KEY TAKEAWAYS

この記事でわかること

  • 社会人採用の志望動機は、なぜ公務員か・なぜこの自治体か・自分に何ができるかの3つの問いに答えると形になる。
  • 「なぜこの自治体か」は、総合計画や施政方針などで実際の施策名を確かめて書く。どの自治体にも言える内容は弱い。
  • 地方自治法では、市町村は基礎的な地方公共団体、都道府県は広域の地方公共団体。市役所と県庁で志望動機の方向を変える。
  • 「安定しているから」だけの動機は、仕事への理解が伝わらず弱い。前職の経験で気づいた課題から語る。
  • 書いた志望動機は面接カードと面接の両方で使う。1分で話せる長さにまとめておく。
この記事の目次
  1. 01社会人採用の志望動機は、何に答えればよいか
  2. 02どの順番で志望動機を作ればよいか
  3. 03「なぜ公務員か」には、どう答えればよいか
  4. 04「なぜこの自治体か」は、何を調べれば書けるか
  5. 05市役所と県庁で、志望動機はどう変えるか
  6. 06前職の経験は、公務のどの場面につなげればよいか
  7. 07弱い志望動機は、どう直せばよいか
  8. 083つをつなぐと、どんな志望動機になるか
  9. 09よくあるNGと、つまずいたときの直し方
  10. 10よくある質問
  11. 11出典・参考

社会人採用の志望動機は、何に答えればよいか

社会人・経験者採用の志望動機では、新卒と同じ「地域に貢献したい」だけでは足りません。面接官が知りたいのは、次の3つの問いへの答えだと考えて組み立てると、抜けがなくなります。

志望動機の3つの問い(当サイトの整理)
問い答える内容材料の出どころ
なぜ公務員か前職で気づいた課題や、実現したいことが公務で実現しやすい理由前職の経験、公務の役割の理解
なぜこの自治体か志望先の課題や施策への関心総合計画、施政方針、当初予算の主要事業
自分に何ができるか前職の経験を、志望先のどの仕事で生かせるか職歴の棚卸し、材料ノート

どの順番で志望動機を作ればよいか

  1. 前職で「もっとこうできれば」と感じた場面を3つ書き出す(なぜ公務員かの材料)。
  2. 志望先の総合計画・施政方針から、その場面と関係する施策を1〜2つ選ぶ(なぜこの自治体かの材料)。
  3. 前職で身につけた技能を1つ選び、その施策のどの仕事で使えるかを書く(何ができるかの材料)。
  4. 3つを「きっかけ → 志望先の施策 → 自分の貢献」の順に、200〜300字程度でつなぐ。
  5. 声に出して1分以内に話せるか確かめ、面接カードの字数に合わせて調整する。

「なぜ公務員か」には、どう答えればよいか

地方公務員法第30条は、職員は「全体の奉仕者として公共の利益のために勤務」すると定めています。民間企業は顧客や市場を選べますが、行政は地域の住民や事業者を公平に対象にします。この違いを、自分の経験と結びつけて説明するのが基本です。

たとえば、「前職で一部の顧客にしか届けられなかったサービスを、地域の誰もが使える形で届けたい」「業界の枠をこえて地域全体の仕組みを整える仕事がしたい」のように、民間の仕事を否定せずに、公務でこそ実現しやすいことを語ります。転職理由と矛盾しないように、民間から公務員への転職理由もあわせて整理しておきましょう。

「なぜこの自治体か」は、何を調べれば書けるか

志望動機で差がつくのは、この部分です。次の資料は、多くの自治体がWebサイトで公表しています。すべてを読む必要はなく、自分の経験と関係する分野だけを拾います。

  • 総合計画:まちの将来像と重点分野。「現状と課題」の部分が材料になる。
  • 首長の施政方針・所信表明:いま力を入れている施策が分かる。
  • 当初予算の主要事業:施策が実際に予算をつけて進められているかが分かる。
  • 分野別の計画:DX推進計画、子ども計画、地域防災計画など。
  • 採用ページの職員紹介・求める人物像:どんな人材を求めているかが分かる。

調べた中から、自分の経験と結びつく施策を1〜2つ選び、「貴市の○○計画にある□□の取り組みに、前職の△△の経験が生かせると考えた」と具体的に語ると、よく調べていることが伝わります。テーマ別の材料の集め方は経験者採用の論文テーマも参考になります。

市役所と県庁で、志望動機はどう変えるか

地方自治法第2条は、市町村を「基礎的な地方公共団体」として地域の事務を一般的に処理するもの、都道府県を「市町村を包括する広域の地方公共団体」として、広域にわたる事務、市町村に関する連絡調整の事務、規模や性質から一般の市町村が処理するのに適当でない事務を処理するものと定めています。志望動機も、この役割の違いに合わせる必要があります。

