KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 表に載る前に丸められた数字と、自分が計算を速くするために丸めた数字は別です。
- 千人単位の120は、元の人数が120,000人ちょうどとは限りません。
- 数値は説明用の自作例です。特定の自治体やBEST-A本番問題を再現していません。
この記事の目次
「概算で解く」と「概数しか与えられていない」を分ける
手元に正確な値があり、自分で桁を減らすなら、必要なときに元の値へ戻れます。一方、資料そのものが四捨五入して公表されている場合は、計算を細かくしても元の正確な値は復元できません。120という表示から120.000と小数を増やしても、情報が増えたわけではありません。
総務省統計局の「日本の統計」の注意書きにも、原則として単位未満を四捨五入するため内訳の計と合計が一致しないことがあると説明されています。問題を読むときは、四捨五入・切捨て・小数点以下の処理など、与えられた表の注記を優先します。統計表すべてに同じ規則を当てはめないでください。
表示120千人が表す範囲を確かめる手順
ここでは、正の人数を千人単位で表し、500人以上を切り上げる通常の四捨五入をすると仮定します。「120千人」と表示される人数は119,500人以上120,500人未満です。人数が整数なら上端は120,499人です。丸め規則を明示したこの例でのみ使う境界で、別の処理方法なら変わります。
119,500人は120千人になり、120,500人は121千人になります。下端を含むか、上端を含まないかを確かめると、「120千人以上だから実際も120,000人以上」という誤りに気づけます。119,800人も120千人と表示されるからです。
- 表の単位を人数へ戻す:120千人は表示上120,000人。
- 丸め幅の半分を引く:下端119,500人は含む。
- 丸め幅の半分を足す:上端120,500人は含まない。
| 境界より下 | 120千人と表示される区間 | 次の区間 |
|---|---|---|
| 119,499人まで | 119,500人以上〜120,500人未満 | 120,500人から |
| 119千人以下 | 表示は同じでも人数は異なる | 121千人以上 |
同じ表示なら同人数とは限らない
A地区もB地区も120千人と書かれていた場合、大小は決まりません。Aが119,600人、Bが120,400人ならBが多く、二つを入れ替えればAが多くなります。どちらも同じ公表値を満たすため、表示値だけで同じ人数や同じ増加率と結論づけられません。
一方、同じ規則・同じ単位でAが120千人、Bが121千人なら、Aは120,500人未満、Bは120,500人以上なのでBが多いと分かります。丸めがあるからすべて判断不能なのではなく、可能な範囲が重なるかどうかを見ます。対象時点や集計対象が違うなら、数値の範囲以前に比較条件の確認が必要です。
| 表示 | 元の値の関係 | 言えること |
|---|---|---|
| A120・B120千人 | 範囲が重なる | 大小・一致は確定しない |
| A120・B121千人 | Aの上端よりBの下端が低くない | 同じ条件ならBが多い |
| A120千人・B120万人 | 単位が異なる | 単位をそろえてから判断 |
内訳と合計がずれる理由を確かめる手順
全体が300人で、三つの重ならない分類に100人ずついる場合を考えます。各分類の構成比は3分の1で、小数第1位までなら33.3%です。表示された内訳を足すと99.9%ですが、全員を分類した合計は100%です。0.1ポイントの差だけを見て、未分類の人がいると判断してはいけません。
人数の表でも同じです。A1,400人、B1,400人を千人単位で別々に丸めると1と1になります。合計2,800人を丸めると3なので、表示された内訳の計2と合計3は一致しません。足した後に丸める処理と、丸めた後に足す処理の順序が違うためです。
- 元の人数を足すと2,800人になる。
- 元の合計を丸めると3千人と表示される。
- 各内訳を先に丸めると1千人ずつになり、表示の計は2千人になる。
| 経路 | 処理の順番 | 表示結果 |
|---|---|---|
| 内訳から計算 | 1,400→1、1,400→1、その後に加算 | 1+1=2千人 |
| 合計を公表 | 1,400+1,400=2,800、その後に丸め | 3千人 |
設問が「表の数値を用いて計算」と指定している場合は、その指定に従います。注記を根拠に、公表値から元の精密な人数まで断定できるかという問いとは区別してください。
0と欠測・秘匿を混同しない
日本の統計の記号説明では、表章単位に満たないものを0などで示し、数値が得られない場合や秘匿する場合には別の記号を使います。したがって表中の0を、必ず一人もいないという意味で読むのは危険です。記号の定義は、その表の凡例へ戻って確かめます。
空欄を勝手に0と置いて平均や合計を出すと、測れていない部分を存在しないものに変えてしまいます。丸めによる不一致、欠測、内数の重複は別の理由です。合計が合わないときも、最初から丸めと決めつけず、注記・分類の重なり・集計対象を順に確認します。
復習では境界を一つずつ動かす
同じ120千人という値でも、四捨五入から切捨てへ規則を変えれば可能な範囲は変わります。正の整数人数を千人未満切捨てなら120,000人以上121,000人未満です。規則を言い換えても同じ範囲を答えてしまうなら、公式を覚えただけになっていないかを見直します。
計算時間を短くする側の話は概算と精算の使い分け、表の注記を読む順番は資料の表の読み取りへ進めます。学習範囲と演習教材はBEST-Aの問題集ガイドで確認できます。本記事の区間例は、資料の精度を超えて結論を強めないための補助学習です。