KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 転職理由は、同じ理由でまた辞めないかと、公務員で本当に実現できるかを確かめるために聞かれる。
- ネガティブなきっかけも、事実を変えずに「実現したいこと」に言い換えて話す。
- 前職を悪く言わない。前職で得たものに一言触れると、バランスのよい答えになる。
- 転職理由と志望動機が一本の線でつながるように作る。矛盾は深掘りで見つかりやすい。
- 話すときは「前職で得たもの → きっかけ → 実現したいこと → 公務で実現できる理由」の4文、30秒〜1分。
この記事の目次
なぜ面接で転職理由を聞かれるのか
経験者採用の面接では、転職理由はほぼ必ず聞かれると考えて準備しておきましょう。面接官が確かめたいのは、主に次の2点です。
- 定着するか:前の職場を辞めた理由が、公務員になっても同じように起こりうるものではないか。
- 期待が合っているか:公務員の仕事で、その人のやりたいことが本当に実現できるか。
たとえば「残業が多かったから」だけが理由だと、繁忙期や災害対応などで時間外の勤務が生じることもある公務の仕事で、同じ不満を持たないかと考えられてしまいます。理由そのものより、どう伝えるかが大切です。
ネガティブなきっかけを、前向きな理由にするには
転職を考えたきっかけがネガティブなものでも構いません。それを「だから何を実現したいのか」に言い換えるのがポイントです。
- 本当のきっかけを正直に書き出す(例:会社の方針で、利益の出ない地域から撤退することになった)。
- そのとき何に引っかかったのかを考える(例:その地域の利用者が困ることが気になった)。
- そこから「実現したいこと」を取り出す(例:採算にかかわらず、地域の暮らしを支える仕事がしたい)。
- それが公務員の仕事でどう実現できるかを、志望先の施策で確かめる(例:地域交通や生活支援の施策)。
| 本当のきっかけ | 実現したいこととしての伝え方 |
|---|---|
| 利益優先の方針に違和感があった | 採算だけで判断できない、住民の暮らしに必要なサービスに関わりたい |
| 転勤が多く、地元を離れていた | 長く暮らす地域に腰を据えて、まちづくりに関わりたい |
| 仕事の範囲が狭く、成長が感じられなかった | 幅広い分野の仕事を通じて、地域全体の課題に向き合いたい |
| 顧客の一部しか支援できなかった | 特定の顧客ではなく、地域の住民全体を対象にした仕事がしたい |
| 会社の業績が不安定だった | (条件面は主な理由にせず)長く地域に関わり続けられる仕事で経験を生かしたい |
言い換えすぎると、何が問題になるのか
前向きに言い換えることは大切ですが、事実から離れすぎると、深掘りされたときに説明がつかなくなります。本当のきっかけと矛盾しない範囲にとどめましょう。
| 本当のきっかけ | 言い換えすぎ | ちょうどよい |
|---|---|---|
| 長時間労働で体調を崩しかけた | 以前から行政の仕事に強い使命感があった | 働き方を見直す中で、地域に長く関わる仕事で経験を生かしたいと考えた |
| 上司と方針が合わなかった | 組織の改革を進めたかった | 利用者の立場を優先する仕事がしたいと考えるようになった |
前職を悪く言わずに話すには
前職の不満を並べると、「環境のせいにする人」「うちに来ても不満を言うのでは」という印象を与えかねません。前の職場への感謝や、そこで得た経験に一言触れると、バランスのよい答えになります。
例:「前職では営業として多くのお客様と関わり、相手の要望を聞き取る力を身につけることができました。その中で〜と考えるようになり、転職を決めました。」
志望動機と矛盾させないには、どうすればよいか
転職理由と志望動機は、面接官にセットで比べられると考えておきましょう。両者が一本の線でつながっていることが大切です。
| 転職理由 | 志望動機 | |
|---|---|---|
| つながっている | 採算にかかわらず地域の暮らしを支えたい | 地域公共交通の見直しに、前職の物流の経験を生かしたい |
| 矛盾している | 一つの分野の専門性を深めたい | いろいろな部署を経験してみたい |
| 矛盾している | 地元に腰を据えたい | (県外の自治体を志望し、地元とのつながりを説明できない) |
志望動機の3つの問い(なぜ公務員か・なぜこの自治体か・何ができるか)は市役所・県庁の志望動機で詳しく説明しています。
どう話す?4文の骨組みと作例
- 前職での仕事と、そこで得たもの(1文)。
