KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- P→Q が成り立つとき、矢印の元の P が十分条件、矢印の先の Q が必要条件です。覚えるのはこの1ルールだけで足ります。
- 判定は「P→Q は成り立つか」「Q→P は成り立つか」を1つずつ確かめ、成り立たない方には反例を1つ挙げます。両方成り立てば必要十分条件です。
- 集合で考えると、小さい集合(内側)が十分条件、大きい集合(外側)が必要条件になります。
- 「AのためにはBが必要」「BでなければAでない」はどちらも A→B です。言い方に惑わされたら矢印に直します。
この記事の目次
必要条件・十分条件は何を聞いている?
「PはQであるための何条件か」という問いは、PとQの間に、どちら向きの矢印が成り立つかを聞いています。P→Q(PならばQ)が成り立つとき、次のように呼びます。
- P は Q であるための十分条件:P が成り立てば、それだけで Q がいえる(P で十分)。
- Q は P であるための必要条件:P が成り立つには、少なくとも Q が成り立っている必要がある。
たとえば「東京都に住んでいる → 日本に住んでいる」は成り立つので、東京都に住んでいることは日本に住んでいるための十分条件、日本に住んでいることは東京都に住んでいるための必要条件です。
判断推理の命題と同じく、矢印の向きを取り違えないことがすべてです。矢印の書き方そのものに不安がある場合は、先に命題と対偶の解き方で書き換えのルールを確認しておくと、この記事の内容がすっと入ります。
必要条件・十分条件を判定する手順
- 問われている2つの条件を P(「〜は」の方)と Q(「〜であるための」の方)に分ける。
- P→Q が成り立つかを確かめる。成り立たないなら、P を満たすのに Q を満たさない例(反例)を1つ挙げる。
- Q→P が成り立つかを同じように確かめる。
- 下の表に当てはめて答えを決める。
| P→Q | Q→P | 答え |
|---|---|---|
| 成り立つ | 成り立たない | 十分条件だが必要条件ではない |
| 成り立たない | 成り立つ | 必要条件だが十分条件ではない |
| 成り立つ | 成り立つ | 必要十分条件(同値) |
| 成り立たない | 成り立たない | 必要条件でも十分条件でもない |
「成り立たない」と判断するときは、必ず反例を1つ頭の中で作ります。反例が作れないのに「なんとなく成り立たない」と判断すると、必要十分条件の問題で間違えます。
集合の包含関係で確かめるには?
条件を満たすものの集まり(集合)で考えると、向きの取り違えを防げます。P を満たすものの集合が、Q を満たすものの集合にすっぽり入っていれば P→Q です。
| 集合の関係 | 矢印 | 内側の条件 | 外側の条件 |
|---|---|---|---|
| P の集合 ⊂ Q の集合 | P→Q | P:十分条件 | Q:必要条件 |
| 6の倍数 ⊂ 3の倍数 | 6の倍数→3の倍数 | 6の倍数:十分条件 | 3の倍数:必要条件 |
| x>5 の範囲 ⊂ x>2 の範囲 | x>5→x>2 | x>5:十分条件 | x>2:必要条件 |
「小さい方が十分、大きい方が必要」と覚えると、数の範囲の問題は数直線を書くだけで答えが出ます。集合の図を描くのに慣れていない場合は、ベン図の問題の解き方の図の書き方も参考になります。
例題1:倍数の関係を判定する
例題1 整数 x について、「x が6の倍数であること」は「x が3の倍数であること」であるための何条件か。
1. 必要条件だが十分条件ではない 2. 十分条件だが必要条件ではない 3. 必要十分条件 4. 必要条件でも十分条件でもない
| 方向 | 成り立つか | 理由・反例 |
|---|---|---|
| P→Q(6の倍数→3の倍数) | 成り立つ | 6=3×2 なので、6の倍数はすべて3の倍数 |
| Q→P(3の倍数→6の倍数) | 成り立たない | 反例:x=3(3の倍数だが6の倍数ではない) |
正解は2です。1は向きを逆に読んだ場合の答えです。3は反例 x=3 があるので誤り、4は P→Q が成り立つので誤りです。
例題2:文章題では「分かっていない向き」に注意
例題2 ある研修について「受講した人は全員、事前課題を提出している」ことが分かっている。このとき、「事前課題を提出していること」は「研修を受講したこと」であるための何条件か。与えられた情報だけから確実にいえるものを選べ。
1. 必要条件である 2. 十分条件である 3. 必要十分条件である 4. 必要条件でも十分条件でもない
| 方向 | 分かっていること | 判定 |
|---|---|---|