市役所と県庁の違い(地方自治法第2条をもとに当サイトが整理した概要)
市役所(市町村)県庁(都道府県)
役割基礎的な地方公共団体市町村を包括する広域の地方公共団体
主な相手住民一人ひとり市町村、事業者、県全体
仕事の例住民票・戸籍、子育て支援、ごみ収集、地域の福祉広域の道路や河川、産業振興、市町村の支援
志望動機で強調したいこと住民と直接関わり、身近な課題を解決したい広い視野で地域全体の仕組みづくりに関わりたい

市役所の志望動機で「県全体の産業政策に関わりたい」と言うと、仕事の理解が足りないと受け取られかねません。詳しくは市役所と県庁の違いで説明しています。

前職の経験は、公務のどの場面につなげればよいか

前職の経験と公務の場面の結びつけ方(例)
前職の経験公務で生かせる場面の例
営業・接客窓口での住民対応、事業者への制度の説明
事務・経理予算の管理、業務の効率化
IT・システム行政手続のオンライン化、庁内のデジタル化
企画・広報施策の周知、観光・移住のPR
建設・技術公共施設や道路の整備・維持管理
医療・福祉高齢者や障害のある人の支援、地域の見守り

弱い志望動機は、どう直せばよいか

当サイトが作成した架空の例で、弱い志望動機と改善例を3つの問いごとに比べます。

弱い例と改善例(架空の例)
問い弱い例改善例
なぜ公務員か安定した環境で、地域に貢献したいと考えた。前職の保険の窓口で、制度を知らずに手続きが遅れる高齢の方を多く見て、誰もが使える形で制度を届ける仕事がしたいと考えた。
なぜこの自治体か住みやすく魅力のある貴市で働きたい。貴市が総合計画で掲げる「手続きの分かりやすさの向上」に共感した。
自分に何ができるか前職の経験を生かして頑張りたい。問い合わせを記録・分類して説明資料を作り、対応時間を短縮した経験を、窓口の案内の改善に生かしたい。

3つをつなぐと、どんな志望動機になるか

上の改善例を「きっかけ → 志望先の施策 → 自分の貢献」の順につなぐと、次のようになります(架空の例、約200字)。

「前職の保険の窓口で、制度を知らずに手続きが遅れる高齢の方を多く見てきました。制度は、使う人に届いて初めて意味があると感じ、誰もが使える形で制度を届ける行政の仕事を志望しました。貴市は総合計画で手続きの分かりやすさの向上を掲げており、この方向に強く共感しています。前職では問い合わせを記録・分類して説明資料を作り、対応時間を短縮しました。この経験を生かし、窓口の案内の改善に取り組みたいと考えています。」

面接で話すときは、この文章を覚えるのではなく、「高齢の方の手続き」「分かりやすさの向上」「記録と分類」という3つのキーワードだけを頭に置いて話します。

よくあるNGと、つまずいたときの直し方

つまずき → 確認する操作
NG・つまずき確認する操作
「安定」「休みが多い」など条件面だけの理由前職で気づいた課題から語り直す。条件は本音でも主な理由にしない
どの自治体にも当てはまる内容志望先の計画から施策名を1つ入れる
前職の悪口になっている不満を「実現したいこと」に言い換える
住んでいる・出身だから、だけ地元への思いに、施策と自分の貢献を足す
長すぎて1分で話せない3つの問いにそれぞれ一文で答え、残りは深掘り用に取っておく

志望動機は、面接カード・面接・論文のすべてで使う軸になります。書き方は面接カードの書き方、強みの伝え方は公務員試験の自己PR、全体の流れは経験者採用の申込から採用までの流れで確認できます。

志望先の第1次試験がBEST(職務基礎力試験)の場合は、登録不要の無料お試し10問で形式を早めに確かめておくと、書類と筆記の準備の時間配分を決めやすくなります。

Q & A

よくある質問

Q.出身地や住んでいる自治体を志望するのは、弱い理由ですか?

それだけだと弱く聞こえることがありますが、地元への思い自体は自然な理由です。地元のどんな課題に、自分の経験でどう貢献したいかまで話せれば、説得力のある志望動機になります。

Q.県庁と市役所を併願する場合、志望動機はどうすればよいですか?

前職の経験や公務員を目指す理由は共通でかまいません。ただし「なぜこの自治体か」の部分は、市町村と都道府県の役割の違いに合わせて、それぞれ書き分けましょう。

Q.志望動機は何文字くらいにまとめればよいですか?

面接カードの欄の大きさに合わせますが、話す場合は1分以内(おおよそ300字程度)が一つのめやすです。まず短い版を作り、深掘りされたときの補足を別に用意しておきます。

Q.給与や休暇などの条件面は、面接で話してもよいですか?

聞かれたら正直に答えてかまいませんが、志望動機の中心にはしないほうが無難です。条件面は、長く働き続けられる理由の補足として触れる程度にとどめましょう。

出典・参考

読了、おつかれさまでした。ほかの対策ガイドを読む