KEY TAKEAWAYS

この記事でわかること

  • 中小企業の定義は中小企業基本法で決まる。業種ごとの「資本金」または「従業員数」のどちらか一方を満たせば中小企業。
  • 製造業その他は3億円・300人、卸売業は1億円・100人、小売業は5,000万円・50人、サービス業は5,000万円・100人。
  • 中小企業は企業数の99.7%、従業者の約7割(約69.7%)。どちらも中小企業庁が令和3年経済センサス‐活動調査をもとに集計した2021年6月時点の数字。
  • 4択では「両方を満たす必要がある」「小売とサービスの人数の入れ替え」「99.7%と約7割の入れ替え」の3つを疑うと判断が速くなる。
この記事の目次
  1. 01中小企業の定義は?まず「または」を押さえる
  2. 02日本の企業のうち中小企業はどれくらい?
  3. 03中小企業かどうかを判定する手順
  4. 04間違えやすいのはどこ?企業数と従業者数の違い
  5. 05練習問題1:中小企業に当たらないのはどれ?
  6. 06練習問題2:割合の記述の正誤は?
  7. 07つまずいたときは何を確認する?
  8. 08よくある質問
  9. 09出典・参考

中小企業の定義は?まず「または」を押さえる

「中小企業」の範囲は、中小企業基本法の第2条で業種ごとに決められています。基準は資本金(出資の総額)と常時使用する従業員数の2つで、どちらか一方を満たせば中小企業に当たります。

たとえば資本金10億円の製造業者でも、従業員が200人なら「300人以下」を満たすので中小企業です。反対に、資本金1,000万円で従業員500人の製造業者も「3億円以下」を満たすので中小企業になります。「両方の基準を満たす必要がある」と書かれた選択肢は、この一点で誤りと判断できます。

中小企業者の範囲(中小企業基本法。中小企業庁の公表資料より。2026年9月27日確認)
業種資本金(出資の総額)常時使用する従業員数小規模企業者(従業員)
製造業・建設業・運輸業その他3億円以下300人以下20人以下
卸売業1億円以下100人以下5人以下
小売業5,000万円以下50人以下5人以下
サービス業5,000万円以下100人以下5人以下

小売業とサービス業は資本金の基準が同じで、従業員数だけが違います(小売50人・サービス100人)。数字を入れ替えた選択肢が作りやすいところなので、「小売は50、サービスは100」を一組で覚えましょう。

なお、政令で基準を変えている業種もあります(ゴム製品製造業は従業員900人以下、ソフトウェア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下または従業員300人以下、旅館業は従業員200人以下など)。まずは上の4行の基本形を確実にするのが先です。

日本の企業のうち中小企業はどれくらい?

中小企業庁は、総務省・経済産業省の「令和3年経済センサス‐活動調査」を加工して、2021年6月時点の企業数を集計しています(2023年12月公表)。中小企業は約336.5万者で、全企業(約337.5万者)の99.7%です。大企業は約1.0万者、0.3%にとどまります。

従業者の数で見ると、中小企業で働く人は約3,310万人で、全体の約69.7%です。企業の数ではほぼ全部、働く人の数では約7割、という違いを押さえておきましょう。

企業数に占める中小企業の割合の推移(中小企業庁の集計。民営・非一次産業)
時点中小企業の数うち小規模事業者大企業の数
2014年7月約380.9万者(99.7%)約325.2万者(85.1%)約1.1万者(0.3%)
2016年6月約357.8万者(99.7%)約304.8万者(84.9%)約1.1万者(0.3%)
2021年6月約336.5万者(99.7%)約285.3万者(84.5%)約1.0万者(0.3%)

割合は99.7%で変わらない一方、中小企業の数そのものは2016年から2021年にかけて約21万者減っています。「割合が同じ=数も同じ」とは限らない点は、構成比の読み方と同じ考え方です。

中小企業かどうかを判定する手順

定義の問題は、次の順番で確かめると迷いません。表を丸暗記していなくても、業種の区分と基準の組合せが分かれば判断できます。

  1. 業種を確かめる(製造業その他/卸売業/小売業/サービス業のどれか)
  2. その業種の資本金の上限と比べる。以下なら、この時点で中小企業と確定する
  3. 資本金が上限を超えていたら、従業員数の上限と比べる。以下なら中小企業
  4. 両方とも上限を超えたときだけ「中小企業に当たらない」と判断する
  5. 選択肢が割合を問うときは、「企業数か従業者数か」「何年時点か」を最後に確認する

