KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 増加量=今年−前年、増加率=(今年−前年)÷前年×100、前年比=今年÷前年×100です。
- 前年比120%と増加率20%は同じ意味です。言い方が違うだけで、どちらも「前年の1.2倍」です。
- 増加量が大きくても、増加率が大きいとは限りません。前年の値が大きいと増加率は小さく出ます。
- 何年分かの変化は、前年比をかけ算で重ねます。増加率を足しても正しい答えになりません。
この記事の目次
増加量と増加率は、別の指標
説明用の架空データ:増加率=20÷100=20%。前年比は120÷100=120%。
増加率・増加量・前年比はどう違う?
資料解釈で最も多い取り違えが、この3つの混同です。同じデータでも、何を答えるかで計算が変わります。まず定義を表で確認しましょう。
| 用語 | 式 | この例の値 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 増加量 | 今年−前年 | 30 | 元のデータと同じ(人・円など) |
| 増加率 | (今年−前年)÷前年×100 | 15% | % |
| 前年比 | 今年÷前年×100 | 115% | %(倍で表すこともある) |
増加率=前年比−100の関係があります。前年比115%なら増加率15%、前年比95%なら増加率−5%(5%の減少)です。選択肢が「前年比」と「増加率」のどちらで書かれているかを必ず確認してください。
増加率を比べる手順
- 選択肢が「増加量」「増加率」「前年比」のどれを比べているかに印をつける。
- 比べる年(期間)の前年と今年の値を拾う。
- 増加量(今年−前年)を出す。これは引き算だけで済む。
- 増加率は「増加量÷前年」の分数のまま比べる。%に直す必要はない。
- 分数の大小が見えにくいときは、交差してかける(a/bとc/dなら、a×dとc×bを比べる)。
- 「○%以上増えた」の判定は、前年×(1+○/100)と今年を比べるかけ算に直す。
手順4〜6で割り算をほぼ使わずに済むのがポイントです。資料分析全体の進め方は資料解釈のコツにまとめています。
例題1:増加率が最も大きい年はどれ?
例題1 次の表は、ある施設の年間利用者数の推移である(架空のデータ)。前年からの増加率が最も大きいのは何年か。
- (1)2022年:増加率はちょうど15%で、2023年の約17.4%に届きません。
- (3)2024年:増加量30に対し前年が270と大きく、増加率は約11.1%で最も小さい年です。
- (4)2025年:増加量45は最大ですが、前年が300と大きいため増加率は15%です。増加量が最大の年を選ぶ典型的な誤りです。
| 年 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|---|
| 利用者数 | 200 | 230 | 270 | 300 | 345 |
| 増加量 | ― | 30 | 40 | 30 | 45 |
(1)2022年 (2)2023年 (3)2024年 (4)2025年
解き方 増加率は、2022年が30/200、2023年が40/230、2024年が30/270、2025年が45/300です。30/200と45/300はどちらも0.15(15%)。2024年の30/270は分母が大きく約11%。残る40/230と45/300を交差してかけると、40×300=12,000、45×230=10,350で、40/230のほうが大きい。正解は(2)2023年(約17.4%)です。
例題2:前年比を重ねると何倍になる?
