KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 命題の問題は「与えられた文をすべて正しいとしたとき、必ずいえるもの」を選ぶ問題です。常識で正しそうな文ではなく、矢印の道をたどれる文だけが正解になります。
- 手順は「矢印に書き換える → 対偶を足す → 同じ項目でつなぐ → 選択肢をたどる」の4つ。A→B が正しければ対偶の ¬B→¬A も必ず正しくなります。
- 逆(B→A)と裏(¬A→¬B)は正しいとは限りません。誤答の選択肢は、この2つか「道がつながらない文」で作られていることが多いです。
- 「A→BかつC」は2本に分けられますが、「A→BまたはC」は分けられません。ここを取り違えると、正解が2つあるように見えます。
この記事の目次
A → B と、Bでない → Aでない は同値
AならばBが成り立つとき、対偶も必ず成り立ちます。逆(BならばA)は必ずしも成り立ちません。
命題の問題は何を聞いている?
命題とは、正しいか正しくないかがはっきり決まる文のことです。判断推理では「資格を持つ人は、研修講師の経験がある」のような文が2〜4個与えられ、「これらから確実にいえるものはどれか」と問われます。
ここで大事なのは、文の内容が現実に正しいかどうかは関係ないという点です。与えられた文をすべて正しいものとして、そこから論理的に導ける選択肢だけを選びます。「たしかにそういう人は多そうだ」という感覚で選ぶと、逆や裏のひっかけに引っかかります。
職務基礎力試験BEST(BEST-A)は60題・1時間の試験で、論理的思考はその4分野の1つです。命題は、書き方さえ決めておけば計算がほとんどいらず、手順どおりに進めれば短時間で答えが出る型です。論理的思考全体の中での位置づけは論理的思考の出題パターンまとめで整理しています。
命題を解く4ステップ
- 文を矢印に書き換える:「AならばB」「Aである人はBである」は A→B。「Aでない」は ¬A と書く。
- それぞれの対偶を書き足す:A→B の対偶は ¬B→¬A。「ひっくり返して、両方に ¬ をつける」だけ。¬ が2つ重なったら消す。
- 同じ項目を手がかりに1本の道にする:A→B と B→C があれば A→B→C。対偶側の道も同じようにつなぐ。
- 選択肢も矢印にして、道を矢印の向きにたどれるか確認する:たどれれば「確実にいえる」、たどれなければ「確実にはいえない」。
| 問題文の言い方 | 記号 | 例 |
|---|---|---|
| AならばB/Aである人はBである | A→B | 窓口担当の人は夜勤をする → 窓口→夜勤 |
| Aである人はBでない(Bしない) | A→¬B | 講師経験のある人は夜勤をしない → 講師→¬夜勤 |
| Aでない人はBである | ¬A→B | 車を持たない人は電車で通う → ¬車→電車 |
| すべてのAはBである/AでBでない人はいない | A→B | 「すべての」は A→B と同じ扱い |
| Aである人はBかつCである | A→B と A→C | 2本に分けて書いてよい |
| Aである人はBまたはCである | A→(BまたはC) | 分けられない。そのまま残す |
矢印は向きどおりにしか進めません。A→B→C から A→C はいえますが、C→A はいえません。4ステップ目で逆向きに進んでいないかを必ず確認します。
逆・裏・対偶はどう違う?
元の命題が A→B のとき、形の似た3つの文が作れます。正しさが保証されるのは対偶だけです。
| 名前 | 形 | 必ず正しいか | 例 |
|---|---|---|---|
| 逆 | B→A | 限らない | 夜勤をする人は窓口担当だ |
| 裏 | ¬A→¬B | 限らない | 窓口担当でない人は夜勤をしない |
| 対偶 | ¬B→¬A | 必ず正しい | 夜勤をしない人は窓口担当ではない |
逆と裏が成り立たないことは、反例を1つ作れば確かめられます。「窓口担当ではないが夜勤をする警備担当の人」がいても、元の文には反しません。この人がいれば逆も裏も崩れます。反例が作れる文は「確実にはいえない」、と覚えておくと選択肢を速く切れます。
例題1:3つの文をつないで答えを出す
例題1 ある職場について、次のことが分かっている。確実にいえるものはどれか。
・資格を持っている人は、研修講師を務めた経験がある。/・研修講師を務めた経験がある人は、夜勤をしない。/・窓口担当の人は、夜勤をする。
1. 研修講師を務めた経験がある人は、資格を持っている 2. 夜勤をしない人は、研修講師を務めた経験がある 3. 窓口担当の人は、資格を持っていない 4. 資格を持っていない人は、窓口担当である
整理 3つの文は「資格→講師」「講師→¬夜勤」「窓口→夜勤」です。3つ目の対偶「¬夜勤→¬窓口」を使うと「資格→講師→¬夜勤→¬窓口」、その対偶は「窓口→夜勤→¬講師→¬資格」になります。
| 選択肢 | 矢印 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | 講師→資格 | × | 1つ目の文の逆。資格のない講師経験者がいても矛盾しない |
| 2 | ¬夜勤→講師 | × | 2つ目の文の逆。夜勤をしない人が講師経験者とは限らない |
| 3 | 窓口→¬資格 | ○ | 窓口→夜勤→¬講師→¬資格 と道をたどれる |
| 4 | ¬資格→窓口 | × | ¬資格から出る矢印がない。道がつながらない |
正解は3です。途中の「夜勤」が、2つ目の文では ¬夜勤、3つ目では夜勤と逆の形で出ています。こういうときは片方を対偶にすると形がそろい、道がつながります。
