KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 経験者採用の面接は、「これまでの経験を、公務の現場でどう生かせるか」を具体的に確かめる場。
- 定番は志望動機・転職理由・前職の実績・公務員の仕事の理解・異動への考え・ストレス対処。質問ごとに面接官が確かめたいことがある。
- 答えは「結論 → 具体例 → 公務での活かし方」の骨組みで、1回30秒〜1分程度にまとめる。
- 面接官は面接カードや論文をもとに深掘りする。書いた内容と話す内容をそろえ、2〜3段の追加質問に耐えられる具体例を用意する。
- 回答例の丸暗記は深掘りに弱い。骨組みとキーワードだけを準備し、自分の言葉で話す。
この記事の目次
経験者採用の面接では、何が確かめられているか
新卒の採用面接が将来性を中心に見るのに対し、経験者採用の面接では「これまでの経験を、公務の現場でどう生かせるか」がより具体的に問われると考えられます。あわせて、民間とは違う公務の仕事(公平性、法令や予算にもとづく仕事、異動の多さなど)を理解しているか、組織の中で力を発揮できるかも見られます。
面接官は、面接カードや論文に書かれた内容をもとに質問することが多いため、書いたことと話すことが一致しているか、深掘りしても具体的に答えられるかが分かれ目になります。評価の基準は公表されていないことが多いので、この記事では質問の意図から逆算して準備する方法を紹介します。
よく聞かれる質問と、その意図は何か
| 質問 | 面接官が確かめたいこと | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 志望動機(なぜ公務員か、なぜ当自治体か) | 本気度と、仕事への理解 | 志望先の施策と自分の経験を結びつける |
| 転職理由 | 同じ理由ですぐ辞めないか | 前職を否定せず、「実現したいこと」として話す |
| 前職での実績 | 即戦力になるか | 役割・行動・成果を数字で |
| 公務員の仕事の理解 | 民間との違いを理解しているか | 公平性、説明責任、法令や予算にもとづく仕事 |
| 異動への考え | 希望しない部署でも力を発揮できるか | どの部署でも生かせる力を具体的に |
| ストレスへの対処 | 困難な場面で持ちこたえられるか | 実際の場面と、自分なりの対処法 |
| 最後に質問はありますか | 関心の深さ | 調べれば分かることは避ける |
志望動機は市役所・県庁の志望動機の作り方、転職理由は民間から公務員への転職理由、最後の質問は面接の逆質問で、それぞれ詳しく解説しています。
どう答える?「結論 → 具体例 → 公務での活かし方」の骨組み
- 結論:質問に一言で答える(例:「私の強みは、関係者の意見を調整してまとめる力です」)。
- 具体例:それを裏づける経験を1つ、役割と数字を入れて話す。
- 公務での活かし方:その力を志望先のどんな仕事で生かしたいかを話す。
1回の答えは30秒〜1分程度がめやすです。長く話しすぎると、面接官が聞きたい深掘りの時間がなくなります。まず短く答え、続きは質問されたら話す、くらいの意識でちょうどよくなります。
骨組みに当てはめると、答えはどうなるか
次は、架空の経歴で骨組みに当てはめた例です。文章をそのまま覚えるのではなく、3つの欄に入れるキーワードだけを自分の経験で用意してください。
| 質問 | 結論 | 具体例 | 公務での活かし方 |
|---|---|---|---|
| 前職での実績は? | 問い合わせ対応の待ち時間を短縮した | 5人チームのリーダーとして問い合わせを記録・分類し、約25分の待ち時間を3か月で約15分に | 窓口の手続きでも記録をもとに改善の優先順位を決めたい |
| 異動についてどう考えるか | どの部署でも、まず業務を記録して全体を把握する | 前職で3回の部署異動を経験し、そのたびに業務の手順書を作った | 異動の多い公務でも、早く戦力になり、引き継ぎを残せる |
| ストレスへの対処は? | 原因を書き出して、自分で変えられることから手を付ける | 繁忙期にクレームが重なった際、対応を分担表にして負担を分けた | 住民対応で困難な場面があっても、組織で対応する仕組みを作れる |
「公務員の仕事をどう理解しているか」には、何を材料に答えるか
民間から転職する人にとって、答えの材料を集めにくいのがこの質問です。出発点になるのは法律の定めです。地方公務員法第30条は、職員は「全体の奉仕者として公共の利益のために勤務」すると定め、第32条は法令や条例、上司の職務上の命令に従う義務を定めています。
これを自分の経験と比べて、「民間と同じところ」「違うところ」を1つずつ言えるようにしておくと、具体的な答えになります。
