KEY TAKEAWAYS

この記事でわかること

  • 条例は議会の議決で制定する自治体のルール。規則は首長がその権限に属する事務について定めるルール。
  • 条例の罰則の上限は、2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、拘留、科料、没収、または5万円以下の過料(地方自治法14条3項)。
  • 規則で科せるのは5万円以下の過料だけ(15条2項)。刑罰は規則では定められない。
  • 条例も規則も法令に違反できない(憲法94条・地方自治法14条・15条)。2025年6月から懲役・禁錮は拘禁刑に一本化された。
この記事の目次
  1. 01条例とは?誰がどう作る?
  2. 02条例と規則の比較表
  3. 03規則とは?条例とどう使い分ける?
  4. 04罰則の上限はどう違う?「拘禁刑」とは?
  5. 05条例は法律に違反できる?上乗せ・横出し条例とは?
  6. 06議会が可決した条例に首長が反対したら?
  7. 07練習問題:条例と規則を4択で確かめる
  8. 08練習問題2:空欄に入る語句
  9. 09よくある質問
  10. 10出典・参考

条例とは?誰がどう作る?

条例は、自治体が議会の議決によって定める、その地域に適用されるルールです。憲法94条は自治体が「法律の範囲内で条例を制定することができる」と定め、地方自治法14条1項は「法令に違反しない限りにおいて」地域の事務に関して条例を制定できるとしています。

条例の案は、首長が出すことも、議員が出すこともできます(議員が出す場合は議員定数の12分の1以上の賛成が必要、112条)。住民も、有権者の50分の1以上の署名で首長に条例の制定・改廃を請求できます(74条)。

議会で可決されると、議長は3日以内に首長に送り、首長は20日以内に公布します。条例に特別の定めがなければ、公布の日から数えて10日を経過した日から施行されます(16条)。

また、住民に義務を課したり権利を制限したりするには、法令に特別の定めがある場合を除いて条例によらなければならないとされています(14条2項)。ここが規則との大きな違いです。

条例と規則の比較表

条例と規則の比較(日本国憲法94条、地方自治法14条〜16条・96条・138条の4、2026年9月27日確認)
比べる点条例規則
定める人議会(議決)首長
定められる範囲自治体の事務全般(法令に違反しない限り)首長の権限に属する事務
義務を課す・権利を制限するできる(原則として条例による)法令に特別の定めがなければ単独ではできない
刑罰2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、拘留、科料、没収定められない
行政罰(過料)5万円以下5万円以下
住民の関わり直接請求で制定・改廃を求められる直接請求の対象ではない

教育委員会などの委員会も、法令や条例・規則に違反しない限り、その権限に属する事務について規則などを定められます(138条の4第2項)。委員会の種類は行政委員会の種類で整理しています。

規則とは?条例とどう使い分ける?

規則は、首長が「法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し」定めるルールです(15条1項)。議会の議決は要りません。

実務では、条例で大枠(誰に何を義務づけるか、手数料の額など)を定め、規則で細かい手続き(申請書の様式、提出先など)を定める、という役割分担がよく見られます。条例の最後に「この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める」と書かれているのはこのためです。

罰則の上限はどう違う?「拘禁刑」とは?

条例には、違反した人に刑罰(拘禁刑・罰金・拘留・科料・没収)または過料を科す規定を置けます。上限は拘禁刑が2年以下、罰金が100万円以下、過料が5万円以下です(14条3項)。

規則で科せるのは5万円以下の過料だけです(15条2項)。過料は刑罰ではなく、行政上の秩序を守るための金銭罰で、首長が科します。刑罰は裁判所が科すものなので、議会を通さない規則で定めることは認められていません。

刑法の改正により、2025年6月1日から懲役と禁錮は廃止され、拘禁刑に一本化されました(法務省)。地方自治法14条3項も現在は「二年以下の拘禁刑」と書かれています。古い参考書で「2年以下の懲役若しくは禁錮」とあれば、今の条文に読み替えてください。

条例は法律に違反できる?上乗せ・横出し条例とは?

