KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 障がい者を対象にした選考は、障害者手帳などを持つ人に受験資格を限った採用の枠。対象となる手帳・判定書の範囲は自治体ごとに決まる
- 筆記は教養試験が多いが、杉戸町の一般事務(障がい者枠)のように職務基礎力試験を使う例もある
- 点字・拡大文字・時間延長などの配慮は、申込のときに申請するのが基本。必要な配慮は具体的に書く
- 障害者雇用促進法は、募集・採用の段階と採用後の両方で、障害の特性に配慮した措置を事業主に求めている(地方公務員にも適用)
この記事の目次
障がい者を対象とした職員採用選考とは?
国や自治体は、障がいのある人の雇用を進めるため、一般の採用試験とは別に、障がいのある人だけが受けられる採用選考を行っています。職種は事務が中心ですが、技術職などで行う自治体もあります。
一般の区分と同じく筆記と面接で選考しますが、試験問題の形式や時間、会場の設備などについて、障がいの状況に応じた配慮を受けられるのが特徴です。障害者雇用促進法第36条の2は、事業主に対し、募集・採用にあたって障害者からの申出により障害の特性に配慮した必要な措置を講じること(過重な負担になる場合を除く)を求めており、この規定は地方公務員にも適用されます(同法第85条の3。e-Gov法令検索で2026年9月27日確認)。
受験資格は、どこを確認する?
受験資格は、主に「障がいの確認方法」「年齢」「その他の条件」で構成されます。障がいの確認方法は自治体によって書き方が違います。
| 項目 | 例 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 手帳などの種類 | 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳。知的障害の判定を認める例もある | どの手帳・書類が対象か。いつの時点で交付を受けている必要があるか |
| 年齢 | 「昭和◯年4月2日から平成◯年4月1日までに生まれた人」 | 一般の区分と範囲が違うことがある |
| その他 | 「介助者なく受験でき、職務を遂行できる人」など | 通勤や職務の条件の書き方 |
たとえば兵庫県の令和8年度の選考は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人のほか、知的障害者更生相談所などで知的障害があると判定された人も対象としています(兵庫県の試験案内ページで2026年9月27日確認)。
年齢の範囲も区分によって大きく違います。千葉県習志野市の令和8年6月採用の障がい者採用(事務職・高校卒業程度)は、昭和61年4月2日以降に生まれた人が対象でした(習志野市のページで2026年9月27日確認)。
試験はどんな内容?教養試験と職務基礎力試験の例
| 実施団体(年度) | 区分 | 第1次 | 第2次 |
|---|---|---|---|
| 埼玉県杉戸町(令和8年度実施・令和9年4月1日採用) | 一般事務(障がい者枠) | 職務基礎力試験、作文試験(9月6日) | 個人面接 |
| 兵庫県(令和8年度) | 事務系 | 教養試験(2時間)、論文試験(1時間) | 個別面接 |
| 兵庫県(令和8年度) | 技術系 | 教養試験(2時間)、専門試験(1時間) | 個別面接 |
杉戸町の一般事務(障がい者枠)の受験資格は、障害者手帳の交付を受けていて、介助者なく受験・職務遂行ができること、昭和62年4月2日から平成21年4月1日までに生まれたことなどでした。なお、同じ町の一般事務(通常の区分)は第2次試験に集団討論がありますが、障がい者枠は個人面接のみです。詳しくは杉戸町のBEST実施情報にまとめています。
職務基礎力試験(BEST-A)は60問・60分で、論理的思考・資料分析・文章理解・社会情勢の4分野から基礎的な内容が出ます。形式に慣れておきたい人は、登録不要の無料お試し10問で問題の雰囲気と時間の感覚を確かめられます。
受験上の配慮は、いつ・どう申請する?
障がいの状況に応じて、次のような配慮を受けられることがあります。兵庫県の令和8年度の試験案内では、点字や音声パソコンで受験する場合に教養試験を3時間とすることや、筆記が難しい人のパソコン使用、補聴器・人工内耳の使用などが示されていました。配慮の内容と申請方法は団体ごとに違うので、申込の前に必ず確認してください。
- 点字による出題、拡大文字の問題冊子
- 音声パソコンの使用、パソコンによる解答
- 試験時間の延長
- 手話通訳や、口頭の説明を文字で伝えること
- 車いすで使える席、補装具の使用、別室での受験
- 受験案内の「受験上の配慮」「障がいに応じた措置」などの欄を読む
- 申込書の配慮欄に、必要な配慮を具体的に書く
- 書き方に迷ったら、申込締切より前に人事担当課に問い合わせる
- 試験日が近づいたら、配慮の内容が通知どおりになっているか確認する
配慮欄は、どう書けば伝わる?
