KEY TAKEAWAYS

この記事でわかること

  • 平均は合計と件数へ戻してまとめられますが、中央値は順位を決め直します。
  • 各3件で中央値20分・40分という同じ条件でも、全体の中央値は25分にも35分にもなります。
  • 資料に個々の値や累積度数がないとき、求められない量を推測で埋めないことが重要です。
この記事の目次
  1. 01平均の合成と、中央値の合成は別の問題
  2. 02自作例1:各班3件でも、全体は35分になる
  3. 03全体の中央値を確かめる手順
  4. 04自作例2:人数も中央値も同じなのに、全体は25分
  5. 05「決まらない」を反例で確認する手順
  6. 06同じ値が並ぶときは「より大きい」が半分とは限らない
  7. 07階級表と丸めた中央値では、分かる範囲を区別する
  8. 08代表値は、説明したい仕事に合わせて選ぶ
  9. 09資料解釈の復習では、計算の前に必要な情報を書く
  10. 10出典・参考

平均の合成と、中央値の合成は別の問題

A班の中央値が20分、B班が40分だったとき、「全体は30分」と答えたくなるかもしれません。しかし中央値は、小さい順に並べたときの中央の位置から決める値です。班ごとの真ん中が分かっても、二つの班の値がどの順に入り交じるかまでは分かりません。

平均の比較と加重平均では、人数を掛けて合計へ戻す方法を扱っています。本記事は、同じ方法を中央値へ使ってよいかに絞ります。以下の処理時間はすべて自作データです。BEST-Aの公式問題や出題実績を再現したものではありません。

自作例1:各班3件でも、全体は35分になる

A班の処理時間を10・20・100分、B班を30・40・50分とします。各班を小さい順に並べると、Aの中央は20分、Bの中央は40分です。件数も同じ3件ですが、中央値の平均30分が全体の中央になるとは限りません。

6件をまとめて並べると10・20・30・40・50・100分。偶数個では中央の2値を平均するので、3番目30分と4番目40分から35分です。「二つの中央値を平均する」のではなく、「まとめた後の中央2値を平均する」という順序が違います。

対象並べた値(分)中央値
A班10・20・10020分
B班30・40・5040分
全体10・20・30・40・50・100(30+40)÷2=35分

全体の中央値を確かめる手順

図では、集団をまとめる前の中央と、まとめた後の中央の位置が変わることに注目してください。元の値を足す必要はなく、順位を確定させることが仕事です。数値の大きさだけでなく、何件目にあるかを書き込むと読み違いを減らせます。

全体の中央値を確かめる手順上から順に確認
  1. 班の名前を外し、重複する値も1件ずつ残して全件をまとめる。
  2. 10・20・30・40・50・100のように小さい順に並べ直す。
  3. 全6件なら、中央は3番目と4番目。30分と40分に印を付ける。
  4. 中央2値を平均して35分。班ごとの中央値20分・40分の平均とは区別する。

自作例2:人数も中央値も同じなのに、全体は25分

今度はA班が10・20・30分、B班が15・40・50分とします。各3件で中央値はやはり20分・40分です。それでも全体を並べると10・15・20・30・40・50分になり、中央値は(20+30)÷2=25分です。

例1と例2は、「各班3件」「Aの中央値20分」「Bの中央値40分」という情報がすべて一致します。そこから全体の中央値が35分にも25分にもなる以上、その情報だけでは全体の中央値を一つに決められません。件数で重みを付けても、この不足は埋まりません。

比較する条件例1例2
各班の件数A3件・B3件A3件・B3件
班の中央値A20分・B40分A20分・B40分
全体の中央値35分25分
中央値の平均30分30分

「決まらない」を反例で確認する手順

この確認方法は、計算できない理由を言葉だけで覚えるより確かです。ただし二つの例を作ったからといって、どんな値でも可能と証明したことにはなりません。反例が示したのは、指定された情報から答えが一意に定まらないことです。

「決まらない」を反例で確認する手順上から順に確認
  1. 分かっている条件を固定する:件数は各3件、中央値は20分と40分。
  2. その条件を満たすデータを二通り作る:例1と例2はどちらも条件に適合する。
  3. 全体を並べ直して計算する:例1は35分、例2は25分。
  4. 答えが変わるので情報不足と判断する。全体30分などの値を補って決めない。

同じ値が並ぶときは「より大きい」が半分とは限らない

10・20・20・20・20分の中央値は20分です。中央値より小さい値は1件、より大きい値は0件で、同数ではありません。同じ値が中央付近に複数あれば、「中央値より上と下が必ず同数」という読み方は成り立たないためです。

小さい順の中央位置で定義するなら、少なくとも半数が中央値以下で、少なくとも半数が中央値以上という性質で確認できます。「以下・以上」と「未満・超」を混同しないでください。順位が同じ値を、表から勝手に一つへまとめるのも避けます。

階級表と丸めた中央値では、分かる範囲を区別する

元データではなく「10分以上20分未満が4件」といった階級別の件数しかない場合は、累積件数で中央の観測値が入る階級を探せます。しかし階級内の具体的な値は分からないので、階級の真ん中をそのまま厳密な中央値とはできません。推定の指示がある場合は、その方法と仮定に従います。

中央値自体が四捨五入されている資料も、表示値と正確な値は同じではありません。丸めた数値の範囲と併せて、元データ・度数・代表値のどの情報が与えられたかを先に確かめます。

代表値は、説明したい仕事に合わせて選ぶ

今回の処理時間で、作業全体に必要だった時間を知りたいなら、各件の時間を合計します。その合計を件数で割った平均は、1件当たりの時間として総作業量とつながります。一方、中央値は並べたときの中心を示すので、35分に6件を掛けても総作業時間へ戻せません。

長くかかった1件のために平均が上がった場合でも、その1件を除外してよいとは限りません。平均と中央値のどちらかを常に正しいと選ぶのではなく、何を説明する数値か、外れた値も対象に含む定義かを確認します。設問が中央値を指定しているのに、計算しやすい平均へ置き換えることもできません。

資料解釈の復習では、計算の前に必要な情報を書く

平均なら合計と件数、中央値なら並べたときの中央の位置というように、求めたい量に必要な情報を先に書いてください。「平均の公式を知っているから」という理由で、違う代表値に同じ式を使わないことが大切です。

資料の表を読む手順では単位・対象・注記を、BEST-Aの問題集選びでは解説の確かめ方を整理しています。答えの数字だけでなく、「なぜこの情報から決まるか」「どこからは決まらないか」を説明できる教材で復習します。

出典・参考

読了、おつかれさまでした。ほかの対策ガイドを読む