KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 要旨は「文章全体で筆者が最も言いたいこと」。内容として正しくても、具体例だけ・一部分だけの選択肢は要旨にならない。
- 主張は、冒頭か末尾、そして「しかし」「つまり」「〜のである」「〜べきだ」の後に書かれやすい。
- 譲歩(確かに〜)→逆接(しかし)→主張、という流れでは、譲歩の部分を主張と取り違えないようにする。
- 選び方は、①主張の文を探す、②自分の言葉で1文にする、③その1文を言い換えた選択肢を選ぶ、の3段階。
この記事の目次
要旨とは?内容一致との違い
要旨把握の問題は、文章を読んで、その要旨(筆者の中心的な主張)として最も適切なものを選ぶ問題です。BESTの文章理解でも、短い文章の主張を読み取る力に備えておく必要があります。
よく似た問題に内容一致問題がありますが、判断の基準が違います。この違いを知らないと、「本文に書いてあるのに不正解」という失点が起こります。
| 内容一致問題 | 要旨把握問題 | |
|---|---|---|
| 問われること | 本文の内容と合う選択肢 | 文章全体の中心となる主張 |
| 具体例だけの選択肢 | 本文と合っていれば正解になり得る | 要旨ではないので不正解 |
| 本文の一部分だけの選択肢 | 合っていれば正解になり得る | 全体をまとめていないので不正解 |
| 読み方の中心 | 選択肢と本文を1語ずつ照合する | 主張の文を探し、全体をまとめる |
つまり要旨把握では、「本文に書いてあるか」に加えて「全体の中心か」を確かめる必要があります。選択肢の照合の方法そのものは現代文の内容一致問題のコツで解説しています。
筆者の主張はどこに書かれやすい?
短い評論や説明文では、主張が置かれる位置にある程度の型があります。型を知っておくと、どこを重点的に読めばよいかが分かります。
| 文章の型 | 主張の位置 | 目印 |
|---|---|---|
| 頭括型 | 冒頭に主張、後に理由や例 | 1文目が「〜べきだ」「〜が重要だ」などの判断 |
| 尾括型 | 例や説明の後、最後に主張 | 最後の文が「つまり」「このように」「〜のである」で始まる・終わる |
| 双括型 | 冒頭と末尾の両方に主張 | 冒頭と末尾で同じ内容を言い換えている |
| 譲歩→逆接型 | 「確かに〜。しかし…」の「しかし」の後 | 「確かに」「もちろん」の後は筆者の主張ではない |
特に注意したいのが譲歩→逆接型です。「確かに物をそろえることは大切だ。しかし〜」という文章で、「物をそろえることは大切だ」を要旨として選んでしまう誤りがよく起こります。「確かに」の後は、筆者が一度認めてから覆す部分です。
「しかし」「つまり」などの接続語の働きは、接続語の空欄補充で種類ごとに整理しています。
要旨を選ぶ4つの手順
- 文ごとに役割を書き込む:各文の横に「主(主張)」「根(根拠)」「例(具体例)」「譲(譲歩)」と一字でメモする。
- 主張の文を1〜2つに絞る:「主」の文が複数あれば、冒頭と末尾で同じ内容を言っていないか確かめる。
- 自分の言葉で1文にする:主張を20〜30字程度の1文にまとめる(例:防災では物より行動の手順が大事)。
- その1文の言い換えになっている選択肢を選ぶ:具体例だけ、一部分だけ、言い過ぎの選択肢を消し、残りを比べる。
手順3で自分の1文を先に作るのが大切です。選択肢から読み始めると、もっともらしい選択肢に引きずられて、主張の範囲を見失いやすくなります。
例題1:譲歩と具体例を主張と取り違えない
【例題1】次の文章の要旨として最も適切なものはどれか。
「災害への備えというと、非常食や水の備蓄を思い浮かべる人が多い。確かに、物をそろえることは大切である。しかし、備蓄品があっても、避難の経路や家族との連絡方法を決めていなければ、いざというときに行動できない。ある地区の訓練では、備蓄が十分な家庭でも、集合場所を決めていなかったために家族の安否確認に時間がかかった。つまり、防災で本当に問われるのは、物の量よりも、事前に決めておいた行動の手順なのである。」
- 非常食や水は、家族の人数に合わせて多めに備蓄しておくべきだ。
- ある地区の訓練では、集合場所を決めていなかった家庭が安否確認に手間取った。
- 防災では、物の量よりも、事前に決めた行動の手順が重要だ。
- 備蓄品をそろえることは、防災にとってほとんど意味がない。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 誤り | 「人数に合わせて多めに」は本文にない。備蓄は譲歩で認めた部分で、主張ではない |
| 2 | 誤り | 内容は本文と合うが、主張を支える具体例にすぎない |