| 観点 | 民間でよくある考え方 | 公務で求められること |
|---|---|---|
| 相手 | 顧客を選び、重点的に対応できる | 住民を公平に扱う(全体の奉仕者) |
| 根拠 | 社内の判断で柔軟に変えられる | 法令・条例・予算にもとづいて進める |
| 説明 | 取引先や株主への説明 | 住民や議会への説明責任 |
| 成果の測り方 | 売上や利益で測りやすい | 公共の利益。数字で測りにくい成果も多い |
| 共通点 | 課題を見つけ、関係者と調整し、期限内に進める力はどちらでも生きる |
「違い」だけを並べると他人事に聞こえます。最後の「共通点」の行を使い、自分の経験のどこが公務でも生きるかまで話すと、前向きな答えになります。
深掘りの質問は、どう続くのか
面接では、最初の答えに対して「なぜ」「どうやって」「ほかには」と2〜3段の追加質問が続くことがよくあります。具体例を1つ話したら、その前後の事情まで答えられるよう準備しておきましょう。
| 段階 | 追加質問の例 | 準備しておくこと |
|---|---|---|
| 1段目 | なぜその方法を選んだのですか | ほかの選択肢と比べた理由 |
| 2段目 | 周りの反対はありませんでしたか | 意見の違いをどう調整したか |
| 3段目 | その経験を当市のどの業務で生かせますか | 志望先の施策名と、使う技能 |
| 4段目(ある場合) | うまくいかなかったことはありますか | 失敗とそこからの学び |
答えにくい質問には、どんな方向で答えればよいか
| 質問の例 | 避けたい答え方 | 答え方の方向 |
|---|---|---|
| 前職を短い期間で辞めていますね | 前の職場の不満を並べる | 事実を簡潔に認め、そこから何を学び、今回は何を実現したいかを話す |
| 職歴に空白期間がありますね | 言い訳を長く話す | 期間中にしていたことと、今は働ける状態であることを簡潔に |
| 年下の上司の指示に従えますか | 「問題ありません」だけで終える | 前職で年齢に関係なく協力した場面を具体的に |
| 他の自治体や民間も受けていますか | うそをつく | 正直に答え、それでも志望先を選ぶ理由を添える |
| 希望しない部署に配属されたら | 「どこでも頑張ります」だけで終える | どの部署でも生かせる力と、学ぶ姿勢を具体的に |
面接の準備でつまずいたら、どこを直すか
| つまずき | 確認する操作 |
|---|---|
| 答えが長くなる | 結論を一文で言ってから具体例に入る。録音して1分以内か測る |
| 具体例が浮かばない | 職歴を表にし、「困った・工夫した・変わった」場面を書き出す |
| どの自治体にも言える答えになる | 志望先の計画から施策名を1つ入れる |
| 深掘りで詰まる | 具体例ごとに「なぜ・どうやって・ほかには」の答えをメモする |
| 面接カードと話がずれる | 提出したカードの控えを読み、同じキーワードで話す |
面接の前に書く書類は面接カードの書き方、強みの伝え方は自己PRの書き方で整理できます。全体の流れは経験者採用の申込から採用までの流れを参考にしてください。
面接に進む前に筆記試験がある場合は、面接準備と並行して形式に慣れておくと安心です。BESTを課す自治体を受ける人は、登録不要の無料お試し10問で4分野の問題を確かめられます。
Q & A
よくある質問
Q.回答は丸暗記したほうがよいですか?+
丸暗記はおすすめしません。深掘りの質問で言葉に詰まりやすく、不自然に聞こえることもあります。骨組みとキーワード(結論・具体例の数字・生かしたい仕事)だけを覚え、自分の言葉で話す練習をしましょう。
Q.面接は何回ありますか?+
自治体や区分によって違います。個別面接を複数回行うところ、集団討論やプレゼンテーションを組み合わせるところもあります。受験案内の試験内容の欄で確認してください。
Q.前職の守秘義務がある内容はどう話せばよいですか?+
社名や取引先名、非公開の数字など、話してはいけない情報は伏せたうえで、自分の役割・行動・成果の割合などを話せば十分です。守秘義務を守る姿勢そのものも、公務員に求められる姿勢として伝わります。
Q.「なぜ民間ではなく公務員なのか」にはどう答えればよいですか?+
民間の仕事を否定するのではなく、前職で気づいた課題や実現したいことが、公平性や地域全体を対象にする公務の仕事で実現しやすい、という筋で話すと前向きに伝わります。志望先の施策名を1つ入れると具体的になります。
Q.オンライン面接でも同じ準備でよいですか?+
話す内容の準備は同じです。加えて、通信環境・カメラの位置・音声を事前に確かめ、画面越しでも結論から短く話すことを意識しましょう。