も問われます。本番形式での練習を別に行うのがおすすめです。
Q.BEST型だけに絞ったほうがよいですか?+
勉強時間が限られるなら、筆記の形式をそろえて受験先を選ぶのは合理的です。ただし受けたい自治体が教養試験型なら、共通部分から始めて併願する価値はあります。
Q.自然科学がまったく分かりません。+
出題数や配点を確認し、他の分野で点を取る作戦も考えられます。暗記で対応しやすい生物・地学の基本から触れておくと安心です。
Q.教養試験型とBEST型、どちらを先に受けるべきですか?+
試験日の順番で決まることが多いので、先に来る試験に合わせて直前の演習をします。ただし勉強の順番は、両方で点になる共通部分を先にするのが基本です。日程に余裕があれば、BEST型を先に受けて本番の雰囲気に慣れておくのも一つの方法です。
Q.論述試験(論文)も課される場合は、いつ準備しますか?+
筆記の共通部分が固まった2か月目ごろから、週1本を目安に時間を計って書き始めると、直前期に慌てずに済みます。テーマは受験先の総合計画の重点施策から選ぶと練習になります。