KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 接頭語の「お・ご」は、同じ形でも尊敬・謙譲・美化のどれにもなる。語の形ではなく、使われている場面で判定する。
- 判定は2段階。①その物・行為は誰のものか(相手か、自分側か、誰のものでもないか)、②自分の行為なら相手に向かうか。
- 相手の物・状態につければ尊敬(ご住所・お忙しい)、自分から相手へ向かう行為につければ謙譲(ご説明します・お届けします)。
- 相手の行為に「お(ご)〜する」を使う、自分の物に尊敬の「お」をつける、外来語につける――の3つが典型的な誤り。
この記事の目次
「お・ご」の問題では何を判定する?
BESTの「文章を正確に理解する力」の対策では、敬語など国語の知識にも備えておくと安心です(分野ごとの出題の内訳は公表されていません)。「お」「ご」は短い語につくだけなので見落としやすい一方、同じ「ご説明」が尊敬にも謙譲にもなるため、正誤の組合せ問題で迷いやすいところです。
文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日)は、敬語を尊敬語・謙譲語Ⅰ・謙譲語Ⅱ(丁重語)・丁寧語・美化語の5種類に分けています。接頭語の「お・ご」が現れるのは、このうち尊敬語・謙譲語Ⅰ・美化語の3つです(文化庁、2026年9月27日確認)。
| 働き | つける対象 | 例 | 敬意が向く先 |
|---|---|---|---|
| 尊敬 | 相手(立てる人)の物・状態・行為 | ご住所、お名前、お忙しい、お読みになる | その物・行為の持ち主 |
| 謙譲(謙譲語Ⅰ) | 自分側から相手へ向かう行為・物 | ご説明します、お届けします、(先生への)お手紙 | 行為を受ける相手 |
| 美化 | 誰の物でもない物事を上品に言う | お茶、お菓子、ご飯、お天気 | 特定の人には向かない |
一般に、和語(訓読みの語)には「お」、漢語(音読みの語)には「ご」がつきます。ただし「お電話」「お時間」「お食事」のように漢語でも「お」がつく語は多く、これは慣用で決まっているものです。試験で「お」と「ご」の選び分けそのものを問われるより、働きの判定と、つけてよいかどうかが問われると考えて準備するのが効率的です。
尊敬か謙譲かを決める4つの手順
敬語の問題で迷う人の多くは、語の形だけを見て判断しています。次の順に、文に書かれていない主語を補いながら確かめてください。
- 下線部の語が物か、行為(動詞)かを分ける。「ご住所」は物、「ご説明する」は行為。
- 物なら持ち主を確かめる。相手の物なら尊敬、自分の物なら尊敬の「お・ご」はつけない、誰の物でもなければ美化。
- 行為なら主語を補う。主語が相手なら「お(ご)〜になる」「お(ご)〜ください」が正しい形。主語が自分なら「お(ご)〜する」「お(ご)〜いたす」。
- 自分の行為が相手に向かうかを確かめる。説明する・届ける・案内するのように相手に向かう行為なら謙譲にできる。一人で完結する行為(自宅で本を読む等)には謙譲の「お〜する」を使わない。
手順3で「部長が〜ご説明した」のように、相手(立てる人)の行為に謙譲の形が使われていれば、それだけで誤りと判定できます。逆に「私から〜ご説明します」なら正しい謙譲です。主語を一語補うだけで大半の問題は決まります。
尊敬語・謙譲語そのもの(いらっしゃる・伺う など)の整理は尊敬語と謙譲語の見分け方で、敬語の重ねすぎは二重敬語の見分け方で確認できます。
例題1:下線部の働きの組合せを選ぶ
【例題1】次の下線部ア・イの「お・ご」の働きの組合せとして、正しいものはどれか。
ア:来週の日程は、担当の私からご連絡します。
イ:順番が来ましたら、窓口でお名前をお呼びします。
- ア 尊敬 / イ 尊敬
- ア 謙譲 / イ 尊敬
- ア 謙譲 / イ 美化
- ア 美化 / イ 尊敬
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 誤り | アの「連絡する」の主語は「私」。自分の行為を尊敬にすると自分を高めることになる |
| 2 | 正解 | アは自分から相手へ向かう行為なので謙譲。イの名前は窓口に来た相手の物なので尊敬 |
| 3 | 誤り | イの「お名前」には持ち主(相手)がいる。持ち主がいる物は美化ではない |
| 4 | 誤り | アの「ご連絡」は相手に向かう自分の行為で、上品に言うだけの美化ではない |
【解き方】アは「私から」と主語が書かれているので手順3で即決、イは手順2で「誰の名前か」を確かめるだけです。美化語の選択肢は、持ち主がいるかどうかで切れます。
例題2・3:正誤の組合せと「最も適切」を選ぶ
【例題2】次のア・イの敬語の使い方の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
ア:部長が先ほどお話しした内容について、確認させてください。
イ:会議の資料は、明日私がお届けします。
- ア 正 / イ 正
- ア 正 / イ 誤
- ア 誤 / イ 正
- ア 誤 / イ 誤
| 下線部 | 主語 | 判定 | 正しい形 |
|---|---|---|---|
| ア お話しした | 部長(立てる人) | 誤 | お話しになった/話された |
| イ お届けします | 私 | 正 | (そのままでよい) |
アは「お〜する」という謙譲の形を部長の行為に使っているため誤りです。1と2はアを正としている点で、4はイを誤としている点で外れます。イは自分が相手に資料を届ける行為なので正しい謙譲です。
【例題3】敬語の使い方として最も適切なものはどれか。
1「お客様がご持参した書類をお預かりします」 2「担当者から改めてご説明いたします」 3「受付で私のお名前をお伝えください」 4「おエレベーターで3階へお上がりください」
【正解】2。「ご説明いたす」は謙譲語Ⅰ(ご〜する)と謙譲語Ⅱ(いたす)を組み合わせた形で、「敬語の指針」でも使える形として説明されています。1は相手の行為「持参する」に謙譲の「ご〜する」を使っているので誤りで、「ご持参になった」「お持ちいただいた」とします。3は自分の名前に尊敬の「お」をつけているので誤り。4は外来語に「お」をつけているので不適切です。
「お・ご」をつけない語・迷いやすい語は?