- 転職を考えたきっかけ(事実を簡潔に1文)。
- そこから生まれた「実現したいこと」(1文)。
- それが公務員・志望先で実現できると考えた理由(1〜2文)。
全体で30秒〜1分程度にまとめます。作例(架空):「前職では地方の支店で法人営業を担当し、地域の事業者の声を直接聞く経験を積みました。その中で、人手不足など1社ごとの支援では解決できない課題が増えていると感じました。地域全体の仕組みに関わる仕事がしたいと考え、事業者支援や産業振興に取り組む貴市を志望しました。」
前職の職種ごとに、どう組み立てられるか
4文の骨組みは、職種が変わっても使えます。次は、前職の職種ごとに骨組みの中身を入れた作例です。自分の経験に近い行を参考に、事実に合わせて書き換えてください。
| 前職の職種 | 前職で得たもの | きっかけ | 実現したいこと | 公務で実現できると考えた理由 |
|---|---|---|---|---|
| 小売の店長 | スタッフの育成と店舗運営 | 近隣の商店街の空き店舗が増え、1店舗の努力では地域のにぎわいを保てないと感じた | 地域全体のにぎわいづくりに関わりたい | 商店街の支援や空き店舗の活用に取り組む施策がある |
| 介護職 | 利用者と家族の相談に応じる経験 | 制度を知らずに支援が遅れる家庭を多く見た | 支援が必要な人に制度を早く届けたい | 地域包括ケアの相談窓口など、制度の入口に関われる |
| IT企業のSE | 業務システムの設計と導入 | 顧客ごとの個別最適では、地域全体の手続きの不便は解消しないと感じた | 誰もが使いやすい手続きの仕組みをつくりたい | 行政手続のオンライン化を進める部署がある |
どの例も、前職を否定せず、「前職で得たもの」と「公務で実現したいこと」が同じ方向を向いています。この形になっていれば、志望動機や自己PRともつなげやすくなります。
深掘りの質問には、どう備えればよいか
| 追加の質問 | 準備の方向 |
|---|---|
| 今の会社の中では実現できないのですか | 社内の異動や別の事業では実現しにくい理由を、事実にもとづいて説明する |
| 民間の別の会社ではだめなのですか | 地域の住民全体を対象にできる、という公務ならではの点を示す |
| 公務員になって不満を感じたらどうしますか | 組織のルールの中で改善を提案する姿勢を、前職の経験を交えて話す |
| 給与が下がっても大丈夫ですか | 条件を理解したうえで選んだことを、簡潔に伝える |
給与の変化は市役所の社会人採用の給料で前もって確認しておくと、落ち着いて答えられます。
転職理由の準備でつまずいたら、どこを直すか
| つまずき | 確認する操作 |
|---|---|
| 不満の話になってしまう | 4つの手順の3番目(実現したいこと)から話し始める |
| きれいごとに聞こえる | 本当のきっかけを1文だけ事実として入れる |
| 志望動機とずれる | 転職理由と志望動機を並べて書き、同じ方向か確かめる |
| 深掘りで詰まる | 「なぜ今の会社ではだめか」「なぜ民間ではだめか」の答えを用意する |
| 長くなる | 4文に収め、残りは質問されたら話す |
転職全体の段取りは民間から公務員に転職する流れ、強みの伝え方は公務員試験の自己PRで確認できます。
面接の前に筆記試験を課す試験も多くあります。第1次試験がBEST(職務基礎力試験)の場合は、登録不要の無料お試し10問で形式を確かめておきましょう。
Q & A
よくある質問
Q.人間関係が理由で辞めた場合はどう話せばよいですか?+
人間関係の問題をそのまま話すのは避け、その経験を通じて考えるようになった「実現したいこと」を中心に話しましょう。ただし、事実と矛盾する作り話はしないことが大切です。
Q.在職中の場合、「まだ辞めていません」と言ってもよいですか?+
問題ありません。在職中であれば「転職を考えた理由」として話します。採用された場合の退職時期も聞かれることがあるので、答えを準備しておきましょう。
Q.何度も転職している場合は不利ですか?+
転職の回数そのものより、それぞれの転職に一貫した考えがあるか、今回は長く働く理由があるかが見られると考えられます。各職場で得たものを整理し、今回の志望につながる流れで説明しましょう。
Q.「安定しているから」は転職理由として言ってはいけませんか?+
本音として持っていてもかまいませんが、それだけを理由にすると仕事への理解が伝わりません。公務で実現したいことを主な理由にし、安定は長く働き続けられる理由の補足にとどめるのが無難です。