KEY TAKEAWAYS

この記事でわかること

  • P(少なくとも1回)=1−P(1回も起きない)。「少なくとも」を見たら、まず余事象で解けないかを考えます。
  • 余事象とは「その出来事が起きない」ことです。「少なくとも1回起きる」の余事象は「1回も起きない」で、「1回だけ起きない」ではありません。
  • 直接数えると「1回・2回・3回…」の場合分けが必要な問題が、余事象なら1つの計算で済みます。
  • 「少なくとも2回」の余事象は「0回または1回」。余事象が1つの場合で済むのは「少なくとも1回」のときです。
この記事の目次
  1. 01余事象とは?なぜ速く解ける?
  2. 02余事象で解く手順
  3. 03例題1:サイコロで「少なくとも1回」
  4. 04例題2:戻さないくじで「少なくとも1本」
  5. 05まちがえやすい例は?
  6. 06練習問題:組合せで余事象を数える
  7. 07つまずいた操作から確認する
  8. 081分で解くための時短のコツ
  9. 09次に練習すること
  10. 10よくある質問
  11. 11出典・参考
図で理解する「少なくとも1回」は、反対側から数える
すべての起こり方:確率 1少なくとも1回当たる1回も当たらない

少なくとも1回当たる確率 = 1 − 1回も当たらない確率

2つの領域は全体を二分する関係を示しています。幅は実際の確率を表しません。

余事象とは?なぜ速く解ける?

ある出来事Aに対して、「Aが起きない」という出来事をAの余事象といいます。Aと余事象のどちらかは必ず起き、両方が同時に起きることはないので、確率の合計は1です。

そこから、P(A)=1−P(Aが起きない) という式が成り立ちます。直接求めるのが大変なときに、反対側を求めて1から引く、という使い方をします。

特に効果が大きいのが「少なくとも1回」の問題です。サイコロを3回投げて6が少なくとも1回出る確率を直接求めると、「ちょうど1回」「ちょうど2回」「3回とも」の3つの場合を計算して足す必要があります。余事象なら、「3回とも6以外」の1つを計算するだけです。

確率の基本(数えて割る・順番にかける)は確率の基本で先に確認しておくと、この記事の計算がスムーズに読めます。

余事象で解く手順

  1. 「少なくとも」「1回以上」「1人以上」の語を探す:見つけたら余事象の候補です。
  2. 余事象を言葉にする:「少なくとも1回6が出る」→「1回も6が出ない(毎回6以外)」。
  3. 余事象の確率を計算する:1回ごとの「起きない確率」を順番にかける。くじを戻さないなら分母を1ずつ減らす。
  4. 1から引く:最後に 1−(余事象の確率)を計算し、選択肢と見比べる。
よく出る言い方と余事象(言い換えの例)
求めたい出来事余事象(こちらを計算)
少なくとも1回6が出る1回も6が出ない
少なくとも1本当たる全部外れる
少なくとも1人女性が選ばれる全員男性が選ばれる
2人の誕生月が異なる2人の誕生月が同じ
少なくとも2回6が出る0回または1回だけ6が出る

ステップ2で余事象を言葉にするのが、いちばん大切な操作です。式を書く前に「反対は〇〇」と一言メモするだけで、1回だけ起きない・2回以上起きない、といった言い換えの誤りを防げます。

例題1:サイコロで「少なくとも1回」

例題1 1つのサイコロを3回投げるとき、6の目が少なくとも1回出る確率はいくらか。

1. 1/2 2. 91/216 3. 125/216 4. 1/216

解き方 余事象は「3回とも6以外」です。1回で6以外が出る確率は 5/6 なので、3回続けて 5/6×5/6×5/6=125/216。求める確率は 1−125/216=91/216 です。

例題1の選択肢の確認
選択肢判定どこから出る数か
1. 1/2×1/6×3。3回の確率を足しただけで、2回以上出る場合を重複して数えている
2. 91/216○1−(5/6)³
3. 125/216×1回も出ない確率。最後に1から引き忘れた値
4. 1/216×3回とも6が出る確率

正解は2です。1の「1/6を3回足す」は一見それらしく見えますが、回数を増やすと確率が1を超えてしまう(7回なら 7/6)ことからも、誤りだと分かります。

参考までに、直接求める方法と比べてみます。6がちょうど1回出る確率は 3×(1/6)×(5/6)²=75/216、ちょうど2回は 3×(1/6)²×(5/6)=15/216、3回とも は 1/216。足すと 91/216 で、余事象の答えと一致します。直接の方法では「何回目に出るか」の3通りを数える手間も加わるため、余事象の方が明らかに短く済みます。