「お・ご」は何にでもつけられるわけではありません。次の表の左列に当てはまる語には、基本的につけません。
| つけない語の種類 | 不自然な例 | 言い換え |
|---|---|---|
| 外来語 | おパソコン、ごメール、おエレベーター | パソコン、メール、エレベーター |
| 公共物・施設 | お市役所、お駅、お公園 | 市役所、駅、公園 |
| 自分側の物(尊敬の意味で) | 私のお名前、弊社のご住所 | 私の名前、弊社の住所 |
| 「お」と「ご」を重ねた形 | おご意見、おご連絡 | ご意見、ご連絡 |
| 悪い意味の語 | お泥棒、ご違反 | 泥棒、違反 |
一方、「お手紙」「ご報告」「ご連絡」のように自分側の物・行為でも、相手に向かうものには謙譲の「お・ご」をつけられます。「先生へのお手紙」は、手紙の書き手が自分でも、受け取る先生を立てる表現です。「自分の物には絶対につけない」と覚えると、この形を誤りと判定してしまうので注意してください。
美化語はつけすぎると幼い印象になりますが、誤りとまでは言えない場合が多いものです。試験で「適切でないもの」を選ぶ問題なら、まず外来語・公共物・自分の物への尊敬を探すのが速い順番です。
迷ったときに確認する操作は?
間違えた問題は、どの手順で止まったかを一つ記録すると、次に同じ迷い方をしにくくなります。
| つまずき | 確認する操作 |
|---|---|
| 同じ「ご説明」が尊敬か謙譲か決められない | 文の外にある主語を補う(部長が/私が) |
| 「お〜する」と「お〜になる」を取り違える | 主語が相手なら「になる」、自分なら「する」と書き出す |
| 美化語と尊敬語の区別がつかない | その物に持ち主がいるか確かめる(お茶・お天気は持ち主がいない) |
| 自分の物に「お」があると全部誤りにしてしまう | その物・行為が相手に向かうか確かめる(先生へのお手紙は謙譲) |
| 「ご〜いたす」を二重敬語と判定してしまう | 謙譲語Ⅰ+謙譲語Ⅱの組合せは別物と整理する |
敬語は、読めば分かるのに本番で時間がかかりやすい分野です。4択の形で手順を使えるかは、実際に解いて確かめるのが確実です。登録不要の無料お試し10問で、国語の知識問題を含む4分野の問題と解説を確認できます。
1問30秒で判定する時短のコツ
敬語問題は、全文を丁寧に読むより下線部の主語だけを先に決めるほうが速く解けます。
- 下線部を見たら、まず「誰の物・誰の行為か」を下線の横に一字でメモする(相・自・無)。
- 「相」の行為に「お〜する」「ご〜する」があれば、その時点で誤りと確定する。
- 組合せ問題は、判定が確実な方(主語が文中に書かれている方)から決め、残った選択肢の2つを比べる。
- 「最も適切なもの」を選ぶ問題は、外来語・自分の物への尊敬という見た目で分かる誤りから消す。
Q & A
よくある質問
Q.「ご説明させていただきます」は間違いですか。+
誤りとまでは言えませんが、「させていただく」は相手の許可や恩恵を受けて行う意味合いを持つ表現です。そうした事情がない場面で多用すると回りくどくなるため、通常は「ご説明します」「ご説明いたします」で足ります。
Q.「お」と「ご」はどう使い分けますか。+
原則は和語に「お」、漢語に「ご」です。ただし「お電話」「お時間」「ごゆっくり」のように慣用で決まっている語も多いので、迷ったら耳慣れた形を選ぶのが実用的です。試験では、働き(尊敬・謙譲・美化)の判定のほうを優先して練習してください。
Q.「ご苦労さま」は目上に使えますか。+
目上から目下へのねぎらいとして受け取られることがあるため、目上の人には「お疲れさまです」などを使うのが無難です。受け止め方には個人差があるので、試験では選択肢の中で相対的に適切なものを選ぶ意識で判断します。
Q.「ご〜いたす」は二重敬語ではないのですか。+
二重敬語は、同じ種類の敬語を重ねる誤り(「おっしゃられる」など)です。「ご説明いたす」は謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱという別の種類を組み合わせた形で、「敬語の指針」でも適切な形として説明されています。詳しくは二重敬語の見分け方をご覧ください。