KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 裁判員は衆議院議員の選挙権を持つ人から選ばれ、18歳以上が対象です。18歳・19歳は2023年(令和5年)から選ばれるようになりました。
- 年齢の上限はありません。ただし70歳以上の人は辞退を申し立てることができます。
- 対象は殺人など重大な刑事事件の第一審(地方裁判所)だけ。民事裁判や控訴審は対象外です。
- 原則は裁判官3人と裁判員6人。評決は過半数で、かつ裁判官と裁判員のそれぞれ1人以上が賛成していることが必要です。
この記事の目次
裁判員は何歳から何歳まで選ばれるか
裁判員は、衆議院議員の選挙権を持つ人の中から選ばれます(裁判員法13条)。選挙権年齢の18歳への引き下げや、民法の成年年齢が18歳になったことを受けて法律が改正され、2022年4月1日から裁判員になれる年齢が18歳以上になりました。
ただし、裁判員候補者名簿は前年に作られるため、実際に18歳・19歳が名簿に載り、裁判員に選ばれるようになったのは2023年(令和5年)1月1日以降です。
| 年齢 | 扱い | ポイント |
|---|---|---|
| 18歳未満 | 選ばれない | 衆議院議員の選挙権がないため |
| 18歳・19歳 | 選ばれる(2023年から) | 学生・生徒は辞退を申し立てられる |
| 20歳〜69歳 | 選ばれる | 辞退には法律で定める理由が必要 |
| 70歳以上 | 選ばれる | 年齢だけを理由に辞退を申し立てられる(辞退せず参加することも可能) |
「裁判員制度 年齢 上限」は、よく検索される疑問です。法律上の上限年齢はなく、70歳以上は「選ばれない」のではなく「辞退できる」という点が記述問題で入れ替えられやすいところです。
裁判員制度とは(陪審制・参審制との違い)
裁判員制度は、くじで選ばれた国民が裁判員として刑事裁判に参加し、裁判官と一緒に判断する制度です。裁判員法にもとづき、2009年5月21日に始まりました(法律の成立は2004年)。国民の感覚を裁判に反映させ、司法への理解と信頼を深めることがねらいとされています。
| 制度 | 誰が判断するか | 決める範囲 |
|---|---|---|
| 陪審制(アメリカなど) | 市民だけの陪審員 | 有罪・無罪(刑の重さは裁判官が決めるのが一般的) |
| 参審制(ドイツなど) | 裁判官と市民が一緒に | 有罪・無罪と刑の重さ |
| 日本の裁判員制度 | 裁判官と裁判員が一緒に | 有罪・無罪と刑の重さ(事件ごとにくじで選ぶ点が特徴) |
対象事件と、対象にならない裁判
裁判員裁判の対象になるのは、地方裁判所で行われる次のような重大な刑事事件の第一審です。
- 死刑または無期拘禁刑にあたる罪の事件(殺人、強盗致死傷、現住建造物等放火、身代金目的誘拐など)
- 法定合議事件のうち、故意の犯罪行為で被害者を死亡させた罪の事件(傷害致死、危険運転致死など)
民事裁判、行政裁判、軽い刑事事件、高等裁判所での控訴審・最高裁の上告審は対象外です。「民事事件も対象」「控訴審でも裁判員が参加する」という記述は誤りです。
なお、2025年6月の改正刑法の施行で懲役と禁錮は「拘禁刑」に一本化されたため、現在の条文では「無期拘禁刑」と表記されます。
裁判員が選ばれる流れ
- 市区町村の選挙管理委員会が、選挙人名簿からくじで候補者を選び、地方裁判所が翌年の裁判員候補者名簿を作る。
- 名簿に載った人に、前年の秋ごろ「名簿への記載のお知らせ」と調査票が届く(70歳以上などの人は、この段階で1年を通じた辞退を希望できる)。
- 事件ごとに名簿からくじで候補者が選ばれ、呼出状と質問票が届く。
- 裁判所での選任手続(質問や辞退の確認)を経て、くじで裁判員と補充裁判員が決まる。
人数と評決のしかた
意見がまとまらないときの評決は、合議体の員数の過半数で、かつ裁判官と裁判員のそれぞれ1人以上が賛成している意見によります(裁判員法67条)。
| 合議体 | 裁判官 | 裁判員 | 使われる場面 |
|---|---|---|---|
| 原則 | 3人 | 6人 | 通常の裁判員裁判 |
| 例外 | 1人 | 4人 | 起訴された事実に争いがなく、当事者に異議がない場合など |
たとえば9人の合議体で、裁判員6人が有罪、裁判官3人が全員無罪の意見だとします。6人は過半数ですが、裁判官が1人も含まれていないため、有罪の判断はできません。この場合は被告人に有利な判断になります。刑の重さで意見が割れた場合も、双方を含む過半数になるまで、被告人に最も不利な意見の数を順に有利な意見に加えて決めます(67条2項)。