例題2:否定から始まる文を扱う
例題2 次のことが分かっているとき、確実にいえるものはどれか。
・英語を話せない人は、留学の経験がない。/・英語を話せる人は、海外勤務を希望している。
1. 海外勤務を希望していない人は、留学の経験がない 2. 海外勤務を希望している人は、留学の経験がある 3. 英語を話せない人は、海外勤務を希望していない 4. 留学の経験がない人は、英語を話せない
整理 1つ目は「¬英語→¬留学」、その対偶は「留学→英語」です。2つ目の「英語→海外」とつなぐと「留学→英語→海外」。この道全体の対偶は「¬海外→¬英語→¬留学」です。
| 選択肢 | 矢印 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | ¬海外→¬留学 | ○ | ¬海外→¬英語→¬留学 とたどれる |
| 2 | 海外→留学 | × | 留学→英語→海外 の逆向き |
| 3 | ¬英語→¬海外 | × | 2つ目の文の裏。英語を話せなくても海外勤務を希望する人はいてよい |
| 4 | ¬留学→¬英語 | × | 1つ目の文の逆。留学経験のない英語話者がいても矛盾しない |
正解は1です。¬ から始まる文は、先に対偶にして ¬ のない形に直すと、ほかの文とつなぎやすくなります。
例題3:「かつ」を含む文をどう分けるか
例題3 次のことが分かっているとき、確実にいえるものはどれか。
・企画部の人は、パソコン検定と簿記の両方の資格を持っている。/・簿記の資格を持っている人は、経理の経験がある。/・経理の経験がある人は、営業部ではない。
1. パソコン検定を持っている人は、企画部である 2. 営業部の人は、簿記の資格を持っていない 3. 経理の経験がない人は、パソコン検定を持っていない 4. 企画部でない人は、経理の経験がない
整理 1つ目は「企画→PC」と「企画→簿記」の2本に分けます。残りは「簿記→経理」「経理→¬営業」。つなぐと「企画→簿記→経理→¬営業」、その対偶は「営業→¬経理→¬簿記→¬企画」です。
| 選択肢 | 矢印 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | PC→企画 | × | 企画→PC の逆 |
| 2 | 営業→¬簿記 | ○ | 営業→¬経理→¬簿記 とたどれる |
| 3 | ¬経理→¬PC | × | ¬経理→¬簿記→¬企画 まではいえるが、¬企画から¬PCへの矢印はない |
| 4 | ¬企画→¬経理 | × | 企画→経理 の裏 |
正解は2です。選択肢3は途中まで道がつながるので迷いやすい肢です。「¬企画→¬PC」は企画→PC の裏にあたり、いえません。
つまずいた操作から確認する
間違えたときは「どの操作で止まったか」を1つ選び、次の確認をしてから解き直します。
| つまずき | 確認する操作 |
|---|---|
| 選択肢の文がそれらしく見えて選んでしまう | 選択肢も必ず矢印に直し、道の上を向きどおりにたどれるかだけで判定する |
| 「〜しない」の位置で記号が混乱する | 否定がついている項目に ¬ をつけるだけ。矢印の前か後かは関係ない |
| 道がつながらない | 同じ項目が「A」と「¬A」で出ていないか見て、片方の文を対偶にする |
| 正解が2つあるように見える | 「または」を2本に分けていないか、裏や逆をたどっていないかを確認する |
| 「〜な人もいる」の選択肢で迷う | 矢印では表しにくい形。集合の重なりとしてベン図で考える |
1分以内で解くための時短のコツ
- 選択肢の「始点」を先に見る:選択肢の先頭の項目(例題1なら窓口)から出ている矢印が道の上にあるかを見る。始点から矢印が出ていなければ、その肢はすぐ×にできる。
- 対偶は全部書かない:選択肢の始点が ¬ の形なら、その項目を含む文だけ対偶にすれば足りる。
- 矢印の道を1本の横長の線で書く:「資格→講師→¬夜勤→¬窓口」と一列に書けば、対偶は右から左へ ¬ をつけて読むだけで作れる。
命題の文を読みながら矢印を書く習慣がつくと、40〜60秒程度で答えまで進めることも多くなります。
次に練習すること
矢印の向きと「必要」「十分」の言い方が結びつかない場合は、必要条件と十分条件の見分け方で同じ考え方を確認できます。「ある人は」「〜な人もいる」を含む問題はベン図の問題の解き方へ。条件を並べて整理する型に進むなら順序関係の解き方が次の一歩です。
手順を覚えたら、時間を計って本番形式の問題で試すのが確実です。登録不要の無料お試し10問には論理的思考を含む4分野の問題と解説があり、1問1分のペースで矢印を書けるかを確かめられます。
Q & A
よくある質問
Q.「すべてのAはBである」と「AならばB」は同じ扱いでよいですか?+
はい。どちらも A→B と書けます。「AであってBでないものはいない」も同じ意味です。
Q.「AかつB」や「AまたはB」が出てきたらどうしますか?+
「A→BかつC」は A→B と A→C の2本に分けられます。「A→BまたはC」は分けられないので、そのまま残して選択肢と照らし合わせます。「AまたはB→C」は A→C と B→C に分けられます。
Q.対偶を作るのに時間がかかります。+
「ひっくり返して ¬ をつける」だけに絞り、例題の文を10本ほど対偶に直す練習をすると、数秒で作れるようになります。¬ が2つ重なったら消すことも忘れずに。
Q.選択肢が「〜な人もいる」という形のときは?+
「ある人は」「〜な人もいる」は存在を表す文で、矢印だけでは判断しにくい形です。集合の重なりとしてベン図で考える方が確実です。