KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 回答率は回答した人÷依頼対象者、回答者の支持率は賛成人数÷回答者数です。
- 未回答を自動的に反対や賛成へ振り分けません。全体の割合が確定しない場合も、可能な範囲は計算できます。
- 本記事は資料の読み方を学ぶ自作例です。BEST-Aの公式問題や特定の調査結果ではありません。
この記事の目次
編集部の自作データ。未回答40人は賛否不明です。
全体は45〜85%の範囲。75%とは確定しない。
二つの端の仮定による範囲です。信頼区間や起こりやすさの予測ではありません。
75%という数の前に「誰のうち」を書く
資料解釈では、割り算の数字が正しくても、説明する対象を取り違えることがあります。100人へアンケートを依頼して60人が回答し、そのうち45人が賛成した場合、45÷60=75%です。これは回答した60人に限った割合で、依頼した100人全員の賛否が分かったわけではありません。
回答した人が、たまたま関心の強い人に偏っている可能性もあります。一方、回答が少ないだけで結果が必ずどちらかへ偏るとも断定できません。まずは資料から確実に計算できる数と、追加の仮定が必要な数を分けます。一般的な百分率は割合と百分率の読み方と併せて確かめてください。
独自例:依頼100人、回答60人、賛成45人
全員が依頼対象で、重複回答はなく、回答60人は賛成45人と反対15人の二択だったとします。未回答40人は賛否不明です。途中まで回答した人や対象外の人はいないという、計算のために単純化した設定です。
回答率は60÷100=60%、回答者の賛成率は45÷60=75%、依頼対象全員に対する「賛成が確認できた人」の割合は45÷100=45%です。三つとも正しい計算ですが、同じ名前で説明することはできません。
| 何を知りたいか | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| 依頼対象の何%が回答したか | 60÷100 | 60% |
| 回答者の何%が賛成したか | 45÷60 | 75% |
| 全対象の何%の賛成を確認できたか | 45÷100 | 45% |
図解:回答した範囲と、まだ分からない範囲
図の棒全体は依頼対象100人を表します。分母100人で見れば、賛成が確認できた45人と反対が確認できた15人の外側に、40人の未確認が残っています。回答者の75%という計算では、未確認40人を分母から外している点に注目します。
全員の賛成率は45〜85%のどこかにある
未回答40人が全員反対なら、全体の賛成は45人で45%。全員賛成なら45+40=85人で85%です。従って、この二択・重複なしという設定では、全体の賛成率は45%以上85%以下と分かります。これ以上に狭い範囲を言うには、未回答者についての情報が必要です。
この上下限は信頼区間ではありません。確率的に起こりやすい範囲を推定したのでなく、未確認の人を二つの極端な状態へ置いた論理的な範囲です。75%がこの範囲に入ることも、全員の賛成率が75%だという証拠にはなりません。
未回答を反対として数えるルールがある場合
投票や社内手続きには、一定の賛成人数を全対象者数で割って判定する規定があるかもしれません。その場合は、設問に示された規則で判定します。しかし規則上の扱いと、本人が実際に反対の意見を持っていることは別です。「採決基準を満たさない」から「未回答者全員が反対」とは言えません。
資料の注記に「無回答は集計から除外」と書かれていれば、意見別割合の分母を確認します。100人が調査票を返しても、特定の質問には80人しか答えていない場合があります。票の回収率と、個別質問の有効回答数を一緒にしないことが大切です。
二つの集団を比べるときは、回答率の差も残す
A群は依頼80人、回答60人、賛成45人。B群は依頼100人、回答80人、賛成56人だったとします。回答者の賛成率はAが75%、Bが70%なので、回答した範囲ではAの方が高いと言えます。回答率はA75%、B80%で、こちらはBの方が高いという別の比較です。
全対象に対する賛成率の可能範囲は、Aが45÷80=56.25%から65÷80=81.25%、Bが56%から76%。範囲が重なっているため、全対象でもAの方が高いとは確定しません。Aの未回答が全員反対、Bの未回答が全員賛成なら、A56.25%・B76%という逆転も可能です。
| 群 | 回答者の賛成率 | 回答率 | 全対象の賛成率の可能範囲 |
|---|---|---|---|
| A | 45÷60=75% | 60÷80=75% | 56.25〜81.25% |
| B | 56÷80=70% | 80÷100=80% | 56〜76% |
過半数を超えたと言える条件も、分母から確認する
100人へ依頼し、80人が回答、そのうち45人が賛成なら、回答者の賛成率は45÷80=56.25%です。しかし全対象では45〜65%の可能性が残り、全員の過半数が賛成とは確定しません。「回答者の過半数」と「全対象の過半数」は、分母の違う二つの主張です。
反対に、同じ全対象100人で賛成が51人確認できていれば、残る人の賛否にかかわらず、全対象の半分を超える賛成は既に確認できています。未回答があれば何も判断できないのではなく、分かっている人数で結論が変わらないかを確かめます。ちょうど50人なら半数であり、過半数とは区別してください。
資料にない重みを勝手に作らない
実際の統計では、標本の選び方や回答しやすさの違いを考慮し、重みを使って推計する場合があります。英国統計局の調査品質資料も、回答率などの運用指標だけでは代表性や偏りの程度を判断できないと説明しています。ここでは、その考え方と、設問内の単純な人数計算を区別します。
設問が重みを指定していないのに、AとBの人数を平均したり、未回答者を半分ずつ賛否へ配ったりしてはいけません。50対50という仮定を置けば数は出ますが、それは資料だけから導いた答えではありません。加重平均と同様に、重みには意味と根拠が必要です。
復習メモは、式より先に分母を一行で
解いた後は「この割合は誰のうちか」を書きます。今回なら、賛成45人という分子は同じでも、分母が回答者60人か依頼対象100人かで問いが変わります。表題・対象期間・有効回答の注記まで戻る習慣を付けてください。
表の読み方で見出しと注記を確かめ、BEST-Aの問題集選びでは計算の答えに加えて、言えることと言えないことの説明があるかを確認します。未回答について判断を保留できることも、資料を正確に読む力です。