KEY TAKEAWAYS

この記事でわかること

  • 実施元の日本人事試験研究センターはBESTを「試験に向けた特別な準備や勉強の必要のない試験」と案内し、自治体の案内にも「特別な対策や勉強は不要」と書かれています。
  • これは専門試験や教養試験のような受験勉強がいらないという意味で、「何もしなくても高得点」という意味ではありません。
  • 準備なしで起きやすいのは、時間切れ・地方行政の取りこぼし・時事の古さの3つです。
  • 最低限やりたいのは、60問60分を一度通す、地方自治の基本を読む、直近1年の時事を見直す、の3つです。
この記事の目次
  1. 01「対策不要」は誰が、どういう意味で言っている?
  2. 02公式の説明から言えること・言えないことは?
  3. 03準備なしで受けると何が起きやすい?
  4. 04準備なしで解くと、どこで止まる?独自例題で確かめる
  5. 05最低限やるなら、何を3つ?
  6. 06やらなくてよいことは?
  7. 07準備の進み具合はどう確かめる?
  8. 08よくある質問
  9. 09出典・参考

「対策不要」は誰が、どういう意味で言っている?

センターはトップページで、BESTを「試験に向けた特別な準備や勉強の必要のない試験」と案内しています。BEST-A(60題・1時間)は、論理的に考える力、文章を正確に理解する力、統計などの資料を分析する力、国内外の社会情勢への理解を確かめる基礎的な試験とされ、社会情勢の問題は、社会常識や義務教育の中で学んだことや、ニュース等で報道された内容から出るとされています。

BESTを使う自治体の案内には、より直接的な注記が載ることがあります。たとえば足利市の令和7年度(後期)の採用試験案内では、社会人経験者の土木・建築の第1次試験で職務基礎力試験(60問・60分)を課し、「基礎的な内容が出題されますので、特別な対策や勉強は不要です」と注記しています。

センターが紹介している利用団体の声では、岐阜県瑞穂市が、120分の教養試験から「特別な対策や勉強が不要」な60分の試験に変えると広報し、新卒者以外の申込者が5%増えたと述べています。つまり「対策不要」は、受験のハードルを下げ、民間の社会人などにも受けやすくするための言葉だと読むのが自然です。

公式の説明から言えること・言えないことは?

「対策不要」という言葉は、受験者によって受け取り方が大きく変わります。公式の説明から確かに言えることと、そこまでは言えないことを分けておきます。

公式の説明の読み方(当サイトの整理)
公式の説明から言えること公式の説明からは言えないこと
出題は基礎的な内容である準備しなくても全員が高得点を取れる
教養試験のような範囲の広い受験勉強は前提にしていない時間配分の練習も意味がない
社会情勢は、社会常識・義務教育の内容と報道された内容から出るニュースを見ていなくても社会情勢は解ける
結果はIRTスコアで、全国の受験者の中での位置が分かる何点取れば合格か(合格点は非公表)

右の列は、公式の説明を広げすぎた読み方です。特に社会情勢は「報道された内容」から出るとされているので、普段ニュースを見る習慣がない人ほど、直近1年分を見直す価値があります。

準備なしで受けると何が起きやすい?

内容が基礎的でも、形式に慣れていないと点を落としやすい場面があります。次は当サイトの整理で、特に社会人がつまずきやすい点です。

準備なしで起きやすいこと(当サイトの整理)
起きやすいこと理由影響
時間が足りない60題を1時間、1問約1分で解く必要がある後半の問題を読み切れずに終わる
地方行政が分からない直接請求や首長と議会の関係など、普段意識しない制度が出るとされる比重が大きいとされる単元で続けて落とす
時事が古い・あいまい新しい制度名や政策の用語を正確に覚えていない「ア・イの正誤」問題で判断がつかない
資料の計算に時間がかかる電卓なしの割合計算に慣れていない1問に3分以上かけてしまう

BEST-Aの結果はIRTスコアで表され、合格点は公表されていません。どれだけの差が合否に影響するかは分かりませんが、基礎的な試験ほど多くの受験者が似た点を取りやすく、時間切れのような「解けたはずの失点」は避けたいところです。

準備なしで解くと、どこで止まる?独自例題で確かめる

社会人の常識で解けそうに見えて、制度を知らないと迷う問題の例です。当サイトで作った問題で試してください。

  • 【独自例題】地方公共団体の首長と議会の関係について、正しいものはどれか。 1. 議会が首長の不信任を議決すると、首長は議会を解散できる 2. 首長は、議会の同意を得れば、いつでも議会を解散できる 3. 首長は、議会が議員の中から選挙によって選ぶ 4. 首長の不信任の議決は、出席議員の過半数の賛成があれば成立する
例題の解説
選択肢判定理由(地方自治法)
1正しい178条:不信任の議決の通知を受けた日から10日以内に、首長は議会を解散できる
2誤り議会の同意で解散するしくみはない。首長が議会を解散できるのは、不信任の議決を受けた場合などに限られる
3誤り首長は住民の直接選挙で選ばれる(憲法93条2項)。国の首相の選び方と混同しやすい
4誤り不信任の議決は、議員数の3分の2以上が出席し、その4分の3以上の同意が必要(178条3項)

