KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 移動平均の点は、一つの月の実績ではなく、決められた期間の平均です。
- 平均の変化は、新しく入る月と、計算範囲から外れる月で確かめます。
- 以下は学習用の自作資料です。BEST-Aの実際の試験問題や出題頻度を示すものではありません。
この記事の目次
線が滑らかでも、毎月の増減が消えたわけではない
グラフに二本の線があり、一方が毎月の実績、もう一方が移動平均だとします。平均の線が上向きだから、最新月も必ず前月より増えたとはいえません。平均に使う期間がずれているため、今月と先月の実績比較とは違う情報を表します。まず凡例でどの線が何を表すかを読み、単月・累計・平均を分けます。
総務省統計局は、一定期間の平均を各時点に対応させる方法を説明し、中央・後方・前方を区別しています。本記事では当月と直前二か月の単純平均を「3か月後方移動平均」として使います。すべての移動平均がこの方式ではありません。設問の定義があれば、そちらを優先してください。
3か月の範囲をずらして計算する手順
自作の店の月別売上を、1月60万円、2月90万円、3月150万円、4月120万円、5月90万円、6月90万円とします。3月の後方移動平均は1〜3月の合計300万円を3で割って100万円。4月は2〜4月の合計360万円を3で割って120万円です。
4月に入ると1月の60万円が外れ、4月の120万円が入ります。2月と3月は両方の計算に残ります。三つの月を全部新しくするのではなく、一つを外し、一つを加えるのがこの例の移動です。月を囲む枠を書いてから計算すると、対象期間を取り違えにくくなります。
- 3月の枠:1月60+2月90+3月150=300。平均100万円。
- 4月の枠:2月90+3月150+4月120=360。平均120万円。
- 共通する2月・3月を消して比べると、入る120と外れる60の差が残る。
| 月 | 単月売上(万円) | 3か月後方平均(万円) |
|---|---|---|
| 1月 | 60 | 算出しない |
| 2月 | 90 | 算出しない |
| 3月 | 150 | 100 |
| 4月 | 120 | 120 |
| 5月 | 90 | 120 |
| 6月 | 90 | 100 |
4月の実績は減少、移動平均は上昇
単月売上は3月150万円から4月120万円へ30万円減りました。増減率は−20%です。一方、移動平均は100万円から120万円へ20万円増えています。増減率はこちらも計算できますが、+20%となり符号が逆です。どちらも同じ表から正しく計算した値です。
この反対方向の動きは矛盾ではありません。単月では直前の150万円と比べ、移動平均では計算範囲を出入りする60万円と120万円の差が効いています。後方3か月の単純平均なら、隣り合う平均の差は「入る月−外れる月」を3で割った値です。この例では(120−60)÷3=20万円になります。
5月の売上はさらに90万円へ下がりますが、平均は120万円のままです。新しく入る5月90万円と外れる2月90万円が同じだからです。平均が横ばいという情報だけから、毎月の売上が一定だと結論づけることもできません。
中央と後方で同じ値を置く月が変わる
1〜3月の平均100万円は、後方移動平均なら3月に置きます。中央移動平均なら2月に置きます。使う三つの数字が同じでも、横軸上の位置は一か月ずれます。グラフの山の時期を比べる前に、期間のどこへ平均値を置く方式なのか確認してください。
中央3か月平均で最新の6月を出すには5・6・7月が必要です。まだ7月の実績がない段階では、その値は算出できません。予測値を使えば別の条件の指標になります。欠けた月を黙って0で埋めたり、2か月平均を3か月平均という名称のまま載せたりしないことが大切です。
| 方式 | 2月に置く平均の範囲 | 使える情報 |
|---|---|---|
| 中央3か月 | 1〜3月 | 翌月の値も必要 |
| 後方3か月 | 前年12月〜2月 | 当月までの値 |
| 前方3か月 | 2〜4月 | 翌々月の値も必要 |
平均を比較する前に点検する手順
移動平均を足すと、同じ月を何度も含むことがあります。3月の平均100万円と4月の平均120万円を足しても、1〜4月の合計売上にはなりません。二つの平均には2月と3月が重複し、さらにそれぞれ3で割る操作が入っているからです。合計が必要なら元の実績へ戻ります。
平均化すると短い上下が見えにくくなりますが、任意の3か月平均であらゆる季節変動が消えるわけではありません。単月の急変を見たいのか、一定期間の傾向を見たいのかで、適した線は違います。移動平均は将来を確定する予測でも、変化の原因を証明する道具でもありません。
- 対象を確認:単月・累計・移動平均のどれを読むか。
- 期間を確認:何か月分を、中央・後方・前方のどこへ置くか。
- 比較を確認:前月との差か、前年同月との差か、別系列との差か。
- 元の値へ戻る:短期変動、重複期間、欠けた月を点検する。
条件を変えて、自分で説明してみる
4月の売上だけを60万円へ変えてみてください。4月の後方平均は(90+150+60)÷3=100万円で、3月と同じになります。単月では150万円から60万円へ大きく減っていても、平均が同じになる理由を、外れる1月60万円を使って説明できます。答えの値だけでなく、どの月が消えたかまで言えると理解を確かめられます。
割合そのものの計算は増加率の読み方、複数の系列は二軸グラフで確認してください。問題集を選ぶ際は教材選びの確認点も参考になります。今回の解説は時系列の定義を読む補助学習で、試験への出題を保証するものではありません。