間違えやすいのはどこ?企業数と従業者数の違い

中小企業の問題で誤りの選択肢になりやすいのは、次のような取り違えです。左の列の表現を見たら、右の列で確かめてください。

取り違えやすい表現と正しい理解
誤りやすい表現正しい理解
資本金と従業員数の両方を満たすと中小企業どちらか一方を満たせばよい
小売業は従業員100人以下小売業は50人以下。100人以下はサービス業と卸売業
中小企業は従業者の99.7%を占める99.7%は企業数。従業者では約7割
中小企業は企業数の約7割企業数では99.7%。約7割は従業者の割合
小規模企業者は全業種で従業員20人以下20人以下は製造業その他。商業・サービス業は5人以下

課題の面では、中小企業庁の白書で人手不足、賃上げの原資の確保、価格転嫁(原材料費やエネルギー代の上昇分を取引価格に反映すること)、事業承継、デジタル化などが繰り返し取り上げられています。2026年版の中小企業白書・小規模企業白書は2026年4月に閣議決定されました。物価や為替の動きとの関係は物価と為替の基本で整理しています。

自治体の経験者採用では、商工・産業振興の部署で地域の事業者を支援する仕事もあります。面接や論文で地域経済に触れるときも、「企業の99.7%が中小企業、雇用の約7割を支えている」という2つの数字は話の土台として使えます。受験する自治体の産業構成を一度調べ、どの業種の事業者が多いかを確認しておくと具体的に話せます。

練習問題1:中小企業に当たらないのはどれ?

次のうち、中小企業基本法の定義に照らして中小企業に当たらないものはどれか。

1. 資本金2億円・従業員400人の製造業者 2. 資本金8,000万円・従業員150人の卸売業者 3. 資本金6,000万円・従業員60人の小売業者 4. 資本金1億円・従業員80人のサービス業者

正解は3。小売業の基準は資本金5,000万円以下または従業員50人以下で、3はどちらも超えています。

選択肢ごとの判定
選択肢判定理由
1 製造業 2億円・400人中小企業従業員は300人を超えるが、資本金3億円以下を満たす
2 卸売業 8,000万円・150人中小企業従業員は100人を超えるが、資本金1億円以下を満たす
3 小売業 6,000万円・60人中小企業ではない資本金5,000万円・従業員50人の両方を超える
4 サービス業 1億円・80人中小企業資本金は5,000万円を超えるが、従業員100人以下を満たす

練習問題2:割合の記述の正誤は?

中小企業に関する次の記述ア・イの正誤の組合せとして正しいものはどれか(数値は中小企業庁による2021年6月時点の集計)。

ア 中小企業は、企業数で全体の99.7%を占める。

イ 中小企業で働く従業者は、全体の9割以上を占める。

1. ア正・イ正 2. ア正・イ誤 3. ア誤・イ正 4. ア誤・イ誤

正解は2。従業者に占める割合は約69.7%で、9割には届きません。

選択肢ごとの判定
選択肢判定理由
1 ア正・イ正誤りイの「9割以上」が従業者の割合(約7割)と合わない
2 ア正・イ誤正しいアは企業数の99.7%で正しく、イは約7割なので誤り
3 ア誤・イ正誤りアの99.7%は企業数の割合として正しい
4 ア誤・イ誤誤りアを誤りとする理由がない

時短のコツ:割合の問題は、先に「企業数か従業者数か」に印をつけると、99.7%と約7割の入れ替えにすぐ気づけます。

つまずいたときは何を確認する?

間違えた問題は、どこで判断が止まったかを1つ選び、次の操作で確かめ直します。

つまずき → 確認する操作
つまずき確認する操作
業種ごとの数字が混ざる表を「3億・300/1億・100/5千万・50/5千万・100」の4行だけ書き出す
判定で両方の基準を比べてしまう資本金が以下なら、その時点で判定を止める
割合の数字を入れ替える問題文の「企業数」「従業者」に印をつけてから選択肢を読む
いつの数字か分からない中小企業庁の公表ページで「2021年6月時点」の表記を確認する

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Q & A

よくある質問

Q.資本金と従業員数は両方満たす必要がありますか?

いいえ。業種ごとの基準のうち、どちらか一方を満たせば中小企業に当たります。

Q.99.7%はいつの数字ですか?

中小企業庁が令和3年経済センサス‐活動調査をもとに集計した2021年6月時点の数字です(2023年12月公表)。新しい集計が出たら中小企業庁の公表ページで確認してください。

Q.小規模企業者の基準も覚えるべきですか?

製造業その他は従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下、という2本を押さえておけば十分です。

Q.付加価値額の割合も覚えるべきですか?

数字は集計によって変わります。まずは企業数99.7%と従業者約7割を確実にしましょう。

出典・参考

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