例題2:戻さないくじで「少なくとも1本」

例題2 8本のうち2本が当たりのくじがある。1本ずつ3本を、引いたくじを戻さずに引く。少なくとも1本当たる確率はいくらか。

1. 5/14 2. 3/4 3. 9/14 4. 37/64

解き方 余事象は「3本とも外れ」です。外れは6本あるので、戻さずに続けて引くと 6/8×5/7×4/6=120/336=5/14。求める確率は 1−5/14=9/14 です。

例題2の選択肢の確認
選択肢判定どこから出る数か
1. 5/14×3本とも外れる確率。1から引き忘れた値
2. 3/4×2/8×3。1回ごとの当たりの確率を足しただけの値
3. 9/14○1−(6/8×5/7×4/6)
4. 37/64×1−(6/8)³。くじを戻す場合の値

正解は3です。戻さない場合は、外れを1本引くごとに「外れの本数」と「全体の本数」が両方1ずつ減ります。組合せで数えても、3本とも外れは 6C3=20通り、全体は 8C3=56通りで 20/56=5/14 となり、同じ結果です。

まちがえやすい例は?

  • 余事象を「1回だけ起きない」にしてしまう:「少なくとも1回起きる」の反対は「1回も起きない(毎回起きない)」です。
  • 「少なくとも2回」を 1−P(0回) にしてしまう:余事象は「0回または1回」なので、両方を引きます。例題1のサイコロなら、1回だけ6が出る確率は 3×(1/6)×(5/6)²=75/216 で、少なくとも2回は 1−125/216−75/216=16/216=2/27 です。
  • 戻すか戻さないかを確かめずに (5/6)³ の形にする:くじを戻さないときは、かける分数の分母・分子が毎回変わります。
  • 確率を足して1を超える:足し算で1を超えたら、重複して数えているサインです。余事象に切り替えます。

練習問題:組合せで余事象を数える

練習 男性4人、女性3人の中から、くじで2人を選ぶ。少なくとも1人女性が選ばれる確率はいくらか。

答え 5/7。余事象は「2人とも男性」で、4C2÷7C2=6/21=2/7。求める確率は 1−2/7=5/7 です。直接求める場合は「女性1人・男性1人」12通りと「女性2人」3通りを足して 15/21=5/7 となり、同じ答えになります。

直接求める方法では2つの場合を足す必要がありますが、余事象なら1つの計算で済みます。場合分けが2つ以上になりそうなら余事象、と判断の基準を決めておくと迷いません。

つまずいた操作から確認する

つまずき確認する操作
余事象の言い換えが分からない「少なくとも1回起きる」の反対は「毎回起きない」と書き出してから計算する
答えが選択肢の1つ手前の値になる最後に1から引いたかを確かめる(引き忘れた値が選択肢に入っていることもある)
戻さないくじで数が合わない余事象の計算で、外れの本数と全体の本数を1ずつ減らしたかを確かめる
「少なくとも2回」で答えが大きすぎる余事象の「1回だけ」の場合を引き忘れていないかを確かめる

1分で解くための時短のコツ

  • 「少なくとも」を見たら、まず余事象を書く:直接計算を始める前に、反対側を一言で書きます。
  • 分数はかける前に約分:6/8×5/7×4/6 は、6どうし、4と8を先に消すと 1/2×5/7=5/14 と速く出ます。
  • 選択肢の「1からの差」に注目:選択肢に 5/14 と 9/14 のように足して1になる組があれば、片方は引き忘れを狙った値かもしれません。自分の計算がどちらに当たるかを確かめてから選びます。

次に練習すること

確率の定義や「順番にかける」方法は確率の基本、組合せで分母と分子を数える方法は順列と組合せの使い分けで確認できます。速さや時間の計算に進むなら旅人算の解き方や速さ・時間・距離の基本へ。

余事象の使いどころを覚えたら、登録不要の無料お試し10問で、本番と同じ1問1分のペースで解けるかを試してみてください。

Q & A

よくある質問

Q.余事象はどんなときに使えばよいですか?

「少なくとも」「1つ以上」「異なる」など、直接数えると場合分けが増える問題で使います。反対側が1つの場合で書けるときが最も効果的です。

Q.「2人の誕生日が異なる確率」も余事象ですか?

「異なる」を直接求めても、「同じ」を求めて1から引いても解けます。人数が増えると「全員異なる」の方が計算しやすくなり、「少なくとも2人が同じ」を求めるときに余事象として使います。

Q.「少なくとも1回」と「ちょうど1回」はどう違いますか?

「少なくとも1回」は1回・2回・3回…のすべてを含み、「ちょうど1回」は1回だけの場合です。例題1のサイコロなら、少なくとも1回は 91/216、ちょうど1回は 75/216 で、値が違います。問題文の言葉を最初に確かめましょう。

Q.余事象は場合の数の問題でも使えますか?

使えます。「全体の数−条件に合わないものの数」は、確率でいう余事象と同じ考え方です。「女性を少なくとも1人含む選び方」などで使います。

出典・参考

読了、おつかれさまでした。ほかの対策ガイドを読む