KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 政令指定都市は政令で指定する人口50万以上の市。現在20市で、都道府県の仕事の多くを担い、区(行政区)を置く。
- 中核市は政令で指定する人口20万以上の市。総務省・中核市市長会の公表で62市。指定都市の仕事の一部を担う。
- 特別区は東京都の23区。市と同じように区長・区議会議員を住民が選ぶが、法律上は特別地方公共団体。
- 指定都市の区は市の内部組織(行政区)で、区長は市の職員。特別区の区長とは性格がまったく違う。
この記事の目次
大都市制度はなぜある?
市町村と都道府県の仕事の分担は、原則として全国共通です。しかし、人口が数十万から数百万の大きな市は、財政力も職員の専門性も高く、都道府県を通さずに自分で処理したほうが効率的な仕事があります。そこで地方自治法は、人口の大きな市に都道府県の仕事の一部を移す大都市制度を設けています。
その代表が政令指定都市(指定都市)と中核市です。東京都の23区は特別区という別の制度で、「大都市の中を区に分けて、区ごとに住民自治を行う」という考え方に立っています。
指定都市・中核市・特別区の比較表
| 比べる点 | 政令指定都市 | 中核市 | 特別区 |
|---|---|---|---|
| 法律上の要件 | 政令で指定する人口50万以上の市 | 政令で指定する人口20万以上の市 | 都の区 |
| 種類 | 普通地方公共団体(市) | 普通地方公共団体(市) | 特別地方公共団体 |
| 数 | 20市 | 62市 | 23区 |
| 主な権限 | 児童福祉・生活保護・都市計画など都道府県の事務の多く | 指定都市の事務のうち、保健所の設置など身近なもの | 市に準じる事務(消防・上下水道などは都が担う) |
| 区 | 行政区を置く(区長は市の職員) | 区は置かない | 区そのものが地方公共団体(区長は公選) |
| 指定の手続き | 政令で指定 | 市の申出(議会の議決・都道府県の同意)に基づき政令で指定 | ― |
数は、指定都市が総務省「指定都市一覧」の20市、中核市が総務省の資料(令和5年4月1日現在)と中核市市長会の紹介による62市です。合併や新たな指定で変わることがあるので、最新の数は総務省のページで確認してください。
政令指定都市とは?どの市が指定されている?
地方自治法252条の19は、政令で指定する人口50万以上の市を指定都市とし、児童福祉、民生委員、身体障害者福祉、生活保護、介護保険、医療、土地区画整理事業などに関する事務のうち、本来は都道府県が処理するものを処理できるとしています。
総務省の「指定都市一覧」に載っているのは、大阪市、名古屋市、京都市、横浜市、神戸市、北九州市、札幌市、川崎市、福岡市、広島市、仙台市、千葉市、さいたま市、静岡市、堺市、新潟市、浜松市、岡山市、相模原市、熊本市の20市です。
指定都市は、市長の権限に属する事務を分けて処理させるため、条例で区域を分けて区(行政区)を設けます(252条の20)。区長は市の職員で、住民の選挙で選ばれるわけではありません。行政区を合わせた「総合区」を置くこともできます(252条の20の2)。
中核市とは?指定都市とどう違う?
地方自治法252条の22は、政令で指定する人口20万以上の市を中核市とし、指定都市が処理できる事務のうち、都道府県が一体的に処理したほうが効率的なものを除いた事務を処理できるとしています。保健所の設置などが代表的です。
指定の手続きにも特徴があります。総務大臣は関係市からの申出に基づいて政令を立案し、市は申出の前に市議会の議決を経て都道府県の同意を得なければなりません(252条の24)。国が一方的に指定するのではなく、市の手挙げで決まるしくみです。
総務省の資料によると、中核市の人口要件は1995年の制度創設時は30万以上で、その後段階的に緩和されて現在は20万以上です。また、かつての特例市制度は2015年に廃止され、当時の特例市は施行時特例市として一部の事務を引き続き処理しています(総務省資料では令和5年4月1日現在で23市)。
指定都市と中核市は、包括外部監査契約を毎年度結ぶ義務がある点でも都道府県と同じ扱いです。詳しくは監査委員と住民監査請求で扱っています。
特別区(東京23区)はどんな地方公共団体?
