KEY TAKEAWAYS

この記事でわかること

  • 誤りやすい言い方の多くは、似た2つの表現が混ざった混同表現(怒り心頭に「達する」=発する+頂点に達する 等)。
  • 文化庁の平成24年度調査では「怒り心頭に達する」を使う人が67.1%で、本来の「発する」(23.6%)を大きく上回った。よく聞く形ほど疑う必要がある。
  • 「的を得る」「汚名挽回」のように辞書によって扱いが分かれる語は、本記事では誤りと断定しない。試験では本来の形を選べば安全。
  • 見分け方は、表現を2つに分けて「元になった言い方」を探すこと。過半数を超える・後で後悔する などの重ね言葉もあわせて確認する。
この記事の目次
  1. 01誤りやすい言い方の問題はどう問われる?
  2. 02混同しやすい言い方の一覧
  3. 03文化庁の調査で分かる「本来の形」を使う人の割合
  4. 04「どちらも正しい」とされることがある語は?
  5. 05重ね言葉(重言)も確認する
  6. 06例題3問:言い方の正誤を判定する
  7. 07つまずき別:どの操作で確認する?
  8. 081分でできる時短のコツ
  9. 09よくある質問
  10. 10出典・参考

誤りやすい言い方の問題はどう問われる?

BESTの「文章を正確に理解する力」の対策として、慣用的な言い回しの正誤にも備えておくと安心です。4択の形にすると、次の3つの型が考えられます。以下は当サイトの学習用の整理で、公式の出題形式を再現したものではありません。

言い方の正誤問題の型(本サイトの学習用整理)
型問われ方判定のポイント
正誤の組合せ下線部ア・イの言い方の正誤の組合せを選ぶ片方ずつ、元の言い方と照合する
誤りを含むものを選ぶ4つの言い回しのうち、誤っているものを選ぶよく耳にする形ほど混同表現を疑う
適切な文を選ぶ4つの文のうち、言葉の使い方が適切なものを選ぶ混同表現と重ね言葉の両方を探す

「言葉の意味」を取り違える問題(役不足・気が置けない など)は慣用句の意味と誤用で扱っています。この記事は、言い回しの形そのものが崩れている誤りに絞って整理します。

混同しやすい言い方の一覧

誤った形と、その元になった2つの言い方を並べました。右の列の「元の言い方」を言えるようにしておくと、初めて見る誤りにも気づけます。

混同しやすい言い方(本サイト作成。本来の形は国語辞典を参照)
よく見る誤った形本来の形混ざった元の言い方
怒り心頭に達する怒り心頭に発する心頭に発する(心の底から怒りが起こる)+頂点に達する
取り付く暇もない取り付く島もない頼りにする島(すがる所)がない。「暇」は音の似た取り違え
押しも押されぬ押しも押されもせぬ押しも押されもせぬ+押すに押されぬ
天下の宝刀伝家の宝刀家に代々伝わる刀。「天下」は音の似た取り違え
雪辱を晴らす雪辱を果たす/屈辱を晴らす雪辱(辱をすすぐ)+屈辱を晴らす
熱にうなされる熱に浮かされる熱に浮かされる+悪夢にうなされる
上や下への大騒ぎ上を下への大騒ぎ上のものを下へ、下のものを上へ動かすほどの混乱
二の舞を踏む二の舞を演じる/二の足を踏む二の舞(前の人の失敗を繰り返す)+二の足を踏む(ためらう)
公算が強い公算が大きい公算(見込み)は大小で言う。「可能性が強い」との混同

混同表現の見分け方は単純です。誤った形を2つに割ると、それぞれが別の正しい言い回しになるものが多いからです。「雪辱を晴らす」なら「雪辱を果たす」と「屈辱を晴らす」、「二の舞を踏む」なら「二の舞を演じる」と「二の足を踏む」に分かれます。

文化庁の調査で分かる「本来の形」を使う人の割合

文化庁の「国語に関する世論調査」は、同じ内容をどちらの言い方で表現するかも調べています。平成24年度の集計表では、次の結果でした(文化庁、2026年9月27日確認)。

出典:文化庁「平成24年度 国語に関する世論調査」集計表(全国16歳以上、有効回答2,153人)。「両方使う」「分からない」等は省略
表現する内容本来の形を使うもう一方の形を使う
激しく怒ること怒り心頭に発する:23.6%怒り心頭に達する:67.1%
いよいよというときに使う、とっておきの手段伝家の宝刀:54.6%天下の宝刀:31.7%
つっけんどんで相手を顧みる態度が見られないこと取り付く島がない:47.8%取り付く暇がない:41.6%
実力があって堂々としていること押しも押されもせぬ:41.5%押しも押されぬ:48.3%
物事の肝腎な点を確実に捉えること的を射る:52.4%的を得る:40.8%

「怒り心頭に達する」「押しも押されぬ」は、本来と異なる形を使う人の方が多い結果でした。日常で耳慣れているかどうかは判断の根拠にならない、ということです。ただし、どの語が試験に出るかは分からないため、数値は「よく聞く形を疑う理由」として使ってください。

「どちらも正しい」とされることがある語は?