裁判員には、評議の中身や職務上知った秘密を漏らしてはならない守秘義務があり、違反すると6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されることがあります(108条)。一方、裁判員の職務のための休暇を理由とする解雇などの不利益な取扱いは禁止されています(100条)。
裁判員制度の数字まとめ
数字だけを抜き出して並べると、入れ替えに気づきやすくなります。
| 数字 | 意味 | 取り違えやすい数字 |
|---|---|---|
| 2009年 | 制度の開始(5月21日) | 2004年は法律の成立 |
| 18歳 | 選ばれる年齢の下限(2023年から実際に選ばれる) | 20歳(改正前) |
| 70歳 | 年齢だけで辞退を申し立てられる | 上限年齢ではない |
| 3人・6人 | 原則の裁判官・裁判員の数 | 1人・4人は争いのない事件などの例外 |
| 双方1人以上 | 評決の過半数に必要な裁判官・裁判員の数 | 「裁判員だけの過半数」は不可 |
独自の練習問題:年齢と評決の条件
当サイトが書き下ろした4択問題です。選択肢は「ア正・イ正/ア正・イ誤/ア誤・イ正/ア誤・イ誤」の順です。
- 問1 次のア・イの正誤の組合せとして正しいものはどれか。ア:裁判員裁判は、重大な刑事事件の第一審のほか、損害賠償などの民事裁判でも行われる。イ:評決では、裁判官と裁判員のそれぞれ1人以上を含む過半数の賛成が必要である。(1)ア正・イ正(2)ア正・イ誤(3)ア誤・イ正(4)ア誤・イ誤
- 問2 次のア・イの正誤の組合せとして正しいものはどれか。ア:裁判員は衆議院議員の選挙権を有する人から選ばれ、18歳・19歳の人も選ばれることがある。イ:70歳以上の人は、裁判員に選ばれることはない。(1)ア正・イ正(2)ア正・イ誤(3)ア誤・イ正(4)ア誤・イ誤
| 問 | 正解 | 各選択肢が誤りになる理由 |
|---|---|---|
| 問1 | (3)ア誤・イ正 | 民事裁判は対象外なのでアは誤り。イは67条の評決の条件どおり。(1)(2)はアを正、(4)はイを誤とした点で誤り |
| 問2 | (2)ア正・イ誤 | アは13条と2022年4月施行の改正どおり。70歳以上は「辞退できる」だけで選ばれうるのでイは誤り。(1)はイを正、(3)(4)はアを誤とした点で誤り |
【時短のコツ】裁判員の記述は「刑事・第一審・3と6・双方1人以上・18歳」の5点に照らします。「民事」「控訴審」「裁判員だけの過半数」「20歳以上」が出てきたら誤りの候補です。
つまずき別:次に確認すること
| つまずき | 確認する操作 | 進む記事 |
|---|---|---|
| 裁判員と国民審査を混同する | 裁判員=事件の判断に参加、国民審査=最高裁裁判官を審査と書き分ける | 国民審査 |
| 18歳でできること・できないことが混ざる | 選挙権・成年年齢・裁判員・飲酒を一覧で比べる | 選挙権年齢18歳 |
| 司法全体の位置づけがあいまい | 違憲審査・国民審査・裁判員を1枚の表で確認する | 憲法・政治のまとめ |
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Q & A
よくある質問
Q.裁判員に選ばれたら必ず参加しなければなりませんか?+
原則として参加する義務がありますが、70歳以上、学生・生徒、重い病気、介護や養育、仕事上の重大な支障など、法律で定められた理由があれば辞退を申し立てられます。
Q.裁判員は刑の重さも決めますか?+
はい。有罪か無罪かだけでなく、有罪の場合にどのくらいの刑にするか(量刑)も裁判官と一緒に決めます。
Q.18歳の高校生が裁判員に選ばれることはありますか?+
選挙権を持つ18歳であれば名簿に載る可能性があります。ただし、学生・生徒は辞退を申し立てることができます。
Q.裁判員制度はいつ始まりましたか?+
2009年(平成21年)5月21日に始まりました。法律自体は2004年に成立しています。
Q.裁判員に選ばれたら会社を休めますか?+
裁判員の職務は労働基準法7条の「公の職務」にあたるとされ、会社は必要な時間を与えなければなりません。有給か無給かは会社の制度によりますが、裁判員の職務のために休んだことを理由とする解雇などの不利益な取扱いは裁判員法100条で禁止されています。