例題2 ある市の観光客数の前年比は、2023年が110%、2024年が120%、2025年が90%だった。2022年の観光客数を100としたとき、2025年の観光客数はいくつか。
(1)108 (2)118.8 (3)120 (4)132
- (1)108:2023年の1.1をかけ忘れ、100×1.2×0.9とした値です。
- (3)120:増加率を足し算し、100+10+20−10とした値です。前年比はかけ算で重ねます。
- (4)132:2024年の値です。2025年の90%(10%減)を反映し忘れると選びます。
| 年 | 計算 | 2022年を100とした値 |
|---|---|---|
| 2023年 | 100×1.1 | 110 |
| 2024年 | 110×1.2 | 132 |
| 2025年 | 132×0.9 | 118.8 |
例題3:減少率から前年の値を逆算する
例題3 ある町の2025年の出生届の件数は360件で、前年より10%減少した(架空のデータ)。2024年の件数は何件か。
(1)324件 (2)396件 (3)400件 (4)450件
- (1)324件:今年の360からさらに10%減らした値(360×0.9)です。逆算の向きが反対です。
- (2)396件:今年の360に、今年の10%(36)を足した値です。10%の基準は前年なので、今年を基準にすると合いません。代入すると396×0.9=356.4で360になりません。
- (4)450件:代入すると450×0.9=405となり、360になりません。20%減(360÷0.8)と取り違えた値です。
| 手順 | 計算 | わかったこと |
|---|---|---|
| 式を立てる | 前年×0.9=360 | 10%減は前年の0.9倍 |
| 前年を出す | 360÷0.9 | 400件 |
| 検算 | 400の10%は40。400−40=360 | 一致 |
「増加率が下がった」と「減った」の違い
増加率の問題でもう1つ多い誤りが、増加率の低下を実数の減少と取り違えることです。例題1の2024年は、増加率が約17.4%から約11.1%に下がっていますが、利用者数自体は270から300に増えています。
| 資料に書かれていること | 言えること | 言えないこと |
|---|---|---|
| 増加率が20%から10%に下がった | 増え方がゆるやかになった | 実数が減った |
| 増加率がマイナスになった | 前年より減った | 過去の最低になった |
| 前年比が105%だった | 前年の1.05倍に増えた | 他の項目より伸びが大きい |
| A市の増加量がB市より大きい | 増えた人数・金額はA市が多い | A市の増加率のほうが大きい |
表の右側は、ほかの情報がなければ判断できない内容です。選択肢が「確実にいえる」ものを聞いているときは、右側に当たる記述を選ばないようにします。
つまずいたら、どの操作を確認する?
| つまずき | 確認する操作 |
|---|---|
| 増加量と増加率を取り違える | 選択肢の「量」「率」「前年比」に印をつけ、分母(前年)を書く |
| 今年の値で割ってしまう | 増加率の分母は必ず比べるもとの年(前年)と決めておく |
| 割り算に時間がかかる | 分数のまま比べ、交差してかける。○%以上はかけ算に直す |
| 何年分かの変化を足し算する | 前年比を1.1×1.2×0.9のようにかけ算で重ねる |
| 増加率の低下を減少と読む | 実数が前年より大きいかを別に確認する |
基準年を100にした指数の読み方は指数の読み方、構成比の変化と実数の関係は構成比の読み方で扱っています。「○倍を超える」「○%超」の数を数える問題は倍率の判定を参照してください。
1分で解くための時短のコツ
- 10%は1桁ずらす:前年230の10%は23。「10%以上増えた」は230+23=253と比べるだけで判定できます。
- 分母がそろっているものから比べる:例題1の30/200と45/300は、どちらも0.15とすぐ分かるので、一方を代表にして残りと比べます。
- 分子が大きく分母が小さいほうが大きい:40/230と30/270なら、計算しなくても40/230のほうが大きいと分かります。
手順を確認したら、時間を計って解いてみましょう。登録不要の無料お試し10問では、資料分析を含む4分野の問題を解いて全問の解説を読めます。
Q & A
よくある質問
Q.増加率がマイナスのときは何と言いますか?+
「減少率」と言い換えることが多いです。前年100から今年90なら、増加率は−10%、減少率は10%です。選択肢がどちらの言い方をしているか、符号に注意して読みます。
Q.前年比と対前年増減率は同じですか?+
違います。前年比は今年÷前年(115%など)、対前年増減率は増加率と同じ(15%など)で、ちょうど100ずれます。資料の注記で、どちらの意味で使っているかを確認してください。
Q.増加率を%まで正確に出す必要はありますか?+
大小比較だけなら、分数のまま比べれば十分です。「○%以上」のように数値の基準がある選択肢だけ、かけ算に直して判定します。
Q.10%増えた後に10%減ると元に戻りますか?+
戻りません。100が10%増えると110、そこから10%減ると110×0.9=99です。減るときの基準(110)が増える前の基準(100)より大きいため、同じ率でも減る量のほうが大きくなります。
Q.BESTの資料分析で増加率は出ますか?+
公式に問題ごとの出題テーマは公表されていないため、出るとは断定できません。表やグラフの推移を読む問題では増減の比較が基本になるので、資料分析の土台として練習しておくと役に立ちます。