KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 自己PRは「採用すると、どんな力で役に立つ人か」を伝えるもの。志望動機が「なぜ公務員・なぜこの自治体か」なら、自己PRは「自分が何をできるか」。
- 構成は 強み → 具体的な経験 → 成果(数字) → 公務での活かし方 の4部品。面接なら1分程度にまとめる。
- 材料は職歴の棚卸しから。大きな成果より、自分で考えて動いた場面を選ぶ。
- 民間の用語(顧客・売上・KPIなど)は、住民・サービスの質・目標の指標など行政の言葉に置き換えて伝える。
- 例文の丸写しは面接の深掘りで崩れる。型だけを借り、中身は自分の経験で書く。
この記事の目次
自己PRは、志望動機と何が違うのか
自己PRは、面接カードや面接で「あなたを採用すると、どんな力を発揮してくれるのか」を伝える項目です。社会人経験者は、学生と違って実務の具体的な経験があります。それを公務の場面で役立つ形に翻訳して伝えられるかどうかが、分かれ目になります。
| 自己PR | 志望動機 | |
|---|---|---|
| 答える問い | 自分に何ができるか | なぜ公務員か、なぜこの自治体か |
| 中心になる材料 | 職歴の中の具体的な場面と成果 | 前職で気づいた課題と、志望先の施策 |
| よくある失敗 | 強みを並べるだけで、裏づけの経験がない | どの自治体にも当てはまる内容 |
| つながり | 志望動機で挙げた施策に、自己PRの強みが生きると一貫する | 同左 |
強みの材料は、どうやって見つけるか
- 職歴を、勤務先・部署・期間・担当業務の順に書き出す。
- それぞれの時期で「うまくいったこと」「苦労して乗り越えたこと」「周りから頼られたこと」を挙げる。
- その場面で自分が考えたこと・工夫したことを書き出す。
- 何度も出てくる行動のくせ(調整する、仕組みを作る、粘り強く続けるなど)を探す。これが強みの候補。
- 強みの候補のうち、公務の仕事で生かせそうなものを1つ選ぶ。
| 強みの候補 | 裏づけになる行動の例 | 公務で生きる場面の例 |
|---|---|---|
| 調整力 | 部署や取引先の意見の違いを整理して合意をつくった | 複数の課や地域団体が関わる事業 |
| 仕組みづくり | 手順書やチェック表を作り、ミスを減らした | 窓口や事務の業務改善 |
| 説明力 | 専門的な内容を顧客に分かりやすく伝えた | 制度の説明、住民説明会 |
| 粘り強さ | 時間のかかる案件を最後までやり遂げた | 長期にわたる計画や工事の管理 |
| データ活用 | 数字から課題を見つけて改善策を出した | 施策の効果検証、計画づくり |
大きな表彰や目立つ成果がなくても問題ありません。日々の業務の中で、自分なりに考えて改善した経験のほうが、公務での働き方をイメージしてもらいやすいこともあります。
どう組み立てる?4つの部品と分量
| 部品 | 書くこと | 分量のめやす(300字の場合) |
|---|---|---|
| 1 強み | 一言で言える強み | 1文(30字程度) |
| 2 具体的な経験 | 強みを発揮した場面と、自分の行動 | 約半分(150字程度) |
| 3 成果(数字) | 行動の結果を数字で | 1〜2文(50字程度) |
| 4 公務での活かし方 | その力を志望先のどんな仕事で使うか | 1〜2文(70字程度) |
面接で話す場合は、この4つを1分程度にまとめます。面接カードに書く場合は、字数に応じて2の経験を厚くしましょう。
職種別に見ると、自己PRはどう書けるか
当サイトが作成した架空の例です。職種が違っても、4つの部品の形は同じです。数字や施策は自分の経験と志望先の資料で確かめたものに置き換えてください。
| 部品 | 営業職の例 | 事務職の例 | 技術職の例 |
|---|---|---|---|
| 強み | 関係者の意見を整理し、合意をつくる力 | 業務の手順を見直し、ミスを減らす仕組みづくり | 現場の状況を数字でつかみ、計画を立て直す力 |
| 経験 | 営業・倉庫・配送の3部署にまたがる納期遅れを担当し、週1回の打ち合わせで原因を整理した | 請求書の処理で起きていた入力ミスを分類し、チェック表と入力ルールを作った | 設備の点検記録を集計し、故障が多い機器から更新する順番を提案した |
| 成果 | 半年で納期遅れを月40件から10件程度に減らした | 月20件ほどあった差し戻しを、3か月で数件に減らした | 突発的な修理の件数が前年より約3割減った |
| 公務での活かし方 | 複数の課や地域団体が関わる事業の調整に生かしたい | 窓口や庶務の事務の正確さと効率の向上に生かしたい | 公共施設の維持管理の計画づくりに生かしたい |