| 3 | 正解 | 「しかし」「つまり」の後の主張(物の量より行動の手順)を短く言い換えている |
| 4 | 誤り | 本文は「確かに、物をそろえることは大切」と認めている。言い過ぎで本文と矛盾する |
文ごとの役割は、1文目「導入」、2文目「譲」、3文目「主」、4文目「例」、5文目「主(まとめ)」です。3文目と5文目が同じことを言っているので、そこが要旨だと分かります。2は内容一致問題なら正解になり得る選択肢ですが、要旨把握では外れる、という違いを確認してください。
例題2:冒頭に主張がある文章
【例題2】次の文章の要旨として最も適切なものはどれか。
「行政の文書は、読み手が一度で理解できることを最優先に書くべきだ。専門用語を並べた文章は、書き手には正確に感じられても、住民には伝わらないことがある。例えば、『申請に係る所要の手続』と書くより、『申し込みに必要な手続き』と書く方が意味をつかみやすい。また、一文を短く区切れば、読み違いも減る。正確さを保ちながら分かりやすさを優先することが、行政への信頼にもつながる。」
- 行政の文書では、住民向けである以上、専門用語を一切使ってはならない。
- 行政の文書は、正確さを保ちつつ分かりやすさを優先すべきだ。
- 行政の文書では、一文を短く区切ると、住民の読み違いが減る。
- 行政への信頼は、文書の分かりやすさだけで決まるものである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 誤り | 本文は「専門用語を並べた文章は伝わらないことがある」と述べるだけ。「一切」は言い過ぎ |
| 2 | 正解 | 冒頭の主張(一度で理解できることを最優先)と末尾のまとめ(正確さを保ちながら分かりやすさを優先)を合わせている |
| 3 | 誤り | 「また」で付け加えた具体的な工夫の一つで、全体の主張ではない |
| 4 | 誤り | 本文は「信頼にもつながる」。「だけで決まる」は言い過ぎ |
この文章は、冒頭と末尾に主張がある双括型です。「例えば」「また」で始まる文は具体例や付け加えなので、要旨の候補から外せます。「例えば」の文を読み飛ばしても主張は変わらない、と考えると判断が速くなります。
つまずき別:どの操作で確認する?
| つまずき | 確認する操作 |
|---|---|
| 本文に書いてある選択肢を選んで不正解になる | その選択肢が「主」の文か「例」の文か、役割のメモで確かめる |
| 「確かに」の部分を主張と取り違える | 「確かに」「もちろん」の後に「しかし」があるか探す |
| 2つの選択肢が両方とも要旨に見える | 範囲の広い方(全体をまとめている方)と、言い過ぎのない方を選ぶ |
| 主張の文が見つからない | 冒頭と末尾の文を比べ、同じ内容の言い換えがないか探す |
| 時間がかかる | 「例えば」「また」で始まる文は流し読みし、判断の文に集中する |
要旨把握は、読み方の手順を決めておくと安定して得点しやすい問題です。本番に近い形で試したい方は、登録不要の無料お試し10問で文章理解を含む4分野の問題を解けます。
1分台で解くための時短のコツ
- 冒頭と末尾を先に読む:短い文章なら、1文目と最後の文を読むだけで主張の見当がつくことが多い。
- 「しかし」「つまり」に印:本文を読みながら逆接とまとめの語に丸をつけ、その直後の文を重点的に読む。
- 選択肢の形で消す:「〜の例がある」「〜した地区もある」のような具体的な事実だけの選択肢は、要旨の候補から最初に外す。
- 強すぎる語を消す:「一切」「だけで」「必ず」を含む選択肢は、本文に同じ強さの表現がなければ外す。
数値を含む文章の主張を読み取る練習は統計の説明文を読む問題、英文の要旨は英文の内容一致問題で扱っています。分野全体の進め方は文章理解の対策まとめへ。
Q & A
よくある質問
Q.要旨と要約の違いは何ですか。+
要約は文章の内容を順序どおりに短くまとめたもの、要旨は筆者が最も言いたい中心的な主張です。要旨把握の問題では、具体例や経過を省いて、主張だけを表した選択肢を選びます。
Q.主張がはっきり書かれていない文章はどうすればよいですか。+
説明文のように主張が明示されない場合は、文章全体が何について、どのような結論に向かっているかを1文でまとめ、それに最も近い選択肢を選びます。一部分の話題だけを扱う選択肢は外します。
Q.選択肢がどれも要旨に見えるときは?+
範囲が広すぎる(本文にない話まで含む)ものと、狭すぎる(具体例だけ)ものを外し、本文の主張とちょうど同じ範囲のものを選びます。言い過ぎの語がないかも確認してください。
Q.要旨の問題は何分で解けばよいですか。+
BEST-Aは60問60分なので、平均1問1分が目安です。文章を読む問題は少し長めにかかるため、知識問題で時間を短縮し、読解問題に1〜2分を使えるように配分すると安定します。