| Q→P(受講→提出) | 「受講した人は全員提出」と書かれている | 成り立つ |
| P→Q(提出→受講) | 書かれていない。提出したが受講しなかった人がいても矛盾しない | 確実にはいえない |
受講→提出 が成り立つので、矢印の先にある「提出」は「受講」の必要条件です。正解は1です。2と3は、書かれていない提出→受講の向きを前提にしています。4は、受講→提出が成り立っていることと矛盾します。
この例題のように、文章題では片方の向きしか情報がないことがあります。「十分条件ではない」と言い切れるかどうかも与件しだいなので、選択肢の言い方を最後まで読みます。
例題3:両方向が成り立つ場合
例題3 整数 x について、「x² が偶数であること」は「x が偶数であること」であるための何条件か。
1. 必要条件だが十分条件ではない 2. 十分条件だが必要条件ではない 3. 必要十分条件 4. 必要条件でも十分条件でもない
| 方向 | 成り立つか | 理由 |
|---|---|---|
| Q→P(x が偶数→x² が偶数) | 成り立つ | x=2k なら x²=4k² で偶数 |
| P→Q(x² が偶数→x が偶数) | 成り立つ | 対偶「x が奇数→x² が奇数」が成り立つ(x=2k+1 なら x²=2(2k²+2k)+1) |
正解は3です。1・2は片方の向きしか確かめていない場合の答え、4は両方成り立つことと矛盾します。P→Q を直接示しにくいときは、例題3のように対偶で確かめると楽になります。
言い換えのひっかけをどう読む?
条件の問題は、同じ関係がいろいろな言い方で出てきます。迷ったら次の表で矢印に直します。
| 問題文の言い方 | 矢印 | 十分条件 | 必要条件 |
|---|---|---|---|
| AならばB | A→B | A | B |
| AであるためにはBが必要だ | A→B | A | B |
| BでなければAではない | A→B(対偶で読む) | A | B |
| AでさえあればBだ | A→B | A | B |
| Aのときに限りB | B→A | B | A |
最後の「Aのときに限りB」は向きが逆になる言い方で、取り違えやすい表現です。「Bが起きるのはAのときだけ」と言い直すと B→A だと分かります。
つまずいた操作から確認する
| つまずき | 確認する操作 |
|---|---|
| 必要と十分を逆に答えてしまう | 矢印を書いてから「元が十分、先が必要」と指で指して読む |
| 必要十分条件かどうかで迷う | 成り立たない方向の反例を具体的に1つ書く。書けなければ両方向を再確認する |
| 数の範囲の問題で混乱する | 数直線に2つの範囲を書き、内側(小さい方)が十分条件と確認する |
| 文章題で答えが2つに見える | 与件に書かれている向きと、書かれていない向きを分けて判定する |
1分以内で解くための時短のコツ
- 反例探しを先にする:「成り立たない向き」は反例1つで確定できるので、怪しい向きから確かめると速い。
- 選択肢は2段階で絞る:P→Q の結果で選択肢を2つに絞り、Q→P の結果で1つに決める。
- 数の問題は小さい数で試す:倍数や偶奇の問題は、x=1〜6 程度を当てはめるだけで反例が見つかることが多い。
例題1・3のように選択肢が「必要だが十分でない/十分だが必要でない/必要十分/どちらでもない」の4つで並ぶ形なら、判定表の4行と1対1で対応させておくと、選択肢を読み比べる時間も省けます。
次に練習すること
矢印をつなぐ三段論法は命題と対偶の解き方、集合の人数を求める問題はベン図の問題の解き方で練習できます。条件を並べて整理する問題に進むなら順序関係の解き方へ。論理的思考のほかの型は出題パターンまとめから選べます。
判定の手順が身についたら、登録不要の無料お試し10問で、時間を計りながら論理的思考を含む4分野の問題を解いてみてください。
Q & A
よくある質問
Q.「必要条件」と「十分条件」をどうやって覚えればよいですか?+
「矢印の元が十分、先が必要」の1つだけ覚えます。集合で考えるなら「小さい方が十分、大きい方が必要」です。
Q.必要十分条件と「同値」は同じ意味ですか?+
はい。P→Q と Q→P の両方が成り立つとき、P と Q は同値で、互いに必要十分条件です。
Q.「必要条件でも十分条件でもない」のはどんなときですか?+
どちらの向きにも反例があるときです。たとえば「x>2」と「x<5」では、x=6 は x>2 を満たすのに x<5 を満たさず、x=1 は x<5 を満たすのに x>2 を満たしません。数直線に書くと、2つの範囲が一部だけ重なっている形になります。
Q.判断推理の命題の問題と関係がありますか?+
考え方は同じです。命題の問題で矢印をつなげる練習をしておくと、必要条件・十分条件の判定も速くなります。