面接で話すときは、どう1分にまとめるか
書いた自己PRをそのまま読み上げると、長く、硬く聞こえます。面接では、4つの部品をそれぞれ1〜2文に縮め、数字を1つだけ残すのがコツです。営業職の作例を話し言葉にすると、次のようになります(約190字)。
「私の強みは、立場の違う人の意見を整理し、合意をつくる力です。前職の物流会社では、営業・倉庫・配送の3部署にまたがる納期遅れの問題を担当しました。各部署の担当者と週1回の打ち合わせを設け、遅れの原因を一つずつ整理した結果、半年で月40件ほどあった遅れを10件程度まで減らせました。貴市でも、複数の課や地域の団体が関わる事業で、関係者の意見をまとめる役割を担いたいと考えています。」
| 話した内容 | 予想される質問 | 準備しておくこと |
|---|---|---|
| 強み(合意をつくる力) | その強みが裏目に出たことは? | 調整に時間をかけすぎた経験と、その後の工夫 |
| 経験(3部署の調整) | 反対した人はいましたか? | 意見の違いと、どう折り合いをつけたか |
| 成果(40件→10件程度) | その数字はどう測りましたか? | 記録の取り方と、自分の関与の範囲 |
| 公務での活かし方 | 具体的にどの事業ですか? | 志望先の計画で確かめた事業名 |
民間の言葉は、どう言い換えればよいか
民間でふつうに使う言葉も、公務の面接では伝わりにくかったり、利益中心の印象を与えたりすることがあります。意味が伝わる範囲で、行政の文脈に合う言葉に置き換えましょう。
| 民間でよく使う言葉 | 行政の文脈での言い換え |
|---|---|
| 顧客・ユーザー | 住民・事業者・利用者 |
| 売上・利益を伸ばした | サービスの質や効率を高めた |
| 競合との差別化 | 限られた予算と人員で、より多くの人に届ける工夫 |
| KPI・PDCA | 目標の指標・計画と振り返りの繰り返し |
| コスト削減 | 限られた財源の有効活用 |
書き終えたら、何をチェックすればよいか
- 最初の一文で、強みが一言で分かるか
- 強みを裏づける経験が1つに絞られ、自分の行動が主語「私」で書かれているか
- 成果に、件数・期間・割合など確かめられる数字が入っているか
- 公務での活かし方に、志望先の施策名や業務が入っているか
- 民間の略語や業界用語が残っていないか
- 志望動機・転職理由と矛盾していないか
- 声に出して1分以内で話せるか
自己PRを直すときは、どこを見ればよいか
| つまずき | 確認する操作 |
|---|---|
| 強みを3つも4つも並べている | 1つに絞り、残りは深掘り用に取っておく |
| 経験が抽象的 | いつ・どこで・誰と・何をしたかを書き足す |
| 成果が「頑張った」で終わる | 件数・期間・割合のどれかで表せないか考える |
| 公務での活かし方が一般論 | 志望先の施策名や、配属されうる業務を1つ入れる |
| 志望動機とかみ合わない | 志望動機で挙げた施策に、この強みが生きるか確かめる |
強みは面接で深掘りされる前提で選びます。「その強みが裏目に出た経験は」と聞かれても答えられるように準備しておきましょう。答え方の骨組みは経験者採用の面接でよく聞かれる質問、書類への落とし込みは面接カードの書き方で確認できます。
志望動機との一貫性は市役所・県庁の志望動機、転職の理由との整合は民間から公務員への転職理由であわせて整えておくと、面接全体の話がぶれません。
筆記試験がBEST(職務基礎力試験)の場合は、登録不要の無料お試し10問で形式を確かめられます。書類の準備と並行して、筆記の練習時間も確保しておきましょう。
Q & A
よくある質問
Q.目立った実績がありません。自己PRは書けますか?+
書けます。評価の中心は成果の大きさより、自分で考えて行動した過程です。日々の業務の小さな改善でも、自分の役割と数字を明確にすれば十分に材料になります。
Q.自己PRと長所は同じですか?+
近いものですが、自己PRは「仕事でどう役立つか」まで伝える点が違います。長所を聞かれた場合も、裏づけの経験と公務での活かし方を添えると、自己PRとして伝わります。
Q.前職と関係ない部署に配属されたら、自己PRは無駄になりますか?+
無駄にはなりません。調整力や仕組みづくりのように、部署を問わず生きる強みを選んでおくと、異動の多い公務でも説明しやすくなります。
Q.例文を参考にしてもよいですか?+
構成の参考にするのはかまいませんが、文章をそのまま使うのはおすすめしません。面接で具体的に聞かれたときに答えられず、かえって評価を下げるおそれがあります。