言葉の扱いは変化するため、辞書によって判断が分かれる語があります。次の語は、本記事では誤りと断定しません。

  • 的を得る:伝統的には「的を射る」(矢で的に当てる)が本来の形とされてきました。一方、「当を得る」との関係などから「的を得る」も誤りではないとする辞書もあります。
  • 汚名挽回:「汚名返上」と「名誉挽回」の混同とする説明が広く見られますが、「挽回」を「元の状態に戻す」意味と取り、誤りとは言えないとする見方もあります。
  • 足元をすくう:本来は「足をすくう」とされますが、「足元をすくわれる」も広く使われています。

試験の4択では、正答が一つに決まるように作る必要があるため、こうした語を「誤り」の選択肢にすると正答が揺らぎます。出題されるとすれば「本来の形はどれか」を問う形が考えられます。迷ったら本来の形(的を射る・汚名返上・名誉挽回・足をすくう)を選ぶと決めておけば、判断に時間をかけずに済みます。

重ね言葉(重言)も確認する

同じ意味の語を重ねる「重ね言葉」も、言葉の使い方の問題で扱われることがあります。文書作成の実務でも指摘されやすいものです。

重ね言葉の例(本サイト作成)
重ね言葉重なっている部分言い換え
過半数を超える「過」が「超える」の意味を含む過半数を占める/半数を超える
後で後悔する「後悔」が「後で」を含む後悔する/後で悔やむ
まず最初に「まず」と「最初に」が同じ意味まず/最初に
一番最後「最」が「一番」の意味最後
各〇〇ごと「各」と「ごと」が同じ意味各〇〇/〇〇ごと

「違和感を感じる」「頭痛が痛い」のように程度の差がある例もあり、前者は一般に広く使われています。試験では、上の表のように一語の中に意味がすでに含まれているものを誤りと判定できれば十分です。

例題3問:言い方の正誤を判定する

【例題1】次のア・イの言い方の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。 ア:前回の失敗を取り返そうと、汚名を返上するために準備を重ねた。 イ:課長の指摘は、いつも的を射ている。

  1. ア 正 / イ 正
  2. ア 正 / イ 誤
  3. ア 誤 / イ 正
  4. ア 誤 / イ 誤
例題1〜3の解説(本サイト作成の独自問題)
例題正解根拠誤りの選択肢が外れる理由
例題11アは本来の形「汚名を返上する」、イも本来の形「的を射る」で、どちらも正しい2〜4はどちらかを誤としている。扱いが分かれる「的を得る」ではなく、本来の「射る」が使われている点に注意
例題22本来は「怒り心頭に発する」1・3・4はいずれも本来の形。3を「天下の宝刀」、4を「押しも押されぬ」と覚えていると迷う
例題33雪辱(恥をすすぐこと)は「果たす」と結びつく1は「過半数を超える」、2は「後で後悔する」、4は「まず最初に」という重ね言葉

【例題2】言い回しとして誤っているものはどれか。 1 取り付く島もない 2 怒り心頭に達する 3 伝家の宝刀を抜く 4 押しも押されもせぬ

【例題3】言葉の使い方が最も適切な文はどれか。 1 賛成が過半数を超えたので可決した。 2 後で後悔しないよう、書類を確認する。 3 昨年の相手に勝ち、雪辱を果たした。 4 まず最初に、配布資料を確認します。

つまずき別:どの操作で確認する?

つまずき別の確認操作(本サイト作成)
つまずき確認する操作
聞き慣れた形を正しいと思ってしまう調査の数値のように、多数派が本来の形とは限らないと考える
どこが誤りか分からない表現を2つに割り、それぞれが別の言い回しになっていないか見る
音が似た語で迷う(暇と島、天下と伝家)言い回しの由来(すがる島、家に伝わる刀)で確かめる
重ね言葉を見落とす漢字1字の意味(過=超える、悔=後で)が他の語と重なっていないか見る
辞書で扱いが分かれる語で迷う本来の形を選ぶと決めておく

言い方の正誤は、1問20秒程度で判断したい問題です。他の分野と混ぜて解くと判断がぶれることもあるので、登録不要の無料お試し10問で本番に近い形を試しておくと安心です。

1分でできる時短のコツ

  • 「誤っているもの」を選ぶ問題は、よく聞く形から疑う:調査で多数派だった形(怒り心頭に達する 等)ほど誤りの候補になる。
  • 2つに割って元の言い方を探す:割れたら混同表現、割れなければ意味の取り違え(慣用句の問題)と判断して方針を切り替える。
  • 重ね言葉は漢字1字を見る:「過」「最」「各」「悔」など、意味を含む字が他の語と重なっていないか確認する。

漢字の書き分けは同音異義語の使い分け、文章中の言葉のつながりは接続語の空欄補充、読解問題は現代文の内容一致問題のコツで練習できます。分野全体の進め方は文章理解の対策まとめへ。

Q & A

よくある質問

Q.「的を得る」は間違いですか。

伝統的には「的を射る」が本来の形とされますが、「的を得る」を誤りではないとする辞書もあり、扱いが分かれています。試験で本来の形を問われた場合は「的を射る」を選ぶのが安全です。

Q.「汚名挽回」は使ってはいけませんか。

「汚名返上」と「名誉挽回」の混同とされることが多い一方、誤りとは言えないとする見方もあります。公的な文書や試験では、議論のない「汚名返上」「名誉挽回」を使うのが無難です。

Q.「違和感を感じる」も誤りですか。

重ね言葉の一種とされることがありますが、広く使われており、誤りと断定しない考え方もあります。試験では「過半数を超える」のように、重なりがはっきりした例を優先して判定してください。

Q.どうやって覚えるのが効率的ですか。

誤った形と本来の形をペアにし、「元の2つの言い方」まで言えるようにする方法がおすすめです。形の由来が分かると、初めて見る混同表現にも気づけるようになります。

出典・参考

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