3のように、国のしくみ(国会が首相を指名する)を当てはめると迷いやすいのが地方行政の特徴です。制度を一度読んでおくだけで、こうした問題は短時間で判定できるようになります。関係の全体像は議会と首長の関係でまとめています。

最低限やるなら、何を3つ?

  1. 60問を60分で一度通して解く:目的は点数ではなく、どの分野で時間を使いすぎるかを知ることです。本番の配分をここで決めます。
  2. 地方自治の基本を読む:直接請求、首長と議会、条例と規則、地方の財源など。制度は毎年変わらないので、一度読めば本番まで使えます。地方自治のまとめが入り口になります。
  3. 直近1年の時事を見直す:政府の新しい政策、法改正、国際機関の動きなどを、官公庁の発表や年間のまとめで確認します。
2週間でできる最低限の準備(当サイトの目安)
期間1日の目安やること
1日目60分+振り返り通し練習と、時間が消えた分野のメモ
2〜7日目30分地方自治の基本を1日1テーマ
8〜12日目30分直近1年の時事と、苦手分野の見直し
13〜14日目60分もう一度通し練習し、配分を確かめる

1の通し練習の前に形式だけ確かめたい場合は、無料お試し10問(登録不要)で4分野の問題と解説を10分ほどで確認できます。

やらなくてよいことは?

  • 専門試験の勉強:憲法・行政法・民法・経済学などの専門科目は、BESTのためには不要です(受験する区分に別の専門試験がある場合は別です)。
  • 自然科学・人文科学の細かい暗記:教養試験で出る物理・化学・日本史・世界史などの細かい暗記は、BESTの中心ではないと考えられます。
  • 難しい数的処理の大量演習:教養試験の難しい図形や空間把握を大量に解く必要はありません。論理や資料は基本の考え方で解ける問題が中心とされます。
  • 分厚い参考書を何冊も:範囲の広い本を最初から読むより、本番形式で解いて苦手を見つけるほうが効率的です(参考書の選び方)。

準備の進み具合はどう確かめる?

状態別の確認表
今の状態確認する操作
何から始めるか分からない受験案内で筆記がBESTか、方式(マークシート・テストセンター)を確かめる
通しで解くと最後まで届かない10問ごとの経過時間を記録し、飛ばす基準を決める(時間配分)
地方行政の組合せ問題で迷う数字と請求先・議決の要件をセットで書き出す
時事の正誤に自信がないその事実がいつ時点の情報かを確かめ、官公庁の最新の発表と照らす

BESTの点数だけで合否が決まるわけではなく、作文や面接を重視する自治体も多くあります。筆記は短い準備で確実に形にし、残りの時間を面接や論文に回すのが、社会人にとって効率のよい進め方です。

Q & A

よくある質問

Q.本当に何も勉強しないで受けても大丈夫ですか?

基礎的な内容なので解ける問題は多いはずですが、点数や合格点は公表されないため、準備なしで十分かどうかは誰にも断言できません。一度本番形式で解き、時間内に最後まで届くかを確かめるのがおすすめです。

Q.準備にどれくらい時間をかければよいですか?

公式の目安はありません。当サイトの目安は1〜2週間、1日30分程度です。筆記試験が久しぶりの場合は1か月ほどみておくと安心です。

Q.教養試験の勉強をしていれば大丈夫ですか?

知識の面では重なる部分が多いですが、BEST-Aは60題・1時間でテンポが違います。本番形式で時間配分の練習をしておきましょう。

Q.「対策不要」なのに問題集を使う意味はありますか?

新しい知識を大量に覚えるためではなく、4択・60題・1時間という形式に慣れ、自分がどこで時間を使うかを知るために使う意味があります。本番で初めて形式を見るより、落ち着いて実力を出しやすくなります。何を選ぶかは参考書の選び方を参考にしてください。

Q.面接や論文の準備とどちらを優先すべきですか?

自治体によって重みが違うので一概には言えません。筆記は短期間の集中した準備で形になりやすいので、先に筆記を仕上げてから面接や論文の準備に移る進め方がおすすめです。

出典・参考

読了、おつかれさまでした。ほかの対策ガイドを読む