配慮の申請は、書き方が具体的なほど準備する側が対応しやすくなります。当サイトで作った書き方の比較です。
| 選択肢 | 配慮欄の書き方(練習用) | 判定と理由 |
|---|---|---|
| 1 | 「目が悪く、細かい文字が読みにくいので、当日はいろいろと配慮をお願いします」 | ×:何をしてほしいのかが分からない |
| 2 | 「弱視のため、問題冊子の拡大(A3判程度)を希望します。拡大鏡を持参します」 | ○:障がいの状況、必要な配慮、持参物が具体的 |
| 3 | 「必要な配慮の内容は、試験の当日に会場で係の方と相談して決めさせてください」 | ×:事前の準備が必要な配慮は、当日では対応できないことがある |
| 4 | 「障がいがあるので、そちらでできる配慮はすべてお願いしたいと考えています」 | ×:必要な配慮が特定できず、かえって調整に時間がかかる |
正解は2です。「障がいの状況」「必要な配慮」「自分で用意するもの」の3点をそろえると伝わりやすくなります。面接で配慮について話すときも同じ考え方で、「何ができないか」だけでなく「こうすれば力を発揮できる」という形で伝えるのがポイントです。
採用後の働き方は、どう確かめる?
障害者雇用促進法第36条の3は、事業主に対し、障害のある職員が能力を発揮できるよう、障害の特性に配慮した施設の整備や援助を行う人の配置などの措置(過重な負担になる場合を除く)を求めています。また同法第7条の3により、国と地方公共団体の任命権者は、障害のある職員の活躍を進めるための「障害者活躍推進計画」を作成し、公表することになっています(e-Gov法令検索で2026年9月27日確認)。
受験先の障害者活躍推進計画を読むと、その団体がどんな取組や目標を掲げているかが分かります。面接や採用前の面談で、配慮してほしい点を具体的に伝えておくと、配属先の準備がしやすくなります。
迷ったときに確認することは?
| 迷う点 | 確認する操作 |
|---|---|
| 自分の手帳が対象になるか分からない | 受験資格の手帳の種類と、交付を受けている必要がある時点を読む |
| どの配慮を申請すればよいか分からない | ふだんの仕事や学習で使っている工夫(拡大・音声・休憩など)を書き出し、試験で必要なものを選ぶ |
| 筆記の時間が足りるか不安 | 配慮の内容が決まったら、その条件(時間延長の有無など)に合わせて時間を計って練習する |
| 一般の区分と障がい者の区分のどちらを受けるか迷う | 両方の筆記・面接の内容と併願の可否を受験案内で比べる |
準備は何から始める?
- 受験資格(手帳の種類・年齢・基準日)と、配慮の内容・申請方法を確認する
- 筆記の形式(教養試験・職務基礎力試験など)に合わせて練習する
- 作文は、これまでの経験と、働くうえでの工夫を書けるよう準備する
- 面接では、得意な仕事や必要な配慮を、仕事の場面に即して説明できるようにする
資格職の枠は資格職の社会人枠とBEST、遠方から受ける場合はUIJターンで地元の役所に転職する、在職中に受ける場合は在職中の受験と退職のタイミングも参考にしてください。
Q & A
よくある質問
Q.一般の区分と障がい者の区分を両方受けられますか?+
自治体によって併願できるかどうかが違います。受験案内の注意事項で確認してください。
Q.面接で障がいについて話す必要がありますか?+
仕事をするうえで必要な配慮を確認するために聞かれることがあります。できることと、あると働きやすい配慮を具体的に伝えると、配属後の相談にもつながります。
Q.手帳の申請中でも受けられますか?+
受験資格では、いつの時点で手帳などの交付を受けている必要があるかが決まっていることが一般的です。取得の時期と受験資格の基準日を確認し、分からなければ人事担当課に問い合わせてください。
Q.配慮を申請すると不利になりませんか?+
障害者雇用促進法は、募集・採用の段階で障害の特性に配慮した措置を講じることを事業主に求めています。必要な配慮を申請することは、力を発揮するための準備と考えてください。