地方自治法1条の3は、地方公共団体を普通地方公共団体(都道府県・市町村)と特別地方公共団体(特別区・地方公共団体の組合・財産区)に分けています。特別区は、市のように見えても法律上は特別地方公共団体です。
一方で、特別区は「基礎的な地方公共団体」として、原則として市が処理する事務を担います(281条の2)。区長と区議会議員は住民の選挙で選ばれ、条例も定められます。ただし、消防や上下水道など、大都市の一体性が必要な事務は東京都が担い、税源の配分も都が特別区財政調整交付金で調整しています(282条)。
他の地域でも、人口200万以上の指定都市などは、住民投票を経て特別区を設けることができます(大都市地域における特別区の設置に関する法律)。住民投票の種類との関係は住民投票の種類で扱っています。組合や財産区など、ほかの特別地方公共団体は一部事務組合と広域連合で整理しています。
混同しやすい「〜と〜の違い」
| 取り違え | 正しい整理 |
|---|---|
| 指定都市の区と特別区 | 指定都市の区は市の内部組織で区長は職員。特別区は地方公共団体で区長は公選 |
| 中核市と施行時特例市 | 中核市は人口20万以上で政令指定。施行時特例市は2015年に廃止された特例市制度の経過措置 |
| 指定都市の指定と中核市の指定 | どちらも政令で指定するが、中核市は市の申出(議会の議決・都道府県の同意)が前提 |
| 人事委員会を置く市 | 指定都市は必ず置く。それ以外の人口15万以上の市と特別区は人事委員会か公平委員会を選ぶ |
| 人口要件を満たせば自動的に指定 | 人口は最低条件。政令で指定されてはじめて指定都市・中核市になる |
受験先が指定都市か中核市か、人事委員会があるかは、採用試験の実施機関にも関わります。委員会の種類は行政委員会の種類一覧で整理しています。
練習問題:大都市制度を4択で確かめる
当サイトのオリジナル問題です。1問1分を目安にしてください。
問1 地方自治法上の人口要件について、空欄に入る数字の組合せとして正しいものはどれか。「政令指定都市は人口(ア)万以上、中核市は人口(イ)万以上の市のうちから政令で指定される。」
- ア 100 イ 30
- ア 50 イ 20
- ア 30 イ 20
- ア 50 イ 30
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 誤り | アもイも誤り。30万は中核市制度の創設時の要件で、現在は20万 |
| 2 | 正しい | 指定都市は50万以上、中核市は20万以上 |
| 3 | 誤り | イは正しいが、指定都市の要件は50万以上 |
| 4 | 誤り | アは正しいが、イの30万は制度創設時の古い要件 |
練習問題2:区の性格を見分ける
問2 大都市の区に関する記述として、正しいものはどれか。
- 東京都の特別区は、都道府県・市町村と同じく普通地方公共団体である。
- 政令指定都市の区の区長は、区の住民の選挙によって選ばれる。
- 中核市は、条例で区域を分けて行政区を設けなければならない。
- 東京都の特別区は、区長を住民が選挙で選ぶ特別地方公共団体である。
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 誤り | 特別区は特別地方公共団体(1条の3第3項) |
| 2 | 誤り | 指定都市の区は行政区で、区長は市の職員。選挙はない |
| 3 | 誤り | 区(行政区)を設けるのは指定都市(252条の20)。中核市には区の設置義務はない |
| 4 | 正しい | 特別区は基礎的な地方公共団体として、区長・区議会議員を公選する |
Q & A
よくある質問
Q.人口が50万人を超えれば自動的に政令指定都市になりますか?+
なりません。指定都市は政令で指定されるもので、人口50万以上は法律上の最低条件です。中核市も、人口20万以上の市が申出をし、政令で指定されてはじめて中核市になります。
Q.特別区の職員採用試験は区ごとに行われますか?+
特別区の職員採用は、特別区人事委員会が共同で試験を実施する方式が知られています。受験区分や日程は年度ごとに変わるため、必ず特別区人事委員会などの公式の募集要項で確認してください。
Q.大都市制度の知識は、どう練習すればよいですか?+
比較表の行(要件・種類・区の性格)を1つずつ隠して言えるかを確かめます。登録不要の無料お試し10問では、社会情勢を含む4分野を1問1分のペースで解けます。