条例は法令に違反できません。違反した条例は無効です。また、市町村の条例は都道府県の条例にも違反してはならないとされています(地方自治法2条)。

ただし、法律と同じ分野について条例を定めることが一切できないわけではありません。最高裁判所は、条例が国の法令に違反するかは、対象の事項と規定の文言だけでなく、それぞれの趣旨・目的・内容・効果を比較して判断するという考え方を示しています(徳島市公安条例事件、1975年の大法廷判決)。

この考え方のもとで、法律より厳しい基準を定める上乗せ条例や、法律が規制していない対象にまで規制を広げる横出し条例も、法律の趣旨が地域ごとの規制を許していれば認められると説明されます。公害規制の分野がよく例に挙げられます。

こうした自治体の条例制定の範囲は、2000年の地方分権一括法で機関委任事務が廃止されたことで大きく広がりました。経緯は地方分権一括法とはで扱っています。

議会が可決した条例に首長が反対したら?

条例を決めるのは議会ですが、首長には対抗手段があります。首長は、条例の制定・改廃の議決に異議があるとき、送付を受けた日から10日以内に理由を示して再議に付すことができます(地方自治法176条1項)。

再議で同じ議決をするには、条例と予算については出席議員の3分の2以上の同意が必要です(176条3項)。3分の2に届かなければ、その条例は成立しません。反対に3分の2以上で再び可決されれば、議決は確定し、首長は公布しなければなりません。

また、議会を招集する時間がないほど緊急の場合などには、首長が議会の代わりに条例を定める専決処分の制度もあります(179条)。この場合、首長は次の議会で報告して承認を求めなければなりません。再議・専決処分・不信任議決の流れは議会と首長の関係で図のように整理しています。

練習問題:条例と規則を4択で確かめる

当サイトのオリジナル問題です。1問1分を目安にしてください。

問1 条例と規則に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 規則には、違反した者に100万円以下の罰金を科す旨の規定を置くことができる。
  2. 条例は首長が定め、規則は議会の議決によって定める。
  3. 条例は、国の法律に違反する内容であっても、その自治体の区域内では法律に優先する。
  4. 条例には、違反した者に2年以下の拘禁刑を科す旨の規定を置くことができる。
問1の解説|正解は4(地方自治法14条3項)
選択肢正誤理由
1誤り規則で科せるのは5万円以下の過料だけ(15条2項)。罰金は刑罰なので規則では定められない
2誤り逆。条例は議会の議決、規則は首長が定める
3誤り条例は法令に違反できない(憲法94条・地方自治法14条1項)
4正しい条例の刑罰の上限は2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金など

練習問題2:空欄に入る語句

問2 次の文の空欄ア・イに入る語句の組合せとして正しいものはどれか。「普通地方公共団体の長は、規則中に、規則に違反した者に対し、(ア)以下の(イ)を科する旨の規定を設けることができる。」

  1. ア 5万円 イ 過料
  2. ア 5万円 イ 罰金
  3. ア 100万円 イ 過料
  4. ア 100万円 イ 罰金
問2の解説|正解は1(地方自治法15条2項)
選択肢正誤理由
1正しい規則で科せるのは5万円以下の過料
2誤り金額は正しいが、罰金は刑罰で規則には置けない
3誤り100万円は条例の罰金の上限。規則の過料は5万円以下
4誤り条例の罰金の上限を規則に当てはめている

Q & A

よくある質問

Q.条例と規則はどちらが上ですか?

条例も規則も法令に違反できない点は同じですが、義務を課したり権利を制限したりするには原則として条例が必要で、刑罰も条例でしか定められません。規則は首長の権限の範囲に限られるため、条例に反する規則は定められないと考えるのが一般的です。

Q.過料と科料はどう違いますか?

科料は刑罰の一種で裁判によって科されます。過料は刑罰ではない行政上の金銭罰で、条例・規則違反の過料は首長が科します。読み方が同じ「かりょう」なので、「あやまち料(過料)」「とが料(科料)」と読み分けることもあります。

Q.住民は規則の制定を直接請求できますか?

できません。直接請求で制定・改廃を求められるのは条例です(地方自治法74条)。直接請求の全体像は直接請求権の一覧表にあります。

Q.覚えたら、どう練習すればよいですか?

罰則の数字は、4択で「規則なのに罰金」のような組合せを見抜けるかで確かめられます。登録不要の無料お試し10問では、社会情勢を含む4分野を1問1分のペースで解けます。

出典・参考

読了、おつかれさまでした。ほかの